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第198話 双子姫との邂逅(1)

邪魔な魔族の追っ手も無事に殲滅した時だ、オーク・マジシャン達が全滅したのを確認しながら僕はここに来た目的を不意に思い出した。

……そうだ!ここまで出向いた用事をまず果たさなきゃね。

そうだ、リッツ王国の護衛団から双子姫を受け取ってオーガスタ王国へと送り届けないと……。


一人はどうも僕のお嫁さんになるみたいだしねしっかり送り届けないとね。


リッツ側の代表者は……恐らくあの兵士長のカイトさんでいいだろう。……まずこちらの代表者であるお義兄さんを呼んでこないといけないよね。


僕は慌ててお義兄さんがいる馬車に走って行く。

そして馬車の横を併走しながら中にいるお義兄さんに声をかけてみる。

「お義兄さん、追っ手は殲滅しましたのでリッツ側の代表者・カイトさんと話してもらえますか?」

「殲滅とは……流石だな、我が義弟(マイン)よ……」

僕の報告を聞いてアルトお義兄さんがそう答えを返しながらゆっくりと馬車から降りてくる。

その姿は次期オーガスタ国王の肩書きに相応しい威風堂々したものだった。

こちらの様子を見ていたカイト兵士長がそのお義兄さんの姿を見て驚きの表情を見せている。

恐らくお義兄さんの堂々とした姿に見惚れているのであろう……。

だが……すぐに首をブンブンと横に降って頬を軽く手で叩くとこちらめがけて全力で駆けてくる。

どうやら彼も本来の仕事を思い出したんだろう。

「……恐れ入りますオーガスタ王国のアルト殿下でいらっしゃいますでしょうか?」

カイトさんはお義兄さんの前でそう切り出して片膝をついた。

「うむ、私がオーガスタ王国の第一王子のアルト・オーガスタで間違い無い。それよりカイト殿といったか

 貴殿はオーガスタ王国の者では無い。そのような仰々しい態度は止めてくれ……

我らオーガスタ騎士団は貴国の要請により我が国へと嫁いでこられる貴国の姫君を護衛しに参った!ここより姫君護衛の任を引き継がせて貰おう。安心して母国に戻り給え」

お義兄さんの言葉を聞き、直立不動の体制でカイトさんは「わかりました、少々お待ちください」と大声で返答を返し、僕のところにやってきて

話しかけてきた。

「マイン殿……移動の馬車だがスターシャリオン様にはオーガスタ王国の馬車にお移り戴いてマイン殿はリッツの馬車にお乗り戴いた方が良いのでは無いかと


私は考えておりますが如何でしょうか」



……なるほど、お互いのお嫁さんとの顔合わせという意味なんだろうな。僕はともかくお義兄さんに確認しなければいけないよね、これは……。

「カ、カイトさん、確認してきますので少しお待ちくださいますか?」

「……カ、カイトさん……あれ?いない」

見回すとカイトさんはリッッ軍の中央に位置するひときわ豪華な馬車の傍らに居た。

そしてよく観察すると……カイトさんは馬車に何やら話しかけているみたいだ。

ひょっとして今の提案の事をお姫様方に確認してる?

恐らくあの馬車に双子姫がいる馬車に必死に語りかけているってことはさっきの提案はカイトさんのスタンドプレイだったと言う事だったのかな?

遠目で見る感じ、カイトさんが必死に馬車に向かって話しかけているようだ。

しばらく様子を見ていると馬車からとてつもなく綺麗な女性が二名降りてきた。

『へえ……あれがリッツの至宝とまで言われている双子姫か……噂に違わず綺麗なもんだ』

オーガスタの騎士の一人が小声でひっりごとを言っているのが聞こえた。

うん、確かに綺麗な人達だ。このあたりでは滅多に見かけない藍色の長い髪整った顔立ち……双子というだけあって二人はとてもよく似ている。

僕が遠目に様子を見ていると

双子姫がこちらに向かって笑顔を浮かべて会釈をしてきた。

僕も慌てて頭を下げると後ろのお姫様が更に深くお辞儀をしてくる。

様子を見るからにきっとこちらのお姫様が僕のお嫁さんになるというサーシャリオン様なんだろう。

カイトさんが二人をエスコートしながらこちらに向かって歩いてくる。

先にこれはお義兄さんに先ほどの提案を聞いておくべきだろうね。

そう判断し、僕は急いでお義兄さんの乗る馬車に向かっていく。そして馬車の外からお義兄さんに声をかけるとお義兄さんが窓から顔を出してくれた。

そこで、さきほどのカイトさんの提案を聞いてみる。

「おう、私の方は特に構わないぞ。スターシオンとも話をしてもらいたいから好都合だ。

お義兄さんはOKという事はあとは僕か?……シルフィに確認しないといけないな。」僕は【念話】でシルフィに確認してみるとかまわないとの返事が即座に返ってきた。

シルフィの返事を確認した直後カイトさんと双子姫はすぐ側までやってきていた。

「……カイトさん、先ほどの提案ですがお受けしますよ」

僕がそう言うとスターシャリオン様?はつかつかとお義兄さんの乗る馬車の方へと歩いて行った。

カイトさんはついて行かなくてもいいのかな?……なんとも気丈なお姫様だ。……これは、お義兄さん苦労しそうだな……

「……マイン様……?」ぼくがスターシャリオン様の様子に呆気にとられていると

後ろからか細い鈴を鳴らすような声で僕を呼ぶ声が聞こえてきた慌てて振り向くとサーシャリオン様?がこちらを見ていた。

「マイン殿……よろしいか?こちらがアナタに嫁ぐサーシャリオン様だ」

カイトさんが慌てて僕に紹介する。

「……あ、まいn……マインフォルゥーナです。あの一つ良いですか?

 ご存じかどうか分からないですが、私は先日結婚しまして……既婚者なんです、本当に私に嫁ぐという事で良いのですか?」

僕が疑問に思っていた事を聞いてみると……

「ええ、聞いておりますわ、姫騎士シルフィード様と聖弓のアイシャ様でしょう?

 お二人こそよろしいのでしょうか?」

「シルフィはここに来ているので問題無いと思いますよ。

アイシャは今日は別の場所に行ってまして確認が取れないのです。なので、家についてからの確認となります」

サーシャリオン様にそう言うと後ろからシルフィが声をかけてきた。

「久しぶりですね、サーシャリオン様」旦那様に嫁いでくると言う事だが本当に良かったのか?」


ふう、どうやら和やかな雰囲気で帰る事が出来そうだ。

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