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人間失格~仁義なき復讐~  作者: 猫塚ルイ


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第93話

都庁の最上階から放たれた爆炎が、夜空を真っ赤に染め上げた。


瓦礫と共に地上数十メートルへと放り出された俺の視界を、激しい風が叩く。


死を覚悟したその瞬間、強烈な衝撃が身体を突き抜けた。


「……捕まえたぞ、兄貴ッ!!」


山城の声だった。


奴は源蔵と共に、清掃用のゴンドラを強引に操作し、落下する俺を中空で受け止めたのだ。


金属の床に叩きつけられた衝撃で肋骨が悲鳴を上げるが、生きている実感が全身を駆け巡る。


「…馬鹿野郎、間に合いすぎだ……」


「へへ、新宿の野良犬は鼻が利くんでさあ!」


山城が鼻を啜りながら笑う。


見上げれば、崩れゆく都庁の頂から、影山という男の執念が黒煙となって消えていくのが見えた。



◆◇◆◇


数時間後───


新宿の街には、夜明けの光が差し込み始めていた。


地上の包囲網は、志摩がリークした「組織の裏金リスト」によって混乱に陥り、公安の車両は次々と撤退を開始している。


洗脳から解かれた住人たちは、混乱の中で互いの無事を確認し合い


街には再び人間の、不揃いで力強い喧騒が戻りつつあった。


「和貴、見てみろ。…街が、生きてやがる」


源蔵が、汚れきった手でタバコを吹かしながら街を見下ろす。


だが、俺の心は晴れなかった。


影山が最期に遺した言葉――『国全体の再起動』というフレーズが、脳裏にこびりついて離れない。


「志摩……影山が言っていたことは本当か?」


合流した志摩は、いつになく真剣な表情で端末を叩いていた。


「……ああ。影山の死と共に、組織のサーバーから『真の計画書』の断片が送られてきた」


「黒嵜、俺たちが戦っていた『黒い百合』は、巨大な計画のほんの一部……『執行部』に過ぎなかったんだ」


志摩が提示した画面には、新宿だけではなく


東京、そして日本全土の主要都市が、ある「巨大な円」の中にプロットされていた。


「この国を一度、デジタルの管理下で完全に更地にする。新宿はそのための『プロトタイプ(実験場)』だった。…本番は、あと80日後に全国一斉に始まる」


100日後の結末。


それは新宿の消滅ではなく、この国の「意志」そのものを組織が買い叩き、リセットすること。


「……上等じゃねえか。新宿を救えたなら、次は日本を救うだけだ」


俺は傷だらけの身体を起こし、朝日を浴びる新宿の街を睨みつけた。


残された時間は、あと79日。


新宿の野良犬たちの戦いは、ついに国の中枢へと牙を剥く。


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