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人間失格~仁義なき復讐~  作者: 猫塚ルイ


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第45話

俺のドスを受け止めたのは、見覚えのある、だが冷徹に研ぎ澄まされた一振りの刀だった。


火花が散る至近距離。


睨み合った男の顔には、かつて俺と競い合った若衆時代の面影と、火災で焼けたような無惨なケロイドが刻まれていた。


「……久瀬、死んだんじゃなかったのか」


俺の声が低く響く。


久瀬。榊原組で俺と双璧を成し、数年前の抗争で爆死したはずの男。


「……三和会の医療技術は、地獄の門を叩いた俺すら連れ戻したよ、和貴」


久瀬の腕には、機械的な補助装置が仕込まれており、そこから繰り出される力はもはや人間の域を超えていた。


俺は力負けし、ステージの後方へと弾き飛ばされる。


「大河内会長は、俺の新しい『親』だ。…和貴、お前の古臭い筋書きは、ここで書き換えさせてもらう」


久瀬が刀を正眼に構える。その動きには一切の迷いがない。


三和会によって「調整」された、意志を持たない処刑人。


「……志摩!山城!」


俺は無線に向かって叫ぶが、返ってくるのは激しいノイズだけだった。


「無駄だ。この会場周辺は、最新のジャミングで完全に隔離されている。お前の仲間たちは、今頃外で『掃除屋』どもに囲まれているはずだ」


大河内が安全な防弾ガラスの奥へと下がりながら、冷たく言い放った。


孤立無援。


新宿のど真ん中で、俺は再び一人になった。


「いいぜ、久瀬。……お前が三和会の犬に成り下がったなら、俺がその首を、親父への供え物にしてやるよ」


俺は二振りのドスをクロスさせ、低く構えた。


左肩の傷が熱を帯び、脈打つ。


だが、研ぎ澄まされた感覚の中で、風の動き


久瀬の鼓動、そして会場を包む殺意が、一本の糸のように繋がっていく。


かつての兄弟分。


今、三和会の盾となった男。


俺は親父のドスを逆手に持ち替え、一気に踏み込んだ。


それは


新宿再開発のステージが、血塗られた「兄弟喧嘩」の舞台へと変わった瞬間だった。


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