表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間失格~仁義なき復讐~  作者: 猫塚ルイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/100

第34話

サーチライトの白光が、降りしきる雪を銀色の矢に変えて降り注ぐ。


志摩が掲げた無線機は、中臣の震える吐息を拾い上げ


新宿中に配置された機動隊、パトカー


そしてスマホを握りしめる群衆の耳元へと、その「恐怖」をダイレクトに送り届けていた。


「……言え。お前が拓海をどう殺した。親父をどう売った」


俺の声は、自分でも驚くほど静かだった。


怒りはもはや、形を変えて純粋な「執行」へと昇華していた。


「わ、私が…私が直接手を下したわけではない!!私はただ、国益のために、邪魔な汚れを掃除させただけだ!」


中臣の叫びが電波に乗る。


「汚れだと?拓海には産まれてくる子供がいたんだ。親父はあんたを信じて、三十年も影で支えてきたんだぞ!」


「極道の家族など、社会の寄生虫だ!駒がいなくなれば、新しい駒を補充する。それが政治だ……ああっ!」


俺はドスの刃を、中臣の掌に深く突き立てた。


スピーカーから、鼓膜を震わせるような絶叫が響き渡る。


「……聞こえたか、新宿。これが、お前らが一票を託した男の本音だ」


俺はカメラ付きのスマホを中臣の顔に向け、その無様な姿をリアルタイムで世界に晒し続けた。


上空のヘリが、証拠隠滅のためにミサイルを放とうと、機首をこちらに向けた。


「黒嵜、危ない!」


志摩が俺を突き飛ばす。


直後、資材置き場のコンクリート壁が爆音と共に弾け飛び、熱風が俺たちの全身を叩いた。


瓦礫が降り注ぐ中、俺は中臣を掴んだまま、崩れ落ちた鉄骨の隙間へと潜り込んだ。


中臣のスーツはボロボロになり、エリートの面影は完全に消失している。


ただの、死にたくないと喚く老いぼれがそこにいた。


「志摩……っ、生きてるか」


「…ああ。だが、この無線機もここまでだ。回線が遮断された」


志摩が壊れた端末を投げ捨てる。


だが、その顔には確かな達成感があった。


「……十分だ。街の空気が変わった。もう誰も、警察も、中臣を守ろうとはしない」


建物の外からは、怒れる群衆が機動隊の壁を突き破り、こちらへ向かってくる足音が地鳴りのように聞こえてくる。


国家安全保障局のヘリも、これ以上の民間人の暴徒化を恐れたのか、高度を上げて旋回を始めた。


「…中臣。お前の審判は、俺じゃない。この街の奴らが下す」


俺は中臣の首根っこを掴み


資材置き場の外、群衆が押し寄せる大通りへと引きずり出した。


「殺さないのか」


志摩の声に、俺は一度だけ振り返り、親父のドスを地面に突き刺した。


「……死なせるのは、勿体ねえよ。こいつには、地獄よりも長い『余生』を味合わせてやる」


俺は中臣を、怒りに燃える新宿の街へと放り投げた。

 

崩れ落ちる秩序の中で、俺の復讐は、誰も予想しなかった「結末」へと向かっていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