表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/291

第106話 ただいまっ!

あけましておめでとうございます!

今年も「カット&ペーストでこの世界を生きていく」を宜しくお願いしますm(_ _)m

新しく僕等の仲間になったハイエルフのエイミさん。


今までは魔導具でその姿を偽っていたのだけど、本来の彼女の姿は噂に違わず美しかった。


……いや、美しすぎた。


シルフィとアイシャという美人をお嫁さんにしている僕ですら、その美しさに思わず見惚れてしまう。


何というんだろう、お嫁さん二人の美しさは人間味ある活力を感じる美しさというのだろうか。

それに対してエイミさんの美しさは完成された芸術品のような調和を感じる美しさだ。


確かにこんな姿を見たら、過ちを犯す者がいてもおかしくはない気がするよ。


「……マイン君、何を見惚れてるのかしら?」


アイシャがオホンと咳払いをしながら、真面目な顔で聞いてくる。


「私達と言う者が居ると言うのに……旦那様はエイミの方がいいのか?」


続いて、シルフィが聞いてくる。

やはり、真剣な表情である。


……あ、ひょっとしてコレ不味い?


「え?ええ!?た、確かにエイミさんは綺麗だけど……僕にとって二人は特別というか、何というか……」


慌てて必死になって弁明をする僕を見て、二人はいきなり笑いだした。


「ふふふ、冗談よ!冗談!」


ああ!からかわれたのかっ!!

……まあ、二人が楽しんでくれたのなら、いいんだけどね。


僕達が夫婦漫才をやっていると、エイミさんはその様子を見て、クスクスと笑い始める。


「流石、新婚さんですね……仲が良くて羨ましいです」


『まいんー、まいんー、おれもしょうかいしてくれー』


ああ、そうだね!

わっふるもちゃんと紹介しなきゃ!


僕はわっふるを頭から下ろし、両手で顔の前まで抱き上げる。


「エイミさん、うちの家族の一員でわっふるです!

 仲良くして上げて下さい!」


僕の言葉にあわせてわっふるが右手をあげて「わふっ!」と挨拶をする。


「……よろしくお願いしますね、わっふるちゃん」


一瞬、わっふるを見て怪訝な表情をしたものの、すぐにニコっと微笑んでわっふるに声をかけてくれた。


あ、そう言えば……ついでだから聞いておこうかな?


「……ところでエイミさん、何でオークに捕まっていたの?」


なんとなく疑問に思っていた事を聞いてみた。


すると「薬草を採りに行ったら、捕まってしまって……」と申し訳なさそうに告白する。


……ああ、そうか。


あんな浅い場所でオークなんかが出てくるなんて普通思わないよね。

鑑定で見たエイミさんのステータス、戦闘向きじゃなかったし、無事に救出出来て本当に良かったよ。


けど、今までどうやって生活してたんだろう?

【錬金術】を持っているから、多分薬草をポーションにして売っていたのだろうけど……。


それに、あの森に薬草を採りに行くという事は多分、ルーカスに住んでいるんだと思うんだけど。

家族の話が全く出ないんだよね……。


ちょっと込み入った話になりそうだし、焦らずに徐々に聞く事にしよう。

下手をすると古傷を抉る話になってしまう可能性もあるしね。



エイミさんも自分自身の正体を話した事で肩の荷が下りたのだろう。

徐々ではあるけれど、笑顔で僕等と話をしてくれるようになった。


話しているうちにふと一つ疑問が沸いてきた。

なんで、ギルド長とアイシャは彼女がエルフって分かったんだろ?


