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第173話 新規の迷宮(15) ザナドゥの提案

「さてマインよ、せっかくだ。ゲームをしようじゃないか」


……ゲーム?

一体、何をするつもりなんだろう。嫌な予感がするよ。


「……ゲームですか?」


ザナドゥの提案のはお互いの代表者同士が戦うチーム戦。

……それはまさにゲームと言うより他に呼び方が無いものだった。


戦いに出る事が出来るのは、一人一回まで。

僕たちが勝ち越せば大人しくザナドゥ達は引き下がるとの事だ。

そして僕らが負け越した場合は勝利した者も含めた全員の命を差し出す事になると言う。


受けるにせよ、受けないにせよ……まずは相手の戦力を分析だ。

さっきも確認したけど、まずはキメラから見てみよう。



名前:フェイスフルネス・キメラ

LV:96

種族:魔法生物(実験体)

性別:-


【スキル】

固有魔法・極光

固有魔法・剛雷

劇毒の魔眼


【アビリティ】

噛み砕き



まず、レベルが高い。そして見た事もない魔法を持っている。

だが、スキルを奪い、注意して戦えば十分に倒せる相手だと思う。

コイツはわっふるとクゥに任せれば良さそうだ。



名前:ピロース

LV:49+16

種族:エルフ族【闇落ち】

性別:女

状態:奴隷 <ザナドゥ>


【スキル】

片手剣・聖

聖樹拘束(ユグドラシルバインド)

固有魔法・木


【世界樹の加護】

世界樹の祝福(攻撃力増加)



なんだ、このステータスは……?それに……ど、奴隷だって!?

それにレベル表記がおかしいぞ。それに種族に【闇落ち】って書いてある。


【闇落ち】:本来正義の心を持っていた者が、深い絶望と挫折を経験する事で取得する。

     基本ステータスの全てが確率で上昇する。


……エルフ族の悲劇が原因なのか?基本ステータスが全て上昇するって見た目以上に危ない相手かもしれない。レベルの表記がおかしいのはこれのせいだろうか?


『シルフィ、アイシャ……ピロースってエルフ、戦える?』


僕は【念話】で二人に【鑑定】した結果を伝え、確認してみる。


『……攻撃を食らえば危険な相手だが、旦那様がスキルを【カット】してくれれば十分勝てる相手だと思う』


『ごめんなさい、私は厳しいと思う。……弓の性質上、1対1の対人戦は厳しいわね』


そうか、確かにアイシャはきついかもしれないね。

元々、長距離からの攻撃を持つ職業だと、盾役(タンク)がいるのが前提だもんね。

……ん?待てよ。シルフィとアイシャが組んで戦えばより安全なんじゃないか?

向こうの提案を受けるんだ、こちらの要望も聞いて貰わないと不公平だよね。


そして最後の【鑑定】はザナドゥだ。



名前:■■■■

LV:■

種族:■

性別:■


【スキル】

■■■■■

■■■■■

■■■■■



……なっ!?【鑑定】する事が出来ない!?これは一体どういう事!?

一体どんな能力を持ってるんだ……?


