第186話 明日の予定も決めなきゃね!
さて、話も大分まとまった事だし、今日はここまでにしておこうかな?
……となれば、まず食事とお風呂だろうか。
「取りあえず、大雑把に決める事は決めたと思うし、ご飯にしようか?」
エイミさんを除く全員が今日は、まともな食事を取っていないのだ。
当然、お腹だってすくに決まっているだろう。
「マイン君、食事の方は私とエイミさんで作っておくからお風呂の方をお願い出来る?ピロースさんにもうちの自慢のお風呂に入って貰えばいいでしょ?」
フォルトゥーナ家の料理番、アイシャが料理とは別にお風呂の事を言い出してくる。
クランハウスでもお風呂はあるが……うん、うちのお風呂の方が気兼ねが無いか。
エイミさんと一緒に入って貰えばいいよね!積もる話もありそうだしね。
「うん、分かったよ!」
寝ているわっふるを静かに頭の上から下ろして床の敷物の上にそっと優しく移動させた。
お風呂が沸いたら、起こしてあげた方がいいのかな?
すっごく気持ちよさそうに寝てるから、起こすのも躊躇っちゃうな。
そんな事を考えつつ、お風呂に移動し【清掃】で掃除を行ってからお湯をためていく。
うちの家族は全員が揃ってお風呂好きなので、家に居るときは常に誰かが入っているイメージだ。わっふるやクゥなんかは、誰かが注意をしなければ本気で朝から晩まででも入りかねない。
普段から掃除はまめにしてはいるけれど、湯張り前は徹底的に掃除をするチャンスなんだ。
お湯がたまっていくの見ながら【常時:水】と【常時:熱】を慎重に切り貼りを繰り返す。
「うん、湯船はこれでいいね!」
そう言いながら、湯船のくぼみにわっふるが考案した温度を保つ為の小石をはめておく。
これで、お風呂の準備は完成だね!
本来ならば風呂を沸かすのに5分掛からないのだけど、今日は掃除を結構念入りに行った事で結構な時間が掛かっていたようだ。僕が居間に戻ると丁度ご飯が出来上がり、エイミさんが台所からどんどん料理を運んでいる所だった。
クランハウスが完成するまでは、この家で一緒に住んでいただけあって、エイミさんの手際は恐ろしく良い。ピロースさんもその様子を見ながら「ほう」とか「ふむ」とか言って感心している。
「……元々、エイミは家庭的ではあったが……随分、手際が良くなったものだな?体の動きも以前とは見違えるようになった気がするぞ」
手際が良いのはうちに住んでいた時の経験からだろうけど……体の動き?……あ、レベルアップが原因かも?世界樹の迷宮でエイミさんも無茶苦茶レベルがあがったしね。単純にレベルだけで言えば、闇落ち補正の無いピロースさんよりもエイミさんの方が上になってるしね……。
「……えへへ、そうかな?ピロースにそう言われると何だか照れちゃうね」
エイミさんはピロースさんに褒められたのが単純に嬉しいらしく、髪の毛を右手でこしょこしょといじくりながら、喜んでいる。
……ピロースさんが来てくれた事で、エイミさんの性格も少し明るくなった気がするね。
大人しく優等生っぽい印象だったけれど、今は年相応(?)の可愛い少女の印象の方が強い。
打ち解けたとは思っていたけれど、やっぱり緊張というか、心の何処かで我慢をしていたのだろうね。
このエイミさんの変化を見ると、アイシャのピロースさんをこちらに引き込もうというあの提案……聞いた時は吃驚したけれど、大大大正解だった事が分かるよね。
◆◇◆◇◆
「旦那様、明日はどうするのだ?」
ご飯をみんなで食べている最中、シルフィがふと思いついたように尋ねてくる。
「うん、二手に分かれようと思うんだ」
そう、二手に分かれようとおもう。
今、取り急ぎやらなければならない事は大きく分けて2つ。
一つ目は国王様への報告だね。
王都に行って、依頼の完遂とピロースさんの件を報告しなければならない。
……ついでに新しく得たスキル……特に【死霊召送還】の話もしないといけないだろう。
王宮で送還中のキメラを呼び出したら流石に不味いだろうから、実物を見せる訳にはいかないけれど……。
事前にこのスキルの事を話しておかないと、実際に召喚したときに色々な問題が起こりそうだからね。
あ、そうそう従魔の輪廻の事も話さなきゃね。
テイルズの遺体を引き渡して、事情を説明しなければいけない。
……ついでにあのカッポレの事も報告した方がいいだろう。
二つ目は、エルフの里に行って“幻惑の腕輪”を入手する事。
ピロースさんの正体を隠す事は、火急の案件だ。
逆に言えば、これさえ済ませてしまえば、ピロースさんについては比較的のんびりと進める事が出来ると言う事だ。
「……なるほど、確かにどちらも急ぎの案件だな。だが、旦那様……ピロースをフェンリル様の元に連れて行くのは後でいいのか?」
「うん、そちらは優先順位としては最後かな?そんなに慌てなくてもいいよ」
フェンリル様の下へピロースさんを連れて行く。
すなわち、それは僕のスキルの秘密を打ち明けるか否かという事に直結してくる。
“神獣の契約”があれば、確かに教える事が出来るようになるとは思うけど……。
僕としては、もう少しピロースさんの人となりを知っておきたいと思っている。
彼女が本当にスキルを話しても良いと感じられる人間なのか、どうなのかをきちんと確認してからにしたいと思っているんだよね。
「それで、マイン君。二手に分けるって、どう分けるのかな?」
「うんと、国王様の方には僕とシルフィの二人で行くよ。エルフの里はアイシャとピロースさん、あとエイミさんもお願い」
国王様への報告は王宮に行く事から、シルフィがいた方がいいだろう。
クランとしての報告にいくわけだから、当然代表者として僕が行くのは当然だ。
反対にエルフの里に行くのは捜し物が中心なので、人手が必要となる。
10年前の事なので、どこまで役に立つかわからないが、そこで暮らしていた経験を持つピロースさんとエイミさんは外せないだろう。
『わっふるとクゥはどうする?』
食事のにおいに釣られ、つい先ほど目を覚ましたわっふるとクゥにも声をかけてみる。
『おれは、まいんといっしょにいくぞ!』
うん、予想通りだね!
……どうでもいいけど、わっふる……よだれが垂れているよ……どれだけ熟睡してたの?
『わたしは、おかあさまに、かおをだしたいので、あいしゃおねえさまについていきます』
ああ、そうか。
世界樹の迷宮に顔を出せば、ケートス様に会えるよね。
わっふるはうちに来てからも何度かフェンリル様や兄妹達に会っているけど、クゥは一回も会ってなかったもんね。
これからは時間を作って、ケートス様にも会いに行かないとダメだね。
……ごめんねクゥ、気がつかなくて。
明日の予定が決まった所で、わっふるお待ちかねのお風呂タイムとなる。
最初にエイミさんとピロースさんが入り、次に僕とお嫁さん二人が入る事になった。
ちなみに、わっふるとクゥはエイミさん達と入って、そのまま続けて僕らとも入る事になっている。
さて、お風呂に入ったら……疲れたし、今日は早めに寝る事にしようかな?
お読み頂きありがとうございました。
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6月10日(土)となります。
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また、活動報告にラフイラストを公開しております。
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■マインとアイシャ
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■シルフィとライル
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