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マンハンター

親愛なるシャルロットさまへ


お加減を悪くなされたと聞いて、いてもたってもいられず筆を執った次第です。

遠方ゆえ、お見舞いすることが叶わず、悲しみに暮れております。

側に居れず、手紙でのお見舞いとなることをお許しください。


気がかりなことは多いでしょうが、ご療養の間、勇敢なるフェデリーゴ・ジャンフランコさまが、きっと貴女を励ましてくださることでしょう。

まずは治療に専念し十分に養生いただき、一日も早く回復なされますよう、お祈り申し上げます。


必ず、必ずよき日は来ます。そのために生きること。それが貴女のやるべきことです。


貴女の親愛なる隣人、パトリシア・ドゥ・ボドリエールより

1.


 馬車に四人。屋根はない。雪の中、吹きっ晒しで座っていた。

「ああくそ、寒いったらありゃしない」

 正面に座ったデュエムが、二の腕をせわしなくさすっていた。

「ぼやくなよ、ダニー。終わったらジャックの店であったまろうぜ」

「ポトフがいいな。それとソーセージ。マスタードを山盛りで」

「いいですね。飲み物はプンシュがいいかな」

「おっ、センスがいいな、新入り。ジャックの野苺亭はプンシュもうまい。栄養満点、風邪知らずだ。あれだけで、いつだって元気でいられる。ああくそ、こういう時に限って忘れてきちまった。おい、リコ。ひとくちくれよ」

 ダマーズはそうやって、隣りに座った大男からラムの瓶を借りた。ひとくち含んだだけでも、腹の中から熱くなる。

 ラムを返す。そいつは変わらない調子で、それを煽り続けていた。それを見て、モニエが思わずと言った感じで顔をしかめた。

「マレンツィオ少尉殿。飲み過ぎではありませんか?これから任務だというのに」

「おい、新入り。よく聞きな」

 ダマーズは、その言葉に割って入っていた。

「俺たち“角打かくうち”の間でうまくやっていくを教えてやる。俺の言う事と、リコの酒に口を挟むんじゃねえ」

 凄んだ言葉に、モニエは震えながら口をつぐんだ。

「そろそろ着くぜ、坊やども。俺とリコが援護射撃する。その間、ダニーと新入りは他の連中とともに突入しろ。よろしいか」

「了解」

 馬車の足が止まる。それで、デュエムとモニエが立ち上がった。

「行けるな?リコ」

「おうよ」

 頭巾フードを目深に被ったマレンツィオは、酒に焼けた声で、ひとことだけを返してきた。

「作戦、開始」

 作戦指揮、ミルール大尉の大声。

 ダマーズは横倒しにした荷馬車の後ろに隠れた。それに遅れて、マレンツィオが着いてくる。

 粉雪。視界は悪い。それでも、俺の目なら。

「三階。左から二番目の窓。顔を出している」

 伝えるのは、それだけ。返答は銃声だった。窓から身を乗り出していた悪党が、思い切りよくのけぞった。

 撃ち終わった銃を受け取り、装填済みのものを渡してやる。昔ながらの、前装式の施条銃ライフル。装填は、どうしたって立ちながらやるしかない。遮蔽物に隠れながら、それでも落ち着いて、黒色火薬、弾丸を入れて、押し固める。撃鉄の下に雷管を挟めて、マレンツィオに渡してやる。

「二階。右から二番と五番」

 やはり、返答は銃声だった。

 射手と物見の相棒関係バディ。ダマーズとマレンツィオは、この支部小隊のなかでもとびきりだった。遠眼鏡要らずのダマーズの目と、百発百中のマレンツィオ。悪党だろうが凶悪犯だろうが関係なしにやっつけられる。

 応射。荷馬車の厚さでは心もとない。マレンツィオにひとつ合図をして、場所を移した。崩れた瓦礫。三階、左の四番と八番。それでまた、銃声。

 階上で声が上がる。内部に入った連中が制圧できたようだった。

 三人、建物から出てきた。逃げようとしている。こちらも三丁、用意ができていた。

 ひとり、こちらを向いた。顔が見えた。

 まだあどけない、子どもだった。

「リコ」

 マレンツィオの方を向いた。だが銃声は、それより早かった。

 真っ黒い目。それに怯えそうになった自分を、内心で叱りつけた。

 デュエムとモニエが戻ってくる。中の殲滅も終わったようだった。

「点呼、終わり」

 軽症者、二名。人員の損失はなかった。

 ジョアンヴィル地方。正直に、治安はよろしくない。犯罪捜査が領分の警察隊ではあるが、連日、こうやって悪党だとか匪賊の相手だとかに追われていた。

 第一分隊第三班、通称“角打かくうち”。支部小隊の中でも指折りの武闘派であり、不良軍人の集まりでもあった。全身が肝っ玉でできたようなダニエル・デュエム上等兵。一番の年嵩で経験豊富なエドワール・ダマーズ軍曹。そして横にも縦にも大きい図体ながら、銃を持たせたら敵なしのフェデリーゴ・マレンツィオ少尉である。

