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人間失格~仁義なき復讐~  作者: 猫塚ルイ


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第48話

重力から解き放たれた感覚の後、背中を焼くような衝撃が走った。


崩落したコンクリートの破片と共に、俺は大河内を抱えたまま


地下数十メートルの未完成のシェルター跡へと叩きつけられた。


暗闇。


立ち込める埃と、漏れ出した配管からの水音だけが響く。


「……ガハッ、…あ……」


数メートル先で、大河内が瓦礫に下半身を挟まれ、虫のように悶えていた。


かつての絶対権力者も、地の底ではただの脆い老人に過ぎない。


俺はきしむ体に鞭を打ち、ゆっくりと立ち上がった。


左肩の傷が完全に開き、熱い血が指先まで伝い落ちる。


足元に転がっていたのは、投げたはずの親父のドスだった。


「……終わりだ、大河内。あんたの作った『聖域』が、あんたの墓場になったんだ」


俺はドスを拾い上げ、一歩ずつ歩み寄る。


「……待て、黒嵜。…殺して何になる。……私がいなくなれば、この国の経済は…さらなる混乱に……っ!」


「知ったことか。俺は極道だ。国なんてデカいもん背負っちゃいねえ。…俺が背負ってるのは、あんたが踏みつけにした、小さな命の重さだけだ」


刃を振り上げる。だが、大河内は絶望の中で、不気味な笑みを浮かべた。


「……なら忘れるな、榊原が私と交わした真の契約は……『お前の命』を守ることではなく…お前を『私と同じ側の人間』にすることだったのだぞ……」


「…何だと?」


「お前は…私を殺した瞬間……この国の影を継ぐ者となる。……暴力で秩序を書き換える、新たな…怪物にな……」


その言葉と同時に、頭上の崩落口からロープが降りてきた。


「和貴兄貴!生きてますか!」


松田の声だ。


続いて、ライトの光が暗闇を切り裂く。


俺は振り上げた刃を止めた。


こいつを殺せば、俺の復讐は完成する。


だが、それは大河内の言う通り、血塗られた連鎖の一部になることなのか。


俺はドスを鞘に収め、大河内の顔に唾を吐き捨てた。


「……ならあんたには、汚ねえ泥水を啜りながら、一生かけて罪を数えてもらう」


俺は松田が投げたロープを掴んだ。


だが、その時。


暗闇の奥から、カチリ、と金属が噛み合う音がした。


生き残っていた「死番虫」の残党か、あるいは――。


「……黒嵜。……地獄へは、一人で行かせねえと言ったはずだ」


響いたのは、久瀬の声だった。


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