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第113話 お泊まり会 男女比1:4(2)

僕とアイシャの力作がドンドンと炊事場から運ばれていく。


今回は家族だけではなく、二人もお客様を迎えての晩ご飯だったので、僕も相当気合いを入れて作らせてもらったんだ。


……その結果、なんと【料理】のレベルが上がりLv3になりました!


そりゃ、毎日僕等の食事を頑張って作ってくれているアイシャの足下には及ばない。

けど、ひいき目もあるのかもしれないけれど、そのアイシャが美味しいって褒めてくれたんだ。


やっぱり、褒めて貰えるとやる気になるよね!

これからも迷惑で無ければ、ちょくちょくと料理を作らせてもらおうかな。


「すごいですわっ!これ、本当にお義兄様とアイシャお義姉様がお作りになったんですの?」


目の前に配膳されていく料理を見て、興奮しながら叫ぶエアリー。

うん、ここまで喜んでくれるなら作ったかいがあるよね!


「ふむ、今日は二人ともかなり気合いを入れて作ったんだな……。

 旦那様もまた腕をあげたようだ、これは本気で私も料理を覚える必要があるな……」


「お姉様、料理は剣でするのではないのですよ?

 包丁を使うのです、包丁を!分かってるんですの?」


いや、エアリー……。

いくらシルフィでも包丁は知ってるよ?


剣で料理なんてしないしね、実のお姉さんを何だと思ってるんだろう……?


……ん?


あああああっ!?わっふるっ!!!!


お腹が空いていたのか、我慢出来なくなっているのか、わっふるの口から大量の涎が流れてるよ!

尻尾もブルンブルンといつもよりも激しく振っている。


これは、急いで食べ始めた方がいいかもしれないね!


「わっふるも待ちきれないようだから、食べ始めようか!」


僕がそう宣言すると、全員がきちんと着席し、神様にお祈りを始めた。

そして、お祈りが終わって各々が思い思いのおかずを食べ始めていく。


「美味しいですわ!!」

「うん、流石だ!」

「……ほんとに美味しいです」


それぞれの口から飛び出る感想を聞き、僕とアイシャは思わずハイタッチをする。


「マイン君、良かったわね!」

「うん!アイシャが色々教えてくれたしね!」


うん、エアリーもエイミさんも楽しんでくれてるみたいだし、大成功って所かな。


「わふっ!」


うん、わっふるも大満足みたいだね!



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



大量にあった食事も綺麗に全て無くなり、今は食後のお茶をみんなで楽しんでいる。


「お姉様、噂のお風呂に(わたくし)入りたいですわ!」


お茶を飲みながら、エアリーがシルフィに向かってそう話しかける。


……ああ、そうか。

そう言えば元々お義兄さんがお風呂の事を話した事が切っ掛けだもんね。


しかし、僕も人の事は言えないんだけど、みんな本当にお風呂好きだよね!


「……噂のお風呂ですか?」


お風呂という単語に反応したのだろうか。

今まで、静かにみんなの会話を聞くだけだったエイミさんが会話に参加し出した。


「ええ!この家のお風呂は王家のお風呂よりも気持ちがいいんですわ!

 アルトお兄様が絶賛してましたもの。(わたくし)これを楽しみにしてきたのですわ!」


「王家の物よりも……気持ちいい!?」


ああ、エイミさんも興味津々だよ……。


「マインさん、わ、私も入らせて頂いても?」


「勿論、いいですよ!じゃあ、僕沸かしてきますね!」


みんながこんなに楽しみにしてるなら、うん。

急いでお湯を沸かしてこよう。


まあ、普通のお風呂じゃないから、あっという間に沸いちゃうんだけどね!


僕が立ち上がり、お風呂に向かって歩いていくと、わっふるも後をついてきた。


『わふっ!おふろー!』


『……沸かすだけだから、すぐには入らないよ?』


『……』


『それに、今日はお客様から先に入って貰わないとね』


『……』


『多分、シルフィとエアリーが一緒に入って、アイシャとエイミさんが入るでしょ?

 その後に僕とわっふるになるんじゃないかな?』


『……』


『ん、どうしたの?わっふる』


わっふるの動きが完全に止まり、尻尾が股下に垂れ下がっている。


『まいん、おれのばん、いちばんさいごか?』


『うん、多分そうなんじゃないかな?』


『……』


『わっふる?』


『おれ、しるふぃとはいるぞ!』


え?


