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魔宝樹の鍵  作者: 桐谷瑞香
番外編 散りばめられた旅の思い出(掌編集)
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還術士の少女が戦う理由

 なぜ武器を持って戦うのか――と、たくさんの人から聞かれたことがある。

 その度に私は、「多くの人を護りたいから」と答えた。それで納得する人もいたが、だいたいの人からは「危険だからやめなさい」と言われた。しかしその言葉を突っぱねて、私はこの歳までスピアを振り続けてきた。

 生まれ育った町を護るために。そして――



「リディス、そろそろ行くぞ」

 川辺で思いふけっていると、黒髪の青年フリートが声をかけてきた。我に戻った私は立ち上がり、服についた埃を軽く払った。彼の後ろには共に旅をしているもう一人の仲間、銀髪の青年ロカセナが首を傾げている。

「疲れたのなら、もう少し休もうか?」

「大丈夫よ。少し考えごとをしていただけ。疲れもとれたし、行こう」

 青年たちを差し置いて来た道を戻る。道らしき場所に出ると、南に向かった。二人は足早に追いつき、リディスを前後に挟むようにして歩いていく。

「町でも恋しくなったのか?」

 前を歩いていたフリートが背中越しから聞いてくる。少し間を置いた後に、首を横に振った。

 諸事情の関係から私は町を出て、騎士の彼らと一緒に王都へ向かっている。それは私の決意から始まった、未来で事を為すための旅立ちだった。

「よく人から聞かれたことを思い出していただけ。なぜ戦うのか……って」

「戦う理由か。それは自分や他人を護るためだろ」

 フリートが間髪をいれずに答えると、ロカセナも続いて言ってくれた。

「戦えた方がモンスターで溢れる世界では生きやすいから。僕にとってはあくまでも手段だよ。リディスちゃんはなんて答えたの?」

「私も多くの人を護るために、そして――」

 私は口元を緩めて、前と後ろにいる青年たちに視線を送った。

「まだ見ぬ世界に旅立つ備えのために」

 私を町から連れ出した彼らの表情は驚きつつも、どこか嬉しそうな顔つきだった。



 もし今後、私のように思い切って外に出られない人と出会ったら、私は彼らがしてくれたように手を差し伸ばしたいと思う。

 そして、こう言いたい。

「さあ、行こう。共に世界を見るために」――と。


・2016年10月8日開催 第4回Text-Revolutions内有志企画「第1回キャラクターカタログ企画」寄稿作品(リディスで参加)

・時間軸: 第1章1-10~11の王国までの道中

・コメント:3人での旅の途中の一幕で、リディス視点の彼女なりの考え方です。

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