体力テスト
食堂でソリナに会い、席は決まっていなかったので三人でご飯を食べた。そのとき近くにいたガロを、ソリナも認識してはいないようだった。ガロの話をしようかと悩んでいると隣に座っていたヴァルがいきなりしゃべりだした。
「リナさー、レイの回りを飛んでいるやつのことって見えてる?」
「!?」
「え?」
俺は口に入っているものを噴出しそうになった。
(初対面の二人同士なのになぜそんな話を切り出すんだ!)
「ヴァル!」
「見えてないけど何かいるの?」
「レイって見えないものが見えるんだってー。それで朝、ドラゴンがいたんだよ。俺は見ていないけど」
「へ~!レイ、どんなドラゴン?」
俺の制止の声も聞かないヴァルの話に食いついてきたソリナから、意外な質問が来た。
「えっ……と。ち、小さい青いドラゴンだけど」
「レイしか見えてないからよく分かんないんだけどなー。でも、話したりしてるのを見てるから、いるのは確実なんだ!」
「すごいね!私も見てみたいよ」
「……気味悪く思わないのか?」
「「なんで?」」
二人して同じ反応を示した。
「俺はそういうのがあってこそのレイだと思うし、俺そういうの受け入れる派だから」
「私も受け入れる派だよー。まぁオカルトチックなのが好きなだけだけどねー」
それから食べ終わるまでの時間、俺は二人の質問攻めにあった。
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「今日の予定は……」
学園に登校した俺たちは、今日の予定を見るために学園に設置してる連絡板の前にいた。今日の予定は昨日の儀式の中であった説明どおり、クラス分けのテストが行われるらしい。
「三人一緒になれるといいな」
「きっとなれるよ!」
ソリナは張り切って声を上げており、ヴァルは何度かうなずいていた。
「テスト会場は出席番号順で決まっているらしいし、テストの時間は一緒の教室でやれるよ」
「だよなー。行こうか」
テストは基礎体力テスト、基礎学力テスト、基礎魔力テストの三つが行われた。俺は体力テストが散々だったが、魔力テストは、使ったこともないのになかなかだと試験監督に言われた。ソリナは俺の逆だった。ヴァルはというと、すべてにおいて試験管にほめられていた。
太陽がもうそろそろで地面につこうかという時間。やっとテストが終了した。
「これにて試験を終了とします。明日明後日は休園ですので、また三日後にお会いしましょう。三日後の朝、今日の予定が張ってあった場所にクラス分けを張っておくので、各自で見てクラスに向かってください。ご苦労様でした」
終了を告げられるとおのおのが友達を連れ立って帰っていった。
「うぅ……」
「そんなに落ち込むなよ。体力なくたって関係ないさ」
「ヴァルには言われたくないっ!」
「私も体力はいいんだけど魔力がないんだよねー。才能がないんだって昔言われたことあるもん」
「でも男の俺よりあること事態が、俺にとっちゃうらやましいんだけど……」
「レイを比較にしちゃ駄目だよー」
ガロの攻撃。俺に千のダメージ。残り一。
「テストの間、僕は三人のテストの様子を上から見てたんだけど、一番ひどかったのは、レイの体力テストだったもん」
駄目だしの追加攻撃。痛恨の一撃が発生。二千五百のダメージ。体力がなくなった。
「レイー、どうしたのー?」
「ガロに何か言われたのか?」
うなだれた俺に、優しい二人の差し伸べた手が目の前に見えた。
「俺を比較に出すなーってさ……」
「でもしょうがないよ。無い物は無いんだから。他のが良かっただけ良しとしようよ。私もそうなんだからさ」
「体力なんてあっても無いようなもんだし、ただ長い時間走り回れるってだけで、そんないいこと無いしな。それに、レイってそんな運動タイプには見えないし」
上げて落とされた感覚がした。