 都度、人員の出入りを繰り返しているが、この三人だけはいつも変わらず、任務中でも酒を飲み交わし、年齢も階級も越えて仲良くやれていた。

 いつも通り、野苺亭。三年ほど前まで“角打かくうち”にいたやつで、悪党討伐の際に負った傷がもとで足を悪くしたため、退役していた。

「ポトフ、ポトフだ。それとソーセージ。茹でてくれよ」

「はいよ、軍曹殿。マスタードは?」

「山盛りで頼む。お前のお手製なら、尚更な」

 少しもしないうちに、卓にはうまそうなポトフが置かれた。具材を煮込む前に、表面に焼き目をつけるのと、に野菜の端材を使うのがらしく、“角打かくうち”全員の好物になるほどには最高の味だった。

 温めたプンシュ。その杯を、マレンツィオは恭しく受け取り、口に運んでいった。

「ああ、たまらねえ。温かいのはいいなあ」

 それでようやく、マレンツィオの顔から険しいものが抜けていった。それを見て、ダマーズとデュエムは胸を撫で下ろしていた。

 つらいことが続いていた。それで、精神的に余裕がなくなっていた。

 切っ掛けは、ようやくできた子どもを流してしまったことだろうか。マレンツィオ家といえば、とんでもない名家である。その重圧もあったのだろう。妊娠が発覚してからすぐにになってしまったそうだ。目に入れても痛くないほどに愛している奥さまのことともあり、マレンツィオは相当に気を揉んだのと同時に、ひどく落ち込んでいた。

 そして先月、マレンツィオも、子どもを撃ち殺した。

 仕方のないことだった。爆弾を抱えて走ってきた子ども。撃たなければ、他の連中がやられるところだった。

 それを、割り切れなかった。荼毘に付される亡骸の前で、泣きながら詫びていた。

 俺には、子の親をやる資格なんてない。そう、繰り返していた。

 快活で磊落なやつだった。それが、崩れてしまった。浴びるように酒を飲んで、癇癪を起こす。諍いを起こすまではいかないが、他者と干渉することを極端にいやがるようになった。支部長パンチュローの言うことなんて聞きやしない。御しきれるのは、“角打かくうち”の面々ぐらいだった。

 それでも時折、こうやって、いつもの顔が出る。気持ちのいい、でっかい男の顔が。

「ひとごろしなんてやってるとよ、身体が冷えてたまらなくなる。まして俺なんか、ダニーのように動き回るわけでもねえ。ただひたすら、照準アイアンサイトとにらめっこだ。ここのプンシュが、何よりの妙薬だよね」