魔導具で変装してたのに……。


「ちょっと疑問なんですが……」


僕がその事を尋ねると、エイミさんはバツの悪そうな表情で答えてくれた。

何でもその魔導具は定期的に専用の器具を使って魔力を充填しないといけない物らしい。


オーク達に捕らえられてから、ずっと魔力を充填できず、僕に助けられた後、ギルドで事情を話している間に隠蔽が解けてしまったらしい。

運が良かったのは、その場に居たのはギルド長とアイシャの二人だけだったと言う事だ。


ギルドのホールなんかで充填が切れたら今頃、とんでもない事になっていただろう。





「……さて、とそろそろいいかな?」


僕等の様子が落ち着いてきたのを見計らって、ギルド長が声を掛けてきた。

会話を止め、全員がギルド長に注目する。


「では、エイミはそちらが今度作られるクランで預かると言う事で宜しいかな?」


「はい!責任持ってお預かりします!」


僕が代表してそう答えると、ギルド長も肩の荷が下りたのだろう。

明らかにほっとした様子を見せたんだ。


まあ、そりゃそうだよね。

いくら国が違うとはいえ、ヒューム族のせいで行き場を無くしてしまったエルフを預かっていたんだ。


しかも、冒険者ギルドには以前僕に絡んできたヒヨルドみたいな荒くれ者も多い。


ふとした事で、エイミさんの正体がばれてしまったら、何をやらかすか分かったものじゃない。

その心労は相当な物だっただろうと思う。


「しかし、クランとして活動しているとき、エイミはクランハウスに一人残るのだろう?

 その時に賊がやってきたらどうするつもりなんだ?」


ギルド長がそう尋ねてくる。


「そこは国王様が護衛ともう一人受付担当者を手配してくれると言ってましたので大丈夫だと思います」


僕がそう答え、シルフィが相づちを打つ事で、ギルド長も安心したようだ。


「人手がいるようなら、うちにも依頼を出してくれ。

 信頼出来る冒険者を派遣するからな」


取りあえず、クランハウスの進捗状況を見てみない事にはね。

二階に職員が住める寮のような場所を作る予定だからね、そこが出来たらエイミさんに使って貰おうと思う。


クランハウスが完成するまでは、うちに泊まって貰うか、王宮に泊まって貰うのがいいのかな?


何にせよ、これでギルドでの用件は片づいたよね。

さっさと自宅に帰る事にしようか。


「じゃあ、詳細が決まったら迎えに来ますので、それまでエイミさんの事を宜しくお願いします!」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



自宅に戻るまでの道のりも熱烈な歓待を受ける事になる。

……ひょっとしたらルーカスの市民全員が集まったんじゃないかな?と思っちゃう位、沢山の人だった。


「……ただいまっ!」


やっと家に入った頃には疲れ果て、僕達は床に寝転がる。


『わふ!ここがまいんのすみかなのかー』


わっふるだけは、すごく元気で早速家の中を探検しに行ってしまった。

まあ、僕の頭の上にずっといただけだもんね。


……疲れる訳ないか。


走り回っているわっふるを眺めながら、しばらく何もせずにゴロゴロとしている。

アイシャとシルフィの二人は流石に床に転がる事はしないけど、椅子に座ってぐったりしている。


……やっぱり、迷宮(ダンジョン)に行く方が楽だよね。


精神的な疲労は慣れていない事もあって、中々体から抜けてくれない。


そんな訳で、ひたすらぼーっとしていると凄い勢いでわっふるが僕の上に飛び乗ってきた。


「はぅっ!」


思わず、口から呻き声が出てしまう。


『まいん!まいん!まいん!』


『……ど、どうしたの?わっふる』


『おれ、はっけんした!おふろみつけたぞー!!』


『……うん、お風呂あるよ』


『おれ、おふろはいる!まいんもはいろう!』


……お風呂、お風呂か。

ああ、確かにいいかもね。


クランハウスの確認はもう明日でいいかな……。

疲れを取るのも大事だよね。


「ちょっとお風呂沸かして入ってくるね。わっふるも入りたいって言ってるし!」


そう言って立ち上がり、お風呂場へわっふると一緒に向かう。


いつものように【常時:水】×5、【常時:熱】×4を風呂桶に窪みにセットし、お風呂をさっと沸かす。

一端、脱衣所に戻り「よし、わっふる入ろうか!」とさっと服を脱ぎ、脱衣籠に放り込んだ。


風呂場の中は既にもくもくと湯気が立ち上がっていて、少し温かくなっていた。


さっとわっふるの体と自分の体を石けんで洗い、素早く湯船に体を沈めていく。


「ふぅ~♪やっぱりお風呂はいいよね!」


『おー!』


いつも通り、犬かきで上手に泳ぐわっふる。

その姿を見ているだけで疲れが抜けていく感じがするよ。


「マイン君!私達も入るねー!」


そして予想通り、愛する奥さん達もやってきた。


うん、これもいつも通りだね!


……やっと、家に帰ってきた気がするよ!



「ただいまっ!!」


お読み頂きありがとうございました。


今後ともどうぞ宜しくお願いします。


【改稿】


2017/01/01

・全般の誤字・言い回しを修正。


2017/01/03

・エイミについてマインの疑問に思っている事を追加。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