表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死を象る世界は遊戯なれど  作者: 茜木
序『少年と少女』
2/42



 事の起こりは、二人が訪れた街での会話からだ。




「二人は旅人さんか何かかい?」




 一泊泊まった宿の主人が、少年と少女の装備の具合から何気無くそう言った。

 出かけだったので使い古したローブを羽織っていたのだが、動く度に揺れる隙間から見えてしまったらしい。

 少女は腰に細身の鞘を、少年に至っては背中に背負っているのだから丸分かりだ。

 別に隠す事でも無かったので正直に頷くと、主人は困った様な顔をした。




「なら、北の街道は通らない方がいいよ」




 話に寄ると、どうやら旅人が何人も野生の獣に襲われているとの事。




「野獣くらいなら、倒せば良くない?」



「多勢に無勢って言葉、知ってる?」




 楽観的な少年の考えに少女が現実的に反論し、結果、東の街道から大回りして北の新たな街を目指すことになった。




「って言うかさ、何で北に拘わんの? 俺達の目的に方向は関係無くない?」




 道中、少年が正面突破が出来なかった事が不満に残っているのか、不服そうに少女に訊く。

 そんな少年の態度に慣れている少女は、別段変わらない口調で、




「私達は南端から来た。なら、真反対の北を目指すのが最短距離でしょ」



「そりゃそーだけどさぁ・・・」




 納得出来ないのか、まだ愚痴を言おうとする少年は、しかし、足が止まるのと同時に先を失った。




「・・・なぁ、確か野獣が出るのは北だっつってなよな、あのおっさん」



「確かに『北の街道』とは言っていた」




 少年は少女の返答に嫌そうな顔で苦笑いをしながら、涼しい顔のまま街道の先を見る相方に尋ねる。




「・・・ここは、どの街道だったりする?」




 各々の身に付けた武具に手を伸ばし、




「北東街道」




「お前ぇぇええええッ!!」





 刀身が鞘走ると同時に、何十匹もの狼が二人に襲いかかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