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第108話 クランハウスを考える

……朝が来た。


今日はクランハウスの出来上がり具合を確認しにいかないとね。

本当は昨日行こうかと思っていたんだけど……気疲れで寝ちゃったんだよね。


まさか、ルーカスの町総出で僕達の結婚を祝福してくれるなんて。


……嬉しかったけれど流石にあの歓迎っぷりは精神的に疲れちゃうよね。


夕べはお風呂に入った後、僕も奥さま二人も何かをする気力も残っておらず、すぐに眠りに落ちてしまったんだ。


そのおかげなのか、今朝は疲れを残す事もなく、すっきりと目覚める事が出来たよ。


相変わらず、奥さん二人は寝てるけどね。

今日は二人とも寝巻きをちゃんと着てるので、目の保養はありません。


……何時までもこうやってぼーっとしてても仕方ないし、恒例の朝風呂に行ってスッキリしてこよう。


ゴソゴソと二人を起こさないようベッドから抜け出して、わっふるの籠の中を覗いてみる。


「わふ!」


うん、やっぱり起きてたね。

待ってたよと言わんばかりに、肉球を見せながら、右手を挙げていつもの挨拶?をしてくる。


『わっふる、お風呂いく?』


勿論、答えは聞くまでも無く分かってはいるのだけど、一応聞いてみる。


『おふろー、おふろー』


そう言って、素早く籠から這い出て、僕の頭の上によじ登ってくる。

これまた何時も通りに僕の頭をぺしぺしと叩きながら、さっさと行けと催促してくる。


わっふるがしっかりと頭に乗っかってる事を確認して、お風呂に急いで向かう。




「~♪」

『~♪』


珍しくわっふるはお風呂で泳がず、ぷかーっと大の字になって仰向け浮かんでいる。

尻尾で舵を取ってるみたいで器用に縁に頭をぶつけないようにお風呂を漂っている。


『わっふる、今日は泳がないの?』

『ぷかぷか、きもちいー♪』


……なんか、新たな喜びを見つけたみたいだ。


神獣を信仰している人もいると聞くけど、そう言った人が、今のわっふるを見たら信仰が揺らぐんじゃないだろうか……。

まあ、可愛いからいいか!


プカプカとお風呂を漂う、わっふるに和みながら浸かっていると何時も通り、奥さん二人がやってきた。


「……なんて可愛いのかしら」


わっふるを見て、二人の動きがピタっと止まる。


ああ、やっぱりこうなるよね。


結局、お嫁さん二人から、わっふるが逃げ出すまでお風呂から出る事が出来なかった。

……わっふるに奥さん達の興味を奪われ構ってもらえず、ちょっとだけ、のぼせてしまったのは内緒です。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「……ごめんね、マイン君」

「すまなかった!旦那様……つい我を忘れてしまったのだ……」


最近分かったけど、二人とも可愛い物が大好きだよね。


今は、アイシャが作ってくれた朝ご飯を食べながら、二人が僕に謝っている所だ。

別に大した事は無いし、特に怒っている訳ではないので謝ってもらう必要なんかないんだけど、二人の気持ち的な事を考えて大人しく謝罪を受けているんだ。


「……うん、分かったよ。

 別に気にしなくてもいいんだけど、気持ち的に納得出来ないんだよね?

 だから、次にお風呂に入った時に気をつけて貰うと言う事でこの話はお終いという事にしよう」


僕がそう言うと二人ともほっとした表情を見せた後、なんとか笑顔になってくれた。


「しかし、アイシャの料理の腕前はどんどん凄くなってくるね。

 もう、僕なんかじゃ足下にも及ばないなあ……」


「全く、旦那様の言う通りだな、私も料理を覚えねばならないな」


そう、アイシャの料理スキルは先日とうとうLV7になった。


この前、王宮の料理人を鑑定した時の平均レベルが5~7位だった事から一流の料理人と言っても良い程の腕前になっている。

僕自身もそれなりに料理をしているけどLV2から一向に上がっていかない。


僕とアイシャが作った料理を比べると明らかに味に差が出るようになった。

その為、益々アイシャに料理を任せるようになってしまう為、差は一向に縮まらない。


それどころか、日々引き離されている状況だ。


僕はともかく、お嫁さん二人とわっふるには美味しい物を食べて貰いたいからね。

これはこれで良しとしないとダメかなあ……。


出来るならアイシャを休ませてあげたいんだよね……。

まあ、おいおい二人と相談してみよう。


「二人に喜んで貰えるなら、それが一番嬉しいですよ。

 姫様も今度から一緒に作ってみますか?」


……僕が考え込んでいるうちに益々僕が料理をする機会が減ってしまったようだ。


心の中で嘆いているとわっふるがご飯を中断して僕の所までトコトコ歩いてくる。

そして、じっと僕を見てから、膝をポンと叩いて再びご飯に戻っていく。


……気を落とすなって言いたいのかな?

わっふるの心遣いが心に染みるよ……。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ねえ、シルフィ……相談があるんだけど」


「珍しいな、旦那様がそんな改まるなんて、私で良ければ何でも話してくれ」


クランハウスの設計図を書いたのは親方とシルフィだ。

例のクラン員の宿舎を作る話はまずシルフィに相談するのが筋だろう。


「クランハウスに職員の宿舎を作らない?」


「ふむ、なるほど……取りあえずはエイミが住む場所をと言う事か?

 だが、エイミは今まで住んでいた家があるのでは無いのか?」


「それはそうだろうけど、彼女を守る必要があるよね?

 そうなると目の届くクランハウスに住んで貰った方がいいでしょ。

 クランハウスが何時出来るのかにもよるけど、出来上がるまではうちで預かるつもりだしね」


僕の説明にふむと再びシルフィは頷き、少し考え始めた。

そして、しばらく考え込んだ後、大きく頷き僕に向かって結論を伝える。


「親方と相談してみないと現実的なのかどうかわからないが取りあえず、三階建てはどうだろうか。

 貴族としての体面もあるからな、二階は極力今の予定から変えたくはない。

 となると三階を造るのが一番良いと思うのだが……」


なるほど、確かに。


それに今後職員がどれだけ増えるのか分からないからね。

王様が何人か手配するって言ってたから、その人数によっては部屋数は多く必要になる。


二階を宿舎として使うとなれば、当然フォルトゥーナ家の施設としては手狭になっちゃうもんね。

となれば、シルフィの言う三階というのは、理にかなっていると思う。


「うん、いいんじゃないかな?

 取りあえず、親方の所に行ってこようか」


アイシャとわっふるを呼び寄せて簡単に今の話を説明し、全員でクランハウスの建設現場へと移動を開始する。

……まあ、移動といってもすぐ隣なんだけどね。


さて、親方は何て言うんだろうね?

そもそも、今からの変更は出来るんだろうか?


取りあえず、話を聞いてみよう!

お読み頂きありがとうございました。

今後ともどうぞ宜しくお願いします。


なお、明日の更新でクラン名を発表致します。


※アップされた事になっているのに何故か上がっていなかったので削除して再アップしました。


【改稿】


2017/01/03

・全般の誤字を修正。


2017/01/06

・全般の誤字を修正。

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