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第15話 レベルアップ、僕しか知らない世界

さて、やっと家に着いたよ。

ギルドで登録しただけなのに、狩りに行った時よりも疲れるとは思わなかったな……。


井戸水で喉を潤し、床に寝転がり天井を見上げる。


……鑑定してみるか。



名前:マイン

LV:7

種族:ヒューム

性別:男

年齢:15歳

職業:冒険者(F級)


【スキル】

鑑定・全LV2 (4/200)

カット&ペースト (9/200)


短剣・極 (14/50)

両手剣 (0/50)

片手斧 (0/50)


脚力強化・小 (22/50)

視力強化・中 (10/50)


俊足(小) (22/50)

豪腕 (10/50)


魔法・風 (12/50)

補助魔法・速度低下 (2/50)

補助魔法・睡眠 (1/50)

補助魔法・徐々回復小(体力)(0/50)


料理 (1/50)

裁縫 (0/50)

礼儀作法 (0/50)

交渉術 (2/50)

錬金術 (6/50)



う~ん、やっぱり結果の表示が何か変わってるなあ。


気になるのはやっぱり”LV”だよなあ。

なんで急にこんなのが増えたんだろう、というかLVって何?


今まで聞いた事ないんだけど……。


このLV、鑑定の後ろにも付いてるんだよね。

僕の所のLVは7で鑑定の後ろには2、この数字の差は何だろう。


そして鑑定の後ろにはまた訳の分からない数字って……ギルドで見たときから変わってるぞ!?

ギルドで見たときは(3/200)だった筈、2が3に上がってる。


あ、待てよ。

解らないなら鑑定すればいいんだ、動転してて完全に忘れてた。



【LV】:レベルと読む。統合的な強さを表す数字、数字が高くなればなるほど強いという事。敵を倒して経験値を得て、一定量が溜まるとレベルが上がる。スキルなどは熟練度を上げる事でレベルが上がる。



うわ~、なんか凄い事を知っちゃったぞ……。

そうか、鑑定に今まで【鑑定:レベル】や僕の【鑑定:全】が無かったから、世の中で知ってる人がいなかったんだ。


多分、鑑定を使っているうちに熟練度、多分後ろの()の中の数字なんだろう……、これが溜まってレベル2になった。

レベル2に鑑定がなった事で、レベルという概念を鑑定出来るようになった、こういう事なんだろう。


僕自身のレベルが7まで上がってるのはきっとオークを倒したからだな。


……改めて思うけど【鑑定:全】ってとんでもないスキルだな。


この世界で見えていない物が、全部見えるようになる……つまり、今後はこのレベルや熟練度みたいに僕しか知らない知識が出てくるって事だ。


この概念を知ってるのと知らないのでは、強くなる為の効率が圧倒的に違ってくるだろう。

そもそもスキルが使ううちに強くなっていく事は明確に分かっていない。


なんとなく、強くなった気がするというのが世間の感覚だ。

そしてそれは使いこなしているうちに、自分の技量が上がっただけと思っている。


”使えば使うほど強くなる”と思っていないんだ。


もし、知っていればきっとレベルをあげる為の努力をきっとするだろう。


……けど、知らないからそれ以上は強くならない、そう偶然を除いては。


だけど、僕はそれを知っている。いや、知ってしまった。

これは冒険者をやるうえでトンでもないアドバンテージになるんじゃないだろうか。


これは早速明日から、ギルドで依頼を受けまくるしかないかも。


新しいスキルを手に入れれるだけじゃなく、今あるスキルも強くなる。

そして僕自身のレベルも上がれば、更に強くなる事が出来る。


専属受付嬢になってくれたアイシャさんもきっと喜んでくれると思う。


よし、よし、よしっ!やる気がどんどん湧いてきたよ!


神様から貰ったスキルのおかげで、僕の人生は本当に変わった、劇的に良い方向へと!

どれだけ感謝してもしたりないよね。


神様、本当に本当にありがとうございました。


僕は神様に心の底からお礼を述べてから、夕食を作り、睡眠を取ったんだ。

あ、ご飯はやっぱり料理スキルのおかげでとても美味しかったよ!


おやすみなさい。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「何故だっ!何故なんだよ!」


大声が酒場に響き渡る、が直ぐに他の喧噪に紛れて、その声はすぐに消えていく。


「ライル落ち着けよ」


大声で怒鳴っていたのは、受付嬢アイシャを自分の専属にしたかった冒険者の一人、ライルであった。

ギルドでアイシャに悪態をついてから、仲間達に酒場へと連れてこられたのだ。


ちなみにパーティを組んでいる冒険者に専属受付嬢が付く場合、そのパーティもその受付嬢が対応してくれる事となる。

但し、専属者がパーティから一時的、もしくは永続的に離れた場合は当然、パーティメンバーは対応外となる。


つまり、ライルがアイシャを専属にした場合は、そのパーティメンバーもパーティが続く限りは専属受付嬢を持つのと同じ意味を持つのだ。


「大体、ギルド長もギルド長だろ!なんであんな入り立ての餓鬼に専属を付ける許可を出しやがったんだよ!」


ライルがテーブルに思い切り、拳を打ち付ける。

パーティメンバーもやれやれとライルを宥めながらも「確かにな」と同意をする。


「納得いくかよ!俺が、俺の方がアイシャに相応しいんだ!ランクだってもうすぐB級になれるってのによぉっ!」


再び、テーブルに拳を打ち付けると、並々と注がれたエールをガッと掴んで、一気に飲み干していく。

飲み終わったジョッキをテーブルの上にダンッ!と音を鳴らし打ち付け、そのまま大声でおかわりを催促する。


「おらっ!エールのおかわり持ってこいっ!」


あまりに機嫌が悪いライルの様子にパーティメンバーもそろそろ手を上げてきた。


「おい、ライルよ。気持ちは分かるがよ、大概にしておけよ」


「そうだぜ、周りを見てみろよ、あからさまに苛立ってるヤツらがこっちを睨んでるぜ」


パーティメンバーがそう言って諭すが、ライルは全く聞く耳を持たない。

それどころか、睨んでいるヤツらがいると聞いて逆に挑発をし始めた。


「ああ?何だ?俺になんか文句でもあんのか?てめえらのようなカス野郎が俺に生意気な態度を取るなんざ、まだまだ早ええんだよっ!」


そう言って、机の上にあったパーティメンバーの飲んでいたエールのジョッキを手に取り、睨み付けていた冒険者に向かってエールをぶちまけた。


流石にそこまでされれば、他の冒険者達も黙っていない、当たり前だ。

冒険者達という人種は面子を潰される事を極度に嫌う人種である。


マナーを守らず、酒場で騒ぐような愚か者にエールをぶちまけられて黙っていろと言うのが無理な話だ。


当然、その場で大乱闘となった。

ライルのパーティメンバーはこりゃいかんとばかりに逃走する。勿論、騒動の元凶であるライルは置き去りにしてだ。


襲いかかってきたのはエールをぶちまけられた男だけではない、その周りにおりライルのやかましさに辟易していた冒険者達も一緒だ。

その数は10人程までふくれあがった。


いくら腕利きと自負していても、エールをガブ飲みし酔っぱらった状態で10人相手に善戦出来るわけがない。


袋だたきにされたライルはそのまま店の外に放り出される事になる。


「……くっ、全部、全部あの餓鬼のせいだ……、殺してやる……殺してやるぞ」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



その頃、王都のとある部屋では……。



「例の【鑑定:全】を授かった少年ですが、オークを単独で倒したとの事です」


「ほお、それは凄いな。成人したてで単独でオークを倒す、か。【鑑定:全】は戦闘向けのスキルでは無い筈だな?」


「はい、勿論です」


「……彼が授かったスキルは他に何があったんだ?」


「確か……【カット&ペースト】だった筈です」


「うん?なんだそれは……名前から考えるに【カット】と【ペースト】が一緒になったスキルなのか?」


「ええ、そのようです。どちらも大したスキルでは無いですからね、報告はしませんでしたが……」


「その二つだけか?……どちらも戦闘向けでは無いな、どういう事だ?」


「わかりません……」


「何かその少年には秘密がありそうだな?一度会ってみるのも面白そうだな」



本人の知らない間にマインの運命の歯車が大きく動き出そうとしている。

果たしてマインを待ち受ける運命とは一体。

【改稿】


2017/03/11

・全般の誤字を修正。

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