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人間失格~仁義なき復讐~  作者: 猫塚ルイ


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第79話

手榴弾のピンを抜いたまま、俺は影山を睨みつけた。


雨音がコンクリートに反響する地下駐車場は、一触即発の火薬庫と化している。


「……撃ってみろよ。俺の指が緩んだ瞬間、ここにあるガス車三台が吹き飛ぶ。有毒ガスが地上に漏れ出せば、お前らが守ろうとしてる『綺麗な都庁』も、汚染地帯に逆戻りだぞ」 


俺の言葉に、影山の頬がわずかに引き攣った。


組織にとって、この「一掃作戦」はあくまで秘密裏、かつスマートに行われるべき「事務処理」だ。


ここで大爆発を起こし、無差別な汚染を広げることは、奴らにとっても最悪のシナリオだった。


「……全車、供給を停止しろ。狙撃班、待機だ」


影山が無線に低く命じる。


地下へ伸びていた太いホースの振動が止まり、送り込まれていた死の吐息が途絶えた。


「賢明だな、インテリ」


「勘違いしないでください、黒嵜さん。これは妥協ではありません。君という『個』の処理よりも、計画の『完遂』を優先したに過ぎない」


影山が冷酷に合図を送ると、工作員たちが車両を移動させ始めた。


だが、奴らは去り際に、俺の足元へ小さな黒い立方体を投げ捨てた。


「……!なんだ、それは」


「地下の鼠たちに贈る、最後の手向けです。ガスが止まっても、彼らの『居場所』がいつまで持つか……楽しみですね」


影山たちが走り去ると同時に、その立方体が不気味な高周波音を出し始めた。


――指向性エネルギー兵器


地盤を振動させ、人工的に土砂崩れを引き起こす装置だ。


「……野郎!!」


俺は手榴弾を安全な場所へ投げ捨て、再びマンホールの中へと飛び込んだ。


地下では、凄まじい轟音が響き始めている。

 

「山城!源蔵さん!逃げろ、崩落が来るぞ!!」


激流を逆走し、俺は必死に仲間の元へと向かった。

 

志摩からの通信が絶叫に変わる。


『黒嵜!逃げろ!奴ら、駐車場の下の支持基盤を破壊した! 新宿駅の西口エリアが……沈むぞ!!』


地上のビル群が揺れ、夜の新宿に巨大な地割れが走り始めた。

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