「リコにいも動けるんですから、是非とも前衛に来て欲しいものですよ。いつだって人が足らなくって困ってらあ」

「よしてくれよ。リコが前に行ったら、俺の目をしても、この図体で前が見えなくなっちまうよ」

「言ったな、エド。この野郎」

 喜色のいい顔でマレンツィオが組み付いてきた。ダマーズはなにより、それが嬉しくて仕方なかった。

「マレンツィオ少尉殿って、そういうお顔をされるのですね」

 ポトフを頬張りながら、モニエがきょとんとしていた。

「ようやく酒が回ってきたんだ。仕事も片付いたし、いい気分だね」

「いい迷惑だぜ。どこまでいっても引っ込み思案でよ」

「悪い悪い。まあ、この通り、酒で気を保っている小心者でね。仲良くしようぜ、フィル」

「フィルって、本官のことですか?」

「フィリップ・モニエだろう?だからフィルだ」

「はい、よろしくお願いします。それでも、やっぱりお酒はほどほどに」

 言われた言葉に、マレンツィオは呵々と笑っていた。

 このいっときでもいい。こいつが元気であれば、それでいい。

 次の日、支部長パンチュローに呼ばれた。ふたりきりだった。

「マレンツィオは、どうかね?」

「どうかと申されますと、精神面ですか」

「そうだな」

 どっかりと椅子の背もたれに身を任せながら、パンチュローはうなだれた。

「正直に、よくありません。心を殺しています」

「だろうな。昨日もまた、子どもを撃ったと聞いた」

「仕方のないことです。子どもを使う連中が悪い。そう考えなければ、前にも進めますまい」

「そうであればいいのだが、あれの態度が、些かな」

 そうやって、ため息ひとつ。

「異動か、長期療養を考えている」

「ちょっと待ってください、支部長。それは」

「酷な話なのは重々承知だ。それでもだ。君とデュエム君以外、誰も御しきれない。それは組織としては異常なのだ」

「貴重な精密射撃手マークスマン、いえ、狙撃手スナイパーです。そして将官としても卓越したものを持っています。ほんとうに、今はただ、躓いただけなのです」

「その躓きが、他のものに伝播することを恐れている」

 心底に、つらそうな顔だった。パンチュローにとっても、マレンツィオはお気に入りのひとりだったのだ。

「どうにかして立ち直らせたい。子どもを撃てと命令したのは私であり、相棒バディである君なのだから、彼個人の責任にはならない」

「軍人としては、その言葉だけで十分でしょう。しかし、ひとりの人間としては、そうはいきますまい。ゆっくりと時間をかけるしか」

「時間を掛けて、あれがどうにかなるものなのか、軍曹。あれはもう、壊れてしまっているのではないか」

「壊れたものは、直せばいい。俺たち、周りのもので」

 それしか、言えなかった。それでもパンチュローは、顔に脂を浮かべていた。

「少し、考えさせてくれ。そして、そういうことを考えているということも、わかってくれ」

 絞り出した言葉に、ダマーズは静かに敬礼を返した。

 誰だって、あいつを心配している。それでも、組織としては厄介者に映ってしまうのだろう。

 どうにかして、立ち直らせなければならない。

 練兵場では、マレンツィオがひとり、射撃の練習をしていた。

「パンチュロー支部長に、何を言われた?」

「何も」

「俺のことだろう?」

 ちらりと見てきた。真っ黒い目だった。

「早くよくなりますように、だとよ」

「ありがとよ。本心から、そう思っている」

 それだけ言って、マレンツィオは銃を片付けはじめた。

「おい、どこへ行く?」

「早上がり。シャルロットの具合がまだよくない。支部長には、これから伝えに行く」

「そういうところなんだよ、リコ。俺たちだって、お前のことも、シャルロットさんのことも心配なんだ。俺たちにできることをさせてくれよ」

「気持ちだけで十分さ」

 傍らに置いてあったラムを喇叭にしながら、マレンツィオは去っていってしまった。

「ああいうやつなんだよ」

 寄ってきたのは、ミルールだった。にやにやしている。

「何がマレンツィオ・ブロスキだよ。家柄にあぐらをかいた小僧の分際で。何でもかんでも自分の思い通りになると思ってやがる。ああいう手合いはな、誰彼からも構われずに、ひとりで萎んでいくのがお似合いなのさ」

 肩を組んでくる。息が臭い。こいつも多分に酒を含んでいるのだろう。

「しからば大尉殿に、かまえて言上仕ごんじょうつかまつる」

「おう、何だ?申してみろ。軍曹風情がよ」

 その顔が、ひときわに近づいたぐらいだった。

 拳をぶっ放していた。腹に突き刺さる。叫ぶこともできず、ミルールの身体がくの字に折れ曲がった。後頭部に、マレンツィオが置いていった小銃の銃床をぶちこんでやった。

「職務中の飲酒は軍規違反。軍規を預かる身として、ここに指導を申し伝える。よろしいか」

「てめえ、何を」

「復唱なし。指導追加。用意」

 そうやって、上げた顔に靴底をぶちかました。

 くそったれ。唾ひとつ吐き捨てて、ダマーズはその場をあとにした。


2.


