プロローグ
明日はね 明日の風が吹くんでしょ・・・
何があったとしても私は負けない
努力の向こうには
何かがある
無駄なことなんてなんにもないんだよ
ひとつひとつ意味があって
ほら、
こうして
私たちが出会ってしまったこと
そして
あの
不透明な思い出にも。
もう
二度と出会えないと思ってたのに・・・
出会いたくなかったのに。
これは夢?
それとも現実だろうか。
わけがわからない。
そして
ここはいったいどこなのだろうか。
そもそも
私は誰だろう。
私が今、覚えていることそれは、
彼と会ってはいけないと言うことだけだ。
しかも頭では理解しようとしていない。
心がおもたい
苦しい
助けて・・・
彼は悲しそうに私に微笑んで見せた
ように見えた。
<PBR>
少し時間がたったようだ。
周りを見ると、先ほどとは違う場所の様である。
木々が生い茂っている。
今は夏なのだろうか。周りからはセミたちの声が聞こえる。
心地よい風をうけ、私は生い茂っている草むらの上に寝転んだ。
ーああー私はこんなところで何をしているんだろう。ー
と心の中でぼけっと考えた。
「考えたって答えは出ないのにね」
不意にそんな声が聞こえた気がしたがここには誰一人として人間は見当たらない。
私をのぞいては。
なんて不思議な世界なんだろう。
ストレスも何もない
自由が掲げられた世界のようだ。
何にも制限されることがない。
少し歩くと、頬を赤らめさせるように寒くなった。
ふと、うえを見上げてみると
雪が降っている。
・・・というより
雪の結晶がふってきている。
綺麗。
その一言しかいらないぐらい
雪の結晶は美しかった。
太陽の光を反射しているのだろうか
七色に輝いて見える。
私の目の前には川が流れている。そのうえには木で作られた小さな橋が架かっている。
こつこつこつこつ。
木のにおいが漂っている。何の香りだろうか。
木が柔らかい。橋として作られた後もこうして生きているのだろう。
呼吸しているのが分かる。
私は、<生>を直接感じたいと思いはじめていた。
靴をぬぎ、素足で木を感じていた。
橋を渡り終えると、もっと強く強く<生>をもとめていた。
この感情をなんと呼ぶべきか。
心臓が振るえあがるような・・・
今にも飛び出しそうだ。
空気を感じたい、この肌で。
全身で。
この世の<生>、全てを感じたい。
いつのまにか、私は
体に纏っているもの全てを失っていた。
目の前には椿の花が咲き誇っている。
ー私の名前は椿