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第11話 ギルドの登録と専属受付嬢

「……知らない天井だ」


目を開けると見た事の無い光景が目に入ってきた。


「あ、マイン君……気がつきましたか?良かった」


僕の呟いた言葉を聞きつけたのか、女性の声が聞こえる。

どこかで聞いたような声だな……どこだっけ……?


頭の中がぼんやりとしていて、うまく考えがまとまらない。

僕は一体どうしたんだ?


ぼんやりしていると、凄い美人のお姉さんが視界に入ってくる。


この人見た事あるな、受付嬢の……アイシャさんだっけ?


あ、段々思い出してきた。


僕はヒヨルドっていう冒険者に絡まれて、殴られて……お腹を思い切り踏みつぶされたんだ。

そこから記憶が無いと言う事は、そこで意識が途絶えた、という事なのかな。


「……ココはどこでしょう?」


アイシャさんに尋ねると、心底ほっとした表情で「ギルドの治療室ですよ」と教えてくれた。


そうか、アイシャさんが此処に運んでくれたのか、お礼を言わなきゃね。


「お姉さんが助けてくれたんですね、ありがとうございました」


そうお礼をすると、アイシャさんが応える前に男の人の声が聞こえた。


「すまなかったな……マイン君だったか?俺はギルド長のバザムだ。ギルドの長として心よりお詫びする」


突然現れたギルド長を名乗る男性が、僕に向かって深々と頭を下げて謝罪の言葉を口にする。


「いえいえ、とんでもないです。僕の方こそ御迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした」


そう返答を返すとバザムさんは「え?」という驚いた表情をみせる。


「ギルド長、マイン君はこういう方なんですよ」


アイシャさんが、なんかドヤ顔でギルド長に話しかける。


「いや、すまん。いつももっと粗暴な口調のヤツらとばかり話しているからな、君の丁寧な言葉遣いに驚いてしまった」


そういえば、アイシャさんもそんな事を言っていたな。


「さて、君に絡んできたヒヨルドと言う男だが、先程俺の方でギルドとして制裁を与えてきた」


話が落ち着いたのを見計らって、バザムさんは僕がここで寝ている原因になった件の話し始めた。


「制裁?」


「ああ、ギルド除名とヤツの両腕を落としてきた」


腕を落とした!?まじですか?

いきなり出てきた物騒な言葉に思わず引いてしまう僕。


そんな僕の様子に気が付いたのか、にやりとバザムさんは笑顔を浮かべて言い放つ。


「ヤツはギルドのルールを一度や二度では無く、何度も破った。しかも今回は一般人に対する殺人未遂までやらかしている」


そう言ってちらっと僕を見てから言葉を続ける。


「俺があそこで声を上げなければ間違いなく君は死んでいただろう。これはギルド長として見過ごせない、腕を落とした事で今までのように自分勝手には生きていけないだろう。まあ、自業自得というヤツだな」


やりすぎのような気もしないでは無いが、ギルド長が言うならそう言う物なんだろう。

いずれにせよ、既に制裁は終わっている訳なので、僕が何か言ったところでどうにもならない。


「それで、今回の件はギルドの不手際に他ならない。見舞金として金貨20枚出させて貰う、あとでアイシャから受け取ってくれ」


「え?そんな……金貨20枚って大金じゃないですか!?受け取れないですよ!!」


「いや、これはギルドとして面子もある。受け取って貰わねばこちらが困ってしまう、分かってくれ」


そう言って、ギルド長は席を立ち「では失礼するよ」と言いながら、治療室から出て行ってしまった。


余りの、急展開に僕がポカンとしていると、「ん、んっ」と咳払いをするアイシャさんが気が付いた。


「ごめんなさいね、あれでも君の事を心配していたのよ?」


とウインクをして、ギルド長をフォローしている。


「さて、改めましてごめんないね。……あと、ありがとう。私を庇って殴られてくれたのよね」


「い、いえ、女の人が殴られたりしたら僕がイヤだっただけですし……それに、元々絡まれたのは僕のせいですし……」


「そう、けど覚えておいて私は君に感謝をしてるって、ね」


「あ、はい……」


なんか、強引に話をまとめられてしまった。

なんか流石、年上の女性って感じだな。


「それじゃあ、話を進めましょう。ギルドに登録するって言ってたけど、今でもその気持ちは変わらないかしら?」


ああ、そうだ。僕ギルドに入ろうとしてたとこだったよ、この騒ぎですっかり忘れてた。


「ええ、宜しくお願いします」


僕が頭を下げて、肯定の言葉を口に出すと、アイシャさんはニッコリと笑って話を続けてくる。


「わかりました、では今回の件のお詫びという訳では無いのだけど、私がマイン君の専属受付嬢に当たらせて貰います」


専属受付嬢?なんだ?知らない言葉がまた出てきたぞ。

僕が訳が分からず混乱している間にもドンドン彼女は話を進めていく。


「ああ、自己紹介がまだだったわね?私はアイシャ。アイシャ・ローレルよ!宜しくね、マイン君♪」


「え?ええ、アイシャさん、こちらこそ宜しくお願いします……じゃない!?専属受付嬢って何なんですか!?」


「ギルドの受付嬢はそれぞれのギルド長の指示で特定冒険者の専属になる事があるのよ。で、今回のトラブルのお詫びの一環としてバザムギルド長がマイン君の専属としてあたしを指定したの」


専属って事は、僕が来ない時はアイシャさんの仕事が無いってこと!?

そんなの申し分けなさすぎるよ。


「いやいやいやいや、僕見ての通り、弱いですし、アイシャさんに迷惑かけてしまいますよ!?勘弁して下さい」


「大丈夫よ、専属って言い方だけど、普段は今まで通り普通に仕事をしてるのよ?君が来た際にあたしが対応をするってだけだから安心して頂戴」


その後、色々と抵抗を試みたけれど、既に決まった事だからと専属の件は覆る事は無かった。


【改稿】


2017/03/11

・全般の誤字を修正。

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