 血と脳症。眼の前の男は、それを頭からぶちまけて倒れた。

 用事があるのは、それが持っていた小銃だった。

 手に取る。最新の、後装式小銃。この部隊に試験採用されたと聞いていた。複雑な仕掛け。それでも、少しいじるだけで仕組みは理解できた。

 もうひとつ、用事があった。

 持ってきた猟銃。何度か放った。狙いはどこでもいい。人を呼ぶことが狙いだ。

 茂みに隠れる。一個分隊出てきた。散開して捜索している。こちらには来ない。

 分隊長。ひとりきり。腰から、お目当てのものを取り出していた。

 パーカッション・リボルバー。

 身体は、動いていた。分隊長を組み伏せ、猟銃を頭に突きつけ、引き金を引いていた。

 それを手にし、一目散に逃げ出した。

「トルブレの駐留軍が襲撃されたそうだ」

 翌朝、職場に赴いたところ、上官のシュヴランからそういうことを言われた。

「小銃と拳銃、それぞれ奪われたんだとよ。今、躍起になって捜索しているそうだ」

「それはそれは、物騒ですね」

「もしかしたら、うちにも要請がかかるかもしれん。それだけ気を付けておけよ」

「かしこまりました」

 敬礼した。

 消防隊隊員としては、一定の信頼を得られていた。妻子との関係も良好であり、よき夫、よき父親として見られていた。

 人から見る分には、そういうことになっていた。

 虚ろなものに包まれていた。何が、というわけではない。銃声は、それを突き破ってくれた。そしてそれが消えると、また空虚に襲われた。

 それが、つらかった。

 二日後の休暇申請は通った。驢馬ろばも借りれた。

 未明のうちに、ありったけの銃器をその背に乗せ、露天市場マルシェに向かった。

「おはよう、消防さん。今日も早いね」

「おはよう。何があってもいいようにね」

 気のいいおやじが挨拶をしてくれた。いつもどおりに返した。そして誰も彼もが、同じように気持ちよかった。

 ビストロのテラス席で、緑の瓶を頼んだ。飲めれば何でもよかったので、一番安いものにした。

 のんびりと、露天市場マルシェの全体を眺めていた。ほんとうに、平和な一日。

 これが、今から壊れる。

 驢馬の荷を下ろす。奪った後装式小銃。実包は、山程に拵えてきている。それと、銃剣。とりつける。

「どしたい?消防さん。そんな物騒なもん、取り出して」

「先ほど連絡が来てね。軍駐留所を襲った犯人が、こっちに来てるって」

「何だって?そりゃあ大変だ。皆に伝えないと」

「そうだね」

 振り向きざま。

「そうした方がいいよ」

 破裂音。それで倒れた。

 誰もが唖然としていた。自分だけが、その時間の中を動いていた。

 テラス席で食事をしている夫妻。銃剣で背中から突き刺した。逃げようとしたウエイター。装填は間に合っていた。何事かと店内から飛び出してきたシェフ。懐から取り出したパーカッション・リボルバー。パニックになったのだろう、女ひとり、こちらに走ってきた。これも、パーカッション・リボルバーでよかった。

「こっちに逃げるのよっ」

 声だけ、聞こえた。それも、銃声で聞こえなくなった。

 悲鳴、絶叫。それでも、静寂が強かった。誰も周りにいない。近づけば、赤いものを散らして倒れてしまう。

 寂しさが込み上げてきた。そのたびに、引き金を引いた。その時だけは満足感が広がっていた。

 いつかこれが終わる時が来るのだろうか。そればかり、不安になっていた。


3.


 馬車の中、マレンツィオは眠りこくっていた。連日、浴びていた酒がよくないのか、この頃は変な時間に眠くなる。

 隣町、トルブレの露天市場マルシェで乱射事件が発生したらしい。一次報告では、相当数の被害が出ているとだけわかっている。駐留軍も向かっているとも聞いた。

 夢は、見たくなかった。いつも同じ夢。男の子。血まみれで、突っ立っている。こちらをじっと見てくる。

 そして。

「ぱぱ」

 目が醒めた。脂汗が、滝のように浮いていた。

「お目覚めかい、リコ」

 正面には、心配そうな顔のダマーズが座っていた。

「水、あるか?酒でもいい」

「樽である。消防用。かぶるか?」

「ああ」

 デュエムが水を椀で持ってきた。装備のまま、頭からかぶった。冷たさが心地よかった。

「ひでえ顔だ。幽霊みたいだよ」

「寝るたび、お化けに驚かされるんだ。そうなりもするさ」

「やっぱり、少し休めよ。奥さんだけでなく、お前自身が」

「何もしないというのも、つらくてさ」

 ダマーズの前では、弱音を吐けた。それだけ、信頼を置いていた。年としても、向こうが十かそこら上である。

 小休憩。ラムを含んだところ、気持ち悪くなって、腹のものも含めて全部吐いた。そうして、雪の中に寝転んだ。

 冷たさが、すべてを鈍らせてくれる。感情を凍てつかせ、何も考えなくて済むようにしてくれる。

「なあ、シャルロット」

 自然と、口にしていた。

「俺、何を間違えたんだろうな」

 答えはなかった。

 点呼には遅れて参加した。ミルールから指導をもらったが、大した痛みは感じなかった。きっと気に食わなかったのだろう。警棒で何度も殴られた。

 それでも、何も感じなかった。

 馬車に戻ると、モニエが傷の手当をしてくれた。衛生兵としての教育を受けていたらしい。

「やれるか?リコ」

「おうよ」

「ほんとうにか?」

 ダマーズは、ほんとうに心配そうな顔だった。

「いつもと違う。お前、死んでるよ。何もかもが」

「そうじゃないか。前々からきっと、死んでたんだよ」

「心の話じゃない。魂というか、そういうものだ。死相とか、そういうものなのかもな。とにかく、今日のお前はやばいよ