表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間失格~仁義なき復讐~  作者: 猫塚ルイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/100

第97話

永田町の夜を切り裂き、多脚ドローンが機械的な羽音を立てて迫る。


そのレンズ越しに、日本中の茶の間へ「凶悪犯・黒嵜」の虚像がリアルタイムで垂れ流されている。


「兄貴、囲まれてます! これじゃ塔に近づく前に、世論っていう壁に押し潰されちまう!」


山城がレンズを避けるように顔を伏せる。


だが、俺はあえて正面からカメラを睨みつけた。


「志摩、準備はいいか。…俺を撮ってるその電波、逆利用させてもらうぜ」


『……了解だ。放送衛星のプロトコルに潜り込んだ。お前が「麒麟の塔」の外部端子にデバイスを差し込めば、編集される前の『生の記録』を全国のモニターに強制送還してやる』


俺と山城は、ドローンの射線を縫いながら、千代田の闇にそびえ立つ漆黒の巨塔――


通称「麒麟の塔」の基部へと滑り込んだ。


そこには物理的な門番はいない。


代わりに、踏み入れた者の心拍数や瞳孔の動きから「敵意」を検出する、不可視の精神防壁が張り巡らされていた。


『おや、強行突破ですか。榊原の息子らしい、短絡的で美しい結末だ』


久我山の声が、塔の壁面全体から振動となって伝わってくる。


「短絡的で悪かったな。……だが、俺たちは理屈で動いてねえんだよ!」


俺はデバイスを接続端子へ叩き込んだ。


瞬間


街中のデジタルサイネージが激しく明滅し、久我山が隠蔽してきた「真実の映像」が流れ始めた。


都庁爆破の真犯人である組織の工作員、そして地底で蠢いていた「麒麟」の全貌。


『…ふむ。情報の毒には、情報の毒を、というわけか。面白い』


久我山が指を鳴らすような音が響くと同時に、塔のセキュリティレベルが最終段階へと跳ね上がった。


エントランスの重厚な防壁が開き、そこから現れたのは、これまでの守護者とも葬列とも違う


「俺と同じ顔」をしたクローン――組織が俺の遺伝子情報から造り出した、最強の刺客だった。


「……親父を殺し、俺をハメた。次は『俺自身』をぶつけてくるってか」


目の前の「俺」が、無機質な笑みを浮かべて脇差を抜く。

 

残された時間は、あと75日。


自分自身を切り捨てなければ、頂上へは辿り着けない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