第102話 クランのあれこれ
結婚式も僕等の精神的な疲弊以外は無事に終了する事が出来た。
王家の方々。
神殿の方々。
……そして何よりも王都に住む一般人の方々が僕達の結婚を祝ってくれていた。
勿論、僕等の結婚を認めず、気に入らないと思っている人達も大勢いるだろう。
それでも大勢の人達が笑顔で祝福してくれた事が心から嬉しい。
本当に、本当に、僕は幸せ者です。
僕にこの幸せをくれるきっかけをくれた神様。
僕と結婚してくれた二人の素敵なお嫁さん。
僕に関わってくれた全ての人達に心から感謝!です。
「無事に終わって良かったね」
僕同様に大勢の前での結婚にプレッシャーを感じていたアイシャが心からほっとした様子で話しかけてきた。
「……うん、沢山の人が祝福してくれて嬉しかったけど、やっぱりちょっと疲れちゃったよね」
長椅子にもたれかかってぐてっとだらけていると、アイシャが僕の右横に座ってくる。
そして、体を僕に預けて同じようにぐてっとアイシャもだらけ始める。
「ふふっ、夫婦でお揃いだね!」
そう言えば、こうしてアイシャとイチャイチャするのは久しぶりかも?
僕の腕に自分の腕を絡めながら、だらだらと世間話をしていると、国王様の所に行っていたシルフィが部屋に戻ってきた。
「ずるいぞ!二人とも!!」
イチャつく僕等に力の限りの不満を表明し、空いている僕の左横に飛び込んでくる。
まさに両手に花で、僕達は自分で言うのも変だけど……すごく良い笑顔で至福の時間を過ごしたんだ。
……え、わっふる?
うん、わっふるはいつも通り僕の頭の上で欠伸をしている。
何でも種族が違う男女のイチャイチャを見ても何も感じないとの事で僕等の様子を見ても普段と何も様子は変わらなかった。
結局、エアリーが尋ねてくるまで、僕等のイチャイチャは続くのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「さて、お前達の結婚式も無事に終わり、まずは一区切りと言った所だ。
だが、色々決めねばならない事がまだまだある」
国王様に呼び出され、そんな話を聞かされる。
決めなきゃいけない事?なんだろ……家名は決まったし……特に無いと思うんだけど?
僕がハテ?と言う表情をしている事に気が付いたのだろう。
国王様が苦笑を浮かべて話しを続ける。
「クランを立ち上げるのだろう?
先に話したように許可は勿論出すが、クランの名称を決めねば正式に登録できないだろうが」
……あっ!
確かにそうだね。
クランの名前かあ、なんか最近名前を決める事が多いなあ。
わっふるの名前、家名、そしてクランの名前……。
それって、今決めないとダメなのかな?
流石にぱっと決まるような物じゃないよね。
「……国王様、少し時間を頂いてもいいでしょうか」
「ふむ、流石に今すぐ決めろと言うのは酷か。
いいだろう、決まったらすぐに報告に来なさい。
お前達が今回宿泊していた部屋は常時開けておく。
例の魔法で移動する時に使うといいだろう」
国王様の許可を得て、時間を貰う事が出来たので、第三回家族会議を行わないといけないよね。
ただ、既にクラン宛に国から依頼を受注している訳なので、早めに決めないといけない。
「それから、お前は新興とはいえ、既に貴族の一員だ。
滅多に無いとは思うが、お前を訪ねて他の貴族やらが来るかもしれん。
それを迎える為に今の家屋では、色々不味かろう。
その辺りはどうするつもりだ?」
国王様の問いにシルフィが答えを返した。
「クランハウスを今建てているので、その二階部分をフォルトゥーナ家の対外施設にしようと思っている」
うん、クランハウスを建てると決めた時にシルフィからそう言う提案があったんだよね。
だけど、貴族の住居の事なんて僕はよく分からないから、親方とシルフィで話し合ってもらって図面を引いて貰ったんだ。
きっと、今ぐらい親方達は頑張ってくれているんじゃないかな?