僕がキョトンとしているうちにわっふるは居間へと、戻っていってしまった。

そんなにお風呂に早く入りたいのか、わっふる……。


わっふるが居間に一人?戻ってしまったので、仕方なく僕一人でお風呂場へと向かう。


そして何時も通りに収納袋から【常時:水】、【常時:熱】の石を取り出して、お風呂に窪みに放り込む。

いつも通り水を×5、熱を×4貼り付けて五分待つ。




いい案配にお風呂沸いたのを確認して、みんなにお風呂の準備が出来た事を伝えに居間へと戻る。


「お風呂沸いたよー!」


『しるふぃ、いくぞー、おふろいくぞー!』


まだ、用意も何も出来ていないシルフィの衣服をかぷっと軽く噛みついて引っ張るわっふる。


『まて、まってくれ、わっふる。着替えくらい用意させてくれ』


「お姉様!先に行きますわよ!わっふるちゃん行きましょう!案内してもらえます?」


「わふっ!」


エアリーの呼びかけを聞き、あっさりとシルフィの服から口を離し、タッタとエアリーの後をついていくわっふる。


そんなわっふるの様子を見ていたお嫁さん二人とエイミさんは仕方ないなあと言った感じでニコニコと見ていた。

やっぱりわっふるを見ていると和むよね!


とても僕を庇ってブラックドラゴンに向かっていったなんて、この様子だけ見ていたら信じられないよね。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「……確かに凄いお風呂ですわ、お湯が王宮の物とは全然違うですの!」


エアリーがそんな感想を漏らす。


確かに使われているお湯は普通の物とは違う。

風呂から上がった後、気力が満ちあふれてくるし、体調も良くなっている気がする。


恐らく旦那様のスキルが関係しているのだろうが、毎日このような風呂に浸かる事が出来る私達は幸せ者だな。


「お姉様、ずっと感じていた体のだるさが嘘みたいに消えていきますわ……。

 一体なんですの?このお風呂は……信じられませんわ……」


うん?どういう事だ。


エアリーが部屋に引き籠もる原因、それが原因不明の体調の悪さだ。

命に別状があるわけではないが、常に体にだるさを感じ、少し激しい運動をするだけで身動き出来なくなってしまう。


……その原因不明の体調の悪さが無くなっただと?

一体、旦那様はこの風呂に何をしているんだ?


「この風呂のお湯は旦那様が入れているんだ。

 私も詳しい事は分からないのだが……本当にだるさが消えたのか?」


「はい間違い無いですわ、今なら100メートルを全力疾走出来そうな位、調子がいいですの」


「信じられん、今までどんなに腕が良い治療士が診ても良くならなかったのに……」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「旦那様っ!?」


ん、どうしたんだろう。

シルフィが凄い慌てた様子で呼んでるけど……。


エアリーがいるので、流石に浴室に入る訳にはいかないので脱衣所から返事をする。


「どうしたの?」


「この風呂に入っているお湯は一体何なんだ!?

 エアリーの体調不良が無くなったぞ!!」


興奮気味に声を掛けてくるシルフィに驚きながら、言われた事を考えてみる。


……お風呂のお湯、お風呂のお湯……。

一体、何の事だろう。


思い当たる節は……あっ!?ひょっとして!


「ああ、そのお湯……魔力水だ」


「魔力水!?……聞いた事が無いぞ。一体何なんだ?」


そうか、鑑定出来ないと分からないんだよね。


「うんと、普通の水の中に大量の魔力が混ざった物……かな?」


「大量の魔力が混ざった水……」


理由は分からないけど、どうやらエアリーはこのお風呂のおかげで体調不良が治ったらしい。


『えありーのからだ、まりょくすくないぞ』


突然、わっふるが話しに割り込んできた。


……ん?待って!なんだって!?


『ど、どういう事なの、わっふる?』


『えありーから、かんじるまりょく、すごくすくない。

 たぶん、このおふろから、たりないまりょくをきゅうしゅうした』


……わっふるの思いも寄らない発言で、その場にいた全員の動きが止まった。


え?ひょっとしてエアリーの体調不良の原因が分かったって事?

お読み頂きありがとうございました。


113話がアップされたので、併せて101話の内容を一部変更しました。

※昨晩から変更しております。


今後ともどうぞ宜しくお願いします。


【改稿】


2017/01/08

・エアリーの病状の描写を若干修正。

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