何一つ、相手の情報を得る事が出来ないなんて、初めてだ。

……こいつとは、やっぱり僕が戦うしか無いだろうね。だけど勝つ事が出来るのだろうか。


正直言えば、自信はない。今までの戦いは相手のスキルを奪う事で勝つ事が出来たんだ。

オーク・キングだって【王の威圧】【リアライズ】【固有魔法・時空】が奪えていなかったら絶対、勝てなかった。


あの時よりは、強くなってはいるけれど……魔人が相手だ。

勝てる保証なんて何一つないだろう。


だが、こうなるとザナドゥの提案に乗るのは悪くはないかもしれない。


僕はともかく、わっふる&クゥとアイシャ&シルフィの組み合わせで戦えば、2勝は間違いなく出来るんだ。僕が負けてもゲームには勝利する事が出来る。


よし、受ける事を前提に交渉をしてみよう。


「僕たちがそれを受ける理由がありませんが?」


僕がそう答えを返すと、つまらなさそうな表情を見せてザナドゥが答える。


「……はぁ……少しは楽しませて貰えると思ったのだがね?そこに転がっている人間達は使役(テイム)していた魔物を含めて……そうだな20名ほどいたのだが……」


チラッと苦悶の表情を浮かべているテイルズを見てから、言葉を続ける。


「見ての通り実験体1号……ああ、君たちの言うところのキメラ一体に蹂躙されたのだがね?たった5人しかいない君たちがチーム戦以外で勝てるとでも?」


なるほど、こちらの戦力が低いとみての提案だったのか。

キメラ相手に勝てなくても、ひょっとしたら他の2名には勝てる可能性があるかも?と僕らに思わせたいんだね。まあ、自分達が楽しみたいだけなんだろうけど……。


「なるほど、では少しだけこちらから条件を出してもいいですか?」


「条件?なんだね」


僕は対戦相手をこちらが選ぶ事が出来るようにする事とわっふるとクゥ、アイシャとシルフィを一組にしたいと提案する。


「……ほう、では聞くが私の対戦相手は誰になるんだね?」


「僕が一人で戦います」


そう言い切ると、予想外だと目を丸くして僕をじっと見る。


「……ふむ、そういえば君とはどこかで会ったような気がするな……どこでだったか。駄目だな思い出せない。まあ、いいだろう。君の申し出を受けようか」


よし、これで何とかなりそうだぞ。


「ありがとうございます、では作戦会議をしたいので少し時間を下さい」


「ああ、構わないとも」



        ◆◇◆◇◆



『一応、念話で会話をしよう』


キメラがいる場所から大きく距離を取り、僕たちは作戦会議を行う。

迷宮(ダンジョン)内という事で声が響くため、念話を使って会話をする事にする。


距離が結構離れているので、一瞬迷宮(ダンジョン)を脱出して日を改めて攻略をしようかとも考えた。しかし、僕たちが去った後でザナドゥ達が怒り狂い、迷宮(ダンジョン)を出て王都に攻め込んで来ないとも限らないので、やはりここで倒すしか道が無いと考え直す。


『……ごめんね、みんな。結局、相手の思惑に乗る形になってしまって……』

『いや、今旦那様から教えて貰った相手のステータスを考えれば旦那様の判断は正しい』

『わふ!おれにまかせておけ!あんなやつ、かるくやっつけてやる!』

『きゅきゅきゅ!わたしもがんばりますよ!おにいさま!』

『それで、どんな組み合わせで戦うのかな?』


さっき考えた組み合わせと相手を全員に伝える。

すると、アイシャが何かを思いついたようだ。


『ねえ、マイン君……あのピロースってエルフなんだけど、こちらに引き込めないかな?』


……え?


アイシャの提案があまりにも予想外すぎて、僕の思考が一瞬止まってしまう。

いや、僕だけじゃ無い。他のみんなも呆けた表情でアイシャを見ていた。


『いや、アイシャよ……どうやってこちらに寝返らせると言うんだ?私には全く思いつかないのだが……。それに旦那様の話ではあのエルフ、ザナドゥというあの魔人の奴隷なのだろう?奴隷が主人を裏切る事は出来ないぞ』


シルフィがいち早く我に返り、アイシャに問いかける。


『“闇落ち”が本当に例の事件が原因だったとしたら……多分うまくいくと思うの……』


アイシャが思いついた作戦を話し始める。


……なるほど!確かにその作戦は使えそうだ!うん、完全勝利が見えてきたぞ!



お読み頂きありがとうございました。


活動報告とツイッターでも書かせて頂きましたが、書籍の発売日が決定しました。


6月10日(土)となります。


これから、順次イラストレイターさん等の情報をお出し出来ると思います。


今後ともどうぞ宜しくお願いします。


【改稿】


2017/03/19

・全般の誤字を修正。

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