「ほう、ちゃんと考えていたか。それならば問題は無いだろう。
ではクランの受付や職員はどうするつもりだ?」
職員?受付ならアイシャが本職じゃないのかな?
何と言っても冒険者ギルドの人気受付嬢だったわけだし。
「……義弟、言っておくがアイシャ殿は職員では無いからな?」
お義兄さんが僕の考えを見抜き、釘を刺してくる。
う~ん、じゃあどうしたらいいんだろう。
流石にこれについては、二人と話し合ってないなあ……。
僕が頭を悩ましていると、そのアイシャが話し始める。
「……私に心当たりがあるのですが……
ルーカスのギルド長バザム・ハサウェイから報告は来ていませんか?」
ん?心当たり……ギルド受付嬢の誰かを引き抜くのかな?
「ルーカスのギルド長……!ああ、あの件か?聞いてはいるが……。
まさかっ!?心当たりというのは、報告のあった娘の事か!?」
「はい、私達のクランで匿うのが一番都合がよいと思うのですが如何でしょうか」
ん?ん?ん??全く僕が分からない会話がアイシャと国王様の間で起こってるよ。
僕だけが分からないのかと思っていたけど、どうやらシルフィも分からないみたいだ。
しきりに首を傾げているよ。
あっ!お義兄さんは分かったみたいだ。
急に驚いた顔になったよ。
「……アイシャ殿、それは」
お義兄さんが珍しく動揺してるみたいだ。
一体、何事なんだろう?
国王様はじっと目を瞑って考え込んでいるようだ。
アイシャはそれ以上何も言わず、国王様の考えが纏まるのを待ってるみたい。
……重苦しい雰囲気のまま、五分程経過する。
「ふぅ、分かった。確かに妥当と言えば妥当だろう。
王都で保護しようと思ってはいたが、下手に人が多いここよりもルーカスの方が人目に付きにくいだろう。
お前達の所にいるというなら、我々と近い位置で見守る事が出来るし、何よりマインがいるしな」
うん、全く分からないよ!
国王様の話を聞いてアイシャは、ほっと安堵の溜息を吐く。
「だが、そうなると受付にもう一人、常時の護衛役が必要ではないか?」
「……確かにそうですね」
「良かろう、そう言う話ならば私が選定しよう。
マイン、シルフィ、異存は無いな?」
異存って言っても……全く状況が分からないんだけど……。
けど、取りあえずアイシャも納得してるみたいだし、国王様が僕等が困る人選なんてしないだろうし、別に反対する理由はないかな?
「……正直よく分からないですけど、お任せします」
僕がそう言うと国王様は大きく頷いて、この話は終わる事となった。
「さて、他の件はそれほど緊急では無いからな、クランの名前を報告するときに話そう。
ルーカスにそろそろ戻るのだろう?市民への建前、馬車で帰るのだぞ」
国王様のその言葉でこの場は解散となり、僕等はルーカスへとようやく帰れる事になったのだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
……今、僕達は国王様が用意してくれたとても豪華な馬車に乗って帰路についている。
来るときもそうだったけど、振動は殆どなく、移動速度ももの凄く速い。
これなら、今日中にはルーカスに帰れそうだよね。
さて、せっかくだからアイシャに聞かなきゃ、さっきの国王様とのやり取りの事を。
「……ねえ、アイシャ……」
「ええ、分かってるわ……。うちのクランに来るのはね……」
……一体誰なんだろう?
お読み頂きありがとうございました。
と、言うわけで急遽クランの名前を募集致します。
募集期間は少し短いですが、12/31の23:59までとさせて頂きます。
自分で考えようと思っていたのですが、皆さんの方が厨二テイストたっぷりの名前を出せる気がしましたので
再び、お力を借りようかと思います。
何時も通り、活動報告に記事を立てておりますのでどうぞ、気軽にお書き下さい。
なお、書き込みが無い場合は私の方でそれっぽい名前を付けさせて頂きます。
今後ともどうぞ宜しくお願いします。




