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人間失格~仁義なき復讐~  作者: 猫塚ルイ


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第31話

榊原ビルから吐き出された俺と志摩は、混乱の極みに達した新宿の路上へと降り立った。


巨大スクリーンには依然として中臣の裏帳簿が映し出され


それを背景に、機動隊と怒れる群衆が衝突を繰り返している。


雪と催涙ガスが入り混じり、視界は最悪だ。


「……ハッ、まるで世界の終わりだな」


志摩が血混じりの唾を吐き、足を引きずりながら路地裏へと俺を誘う。


「終わりじゃねえよ、志摩。まだ中臣の息の根は止まってねえ」


俺はスマホの画面を睨みつけた。


拡散したデータは決定打になるはずだが


あのような怪物は、トカゲの尻尾切りで生き延びる術をいくらでも持っている。


事実、警察の上層部はすでに「データの真偽を精査中」という声明を出し、時間を稼ぎ始めていた。


「黒嵜、あそこを見ろ」


志摩が指差す先、裏通りの暗がりに、見覚えのある黒いセダンが数台停まっていた。


榊原組の紋章ではない。


中臣が飼っている、民間の軍事会社の車両だ。


奴らは群衆に紛れ、中臣を連れて都心からの脱出を図ろうとしている。


「……逃がすかよ。拓海の、親父の……そして俺の人生を狂わせた代償、まだ払いきってねえだろ」


俺は親父のドスを握り直した。


その時、背後から数人の男たちが現れた。


山城を筆頭とした、榊原組の生き残りだ。


「黒嵜の兄貴……!街中がパニックです。警察も組員も関係なく、みんな殺気立ってやがる」


「山城。…お前に最後の命令だ。あの黒いセダンを包囲しろ。中臣を外に出すな」


山城は一瞬、俺の「鬼」のような形相にたじろいだが、すぐに覚悟を決めたように頷いた。


「……分かりました。どうせ、もう行く場所なんてねえんだ。最後くらい、俺の意地、見せてやりますよ」



山城たちが路地を駆け抜けていく。


俺と志摩も、逆方向からセダンを挟み撃ちにするべく、雪の積もるゴミ捨て場の影を潜り抜けた。


冷たい風が、俺の火照った傷口を撫でる。


新宿の街が燃えている。


俺たちの欲望も、悲しみも、すべてを飲み込むような巨大な炎となって。


「行くぞ、志摩…地獄の門が閉まる前に、あの男を引きずり込む」


俺たちは、国家という巨大な壁に、最後の風穴を開けるべく走り出した。


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