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第134話 新たな神獣

『そうかい、決めたかい。

 なら、私達神獣もさっき言ったようにお前の目標に対して協力しよう。

 ……まあ、私はそれとは関係なくお前に協力するがね』


フェンリル様からそう言われる。

神獣様の協力……なんか僕なんかの為に申し訳ないよね。


僕の気持ちが分かったのか、今度はユミル様が声を発した。


『気にする事はあるまい、元々は儂の尻ぬぐいをお主に任すと言う話じゃ。

 儂が言う事ではないのだろうが、今回の件は神獣十柱全員の総意じゃからの。

 寧ろ、儂らこそが気にせねばならん話よ』


ユミル様のその一言を聞いたフェンリル様が少し切れ気味にユミル様に向かって叫ぶ。


『……アンタがそれを言うんじゃないよっ!』


……そうか、フェンリル様も言ってたっけ。

神獣の総意として、エルフ族の現状を何とか改善したいと思っているって。


僕が【鑑定・全】の新たな組み合わせを発見し、過去に戻り過去を改変するという事は、神獣様達の希望にも沿う事になるんだ。


『分かりました、頑張ります』


僕がそう言ってユミル様に頭を下げると、ユミル様が満足げに頷く。

フェンリル様は、ちっと舌打ちしていたけど……。


『それはそうとお主ら、面白い加護を貰っているな』


面白い加護?一体なんの事だろう?……それにお主ら?僕だけじゃない?


『……加護ですか?』


なんでもユミル様が言うには、エイミさんと僕、わっふるが世界樹(ユグドラシル)から授かった加護が珍しいのだと言う。


世界樹の加護と言うのは、そもそも世界樹(ユグドラシル)の世話をしていたハイ・エルフが授かる物らしい。

そして、加護の能力は授かった人々でそれぞれ違い、力が上がる者や魔法を使えるようになる等、千差万別らしい。


エイミさんも加護は受けていたのだが、自分の加護がどんな能力なのかは分からなかったと言うのだ。


『お主達が授かった世界樹の加護、それは命を落としても蘇生すると言う物じゃな』


……え?か、鑑定しなきゃ!



【世界樹の祝福】:寿命以外で生命活動が停止した時に自動で発動。

         体力が1/10の状態で蘇生する。蘇生後、24時間は体力の回復は出来ない。

         また、発動後は約一年のクールタイムが必要。


ほ、本当だ!?確かに蘇生するって書いてある!

こ、こんな事って……。


『……そうか、私、世界樹の加護のおかげで……あの時、生き返れたんだ……』


エイミさんが世界樹(ユグドラシル)を見ながら、そう呟いた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



『さて、これで目的は果たしたね。帰るとするかい?』


エイミさんと僕が落ち着いた頃を見計らって、フェンリル様がそう声を掛けてくる。


僕達がいる世界樹(ユグドラシル)の麓は、うっすらと緑光に包まれていて、明るかったから気にならなかったけど、確かにもう日がすっかり落ちて、辺りは暗くなってきている。


『『いやだ、いやだー、マインとあそぶー!ぴくにっくするのー!』』


僕にくっついていたわっふるの弟二人が、いつものように駄々をこね始める。

……うん、確かに来る前にフェンリル様が「ピクニックに行く」と言っていた。


フェンリル様もそう言って出てきた手前、強く子供達に言えないようだ。


『ふう、仕方ないね。マイン悪いんだけど、坊や達と遊んでやってくれるかい?

 私はユミルを連れて神霊の森に帰っておくよ、坊や達が満足したら連れてきてくれるかい?』


そう言って、フェンリル様はユミル様を連れて帰っていった。

ユミル様は【固有魔法・時空】の存在を知っていたようで、初見なのに余り驚いては居なかったみたいだった。



『さて、どうしようか……』


子供達のお守りを任された訳だけど、一体何をしたらいいんだろう。


「……あの、マインさん……せっかくなので世界樹の迷宮(ダンジョン)に行かれたらどうですか?」


エイミさんが控えめに提案をしてくる。


ああ、そう言えば、元々はこの迷宮に何時でも挑戦出来るようにという事で此処に来たんだっけ……。

フェンリル様の提案のおかげですっかり忘れていたよ。


……そうだね、確かにいいアイデアかもしれないな。


フェンリル様もこの迷宮には変わった魔物が多いって言ってたし、様子を見るのは悪くないと思う。


それにこっそりとエイミさんに貼り付けた【獲得経験十倍】があるから、ついでにエイミさんのレベルもあげれるしね。


『うん、いいと思うよ!わっふる達もそれでいい?』


『わふ!いいぞー、ひさしぶりのかりだー!!』


『おー、にーちゃんといっしょにかりだー!』


『おれ、がんばるぞー』


うん、三兄弟もやる気満々だ。

ピクニックじゃないけど、問題無さそうだね。


「じゃあ、行きましょうか!エイミさん!!」


僕がエイミさんにそう声を掛けると、彼女は激しくわたわたし始めた。

面白いくらいに、顔面を蒼白にしている。


……彼女のスキル構成を見た感じ、今までずっと戦いには無縁だった筈だ。

だから、迷宮(ダンジョン)に潜ると言われれば、こうなるのは当たり前かもしれないね。


「わ、私も行くんですか!?……で、出来れば遠慮したいんですが……」


「丁度良い機会ですよ、今後、僕達がエイミさんの事は守りますけど、最終的に身を守るのは結局の所、自分自身です」


嫌がる彼女に経験値やレベルの存在と概念。

それから、僕がこっそりと貼り付けておいた【獲得経験十倍】の説明をし、何とか説得する。


『えいみ、あんしんしろー!おれがついてるぞー!』


彼女の頭の上で、わっふるが気合いをいれている。


『おねーちゃん、おれたちもいるから、あんしんだぞー!』

『おれたち、つよいんだぞー!』


……君達、自分達が行きたいからって……。

三匹がかりでエイミさんを説得する姿を見て、僕は苦笑する。


「……分かりました、頑張ります……」


がっくりと項垂れ、そう言うエイミさん。反対に三兄弟は、大喜びである。


よし、それじゃあ世界樹の迷宮(ダンジョン)に挑戦しよう!


エイミさんの案内してもらい、数百メートルほど歩き、入り口まで到着する。

そこは、人一人が何とか入る事が出来る洞だった。


「ここでいいんですか?」


「はい、ここに入っていくと狭いですが通路があるんです」


そう、彼女に促され、僕達は順番に中に入っていく。

流石に狭いので、わっふる達は自分で歩いてもらう事にする。


そして、十分程進み、大きな広間のような場所に出たんだ。

そう、遂に僕達は世界樹の迷宮(ダンジョン)に足を踏み入れたのだ。


「……ここにフェンリル様が言ってた変わったスキルを持つ魔物達がいるんだね」


僕がそう呟くと、先程まで何も居なかった場所に……巨大な何かが悠然と浮かんでいた(・・・・・・)


「……え?」


ああ、そうだ。

フェンリル様に教えて貰ってたんだった。


世界樹の迷宮(ダンジョン)には、神獣が一柱常駐してるって……。


そう、目の前に突然現れた巨大な何か、それこそがフェンリル様が言っていた神獣様の姿だったんだ。




お読み頂きありがとうございました。


今後ともどうぞ宜しくお願いします。



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