第194話 そのとき、リッツ王国は(CASE:リッツ王国(1)
私はリッツ王国国王リッツ・フォン・エリック
魔人国に滅ぼされた隣国オオセ王国の国王ジャック・オオセ殿が魔人達の追撃を逃れて私に面会を求めてきたので会談をしているところだ。
会談の最中、兵士長のカイトが突如、血相を変えて飛び込んできた。
「 国王陛下!!」
「なんだ?騒々しい、お客様がお見えになっているのだぞ、用向きはなんだ?」
「……こ、これは大変失礼いたしました」
「いや、噂話ではあるのですが捨て置けない話がございまして……是非お耳に入れねばと無礼を承知で馳せ参じました」
「ああ~?噂話だと??……一体何だというのだ?……」
「はっ!、オーガスタ王国に新たな英雄がまた誕生したとの事です」
……新たな英雄の名は名はマイン。単独で災害級のオークキングを倒し、新たに発生した迷宮を制し、オオセ王国を襲った高位魔人をも退けたと……「そっ、それは誠か!?」
「はッ確かな情報でございます」
……またオーガスタ王国なのか?あの国には英雄が生まれやすい何か土壌でもあるというのか?
……”英雄王ファーレーン””姫騎士シルフィード””聖女スターシオン””聖弓のアイシャ”
「全くもって羨ましい限りですな……我が国にも彼らのような英雄たちが生まれておりさえすれば、きっと国が滅ぶ事もなかった事でしょう……私のような愚王の下でもね」
「ジャック殿そう自分を責めるものではない……オオセだけでなく我がリッツとていつそうなってしまってもおかしくはない情勢なのだ……。相手が悪かった。そう思うよりあるまいて御身をそれほど責めるものではない」
「そういえばジャック殿……『その』オーガスタのファーレン殿のから先日、密書が届きましてな……」
「ほお、……ファーレン殿からの密書ですか?一体どのような物ですかな?……伺っても?」
「何でもアルト第一王子の嫁にうちのスターシャリオンを是非にと。そしててルイス第二王子にサーシャリオンをとの事だ」
アルト殿もルイス殿も自分の妻の母国が危機に陥ればきっと力添えしてもらえる事だろう。スターシャがアルト殿に嫁ぐという事ならオーガスト王族とは縁は結べる訳だから……無理にサーシャまでオーガスト王家に嫁に出す必要もないだろう……
「ふむ、ルイス王子は錬金術のスペシャリストとの事だが、特にに目立った活躍話は聞かぬな…サーシャは先ほど話題にあがったマインという新たな英雄に出来るならば嫁がせたいものだな……」
「おおっ……エリック殿、縁談ですか!!おめでたい話ですな、しかも良い話では無いですか!おめでとうございます。オーガスト王国は大国で唯一魔人の侵攻受けていない国ですし
今の話通り英雄も多数存在しており、現状では安全面で考えればこれ以上ない理想の嫁ぎ先といえましょうぞ」
「実は私の娘ルカは逃亡の最中……私達とはぐれてしまい、今も行方がわからないのです。今頃、魔人国に捕まってひどい目にあっていないかと心配をしているのですが……
無事ならば良いのだが……」
『ふぅむ確かに、ジャック殿の言う通りかもしれぬな……、この縁談、受けてみる価値はあるか……』
そうと決めれば本人達の気持ちも聞かねば……な。
「カイト……すまんが妻のロクサーヌとサーシャ、スターシャを呼んでできてくれ。そのままお前も一緒に来てくれるか?」
縁談を受ける事に決めた私は兵士長のカイトに妻と娘を呼んでくるように指示を出した。
「あなた、……あなた……お呼びになりましたか?」
「お父様、お呼びとの事ですが……どうされましたか?」
「おお、来たか?突然の事ですまないのだが、スターシャ、サーシャに縁談だ。」
「
「……カイト」
「こうして呼び出すと言う事はあなたは、その縁談に乗り気と言う事ですね?一体どちらからの縁談なのですか?」
妻のロクサーヌが私にそう問いかける。
「スターシャをオーガスト王国のアルト殿下に……サーシャをルイス殿下にとの希望だったが。サーシャには新しく生まれた英雄のマインという者に嫁いでもらいたいのだ」
『サーシャリオン様がご結婚……そんな……』「国王様、マインという英雄ですが、私が聞いた話では、先日結婚したそうです。しかもそのお相手はあの聖弓のアイシャ殿と姫騎士シルフィード殿との事です。」
サーシャリオン様も苦労されましょう……どうか再考いただけませぬか
「ほう」、それは好都合ではないか、うまく行けばその二名の助力も得る事が出来るかもしれないではないか?サーシャよその二名ともしっかりと友誼を結ぶのだぞ。




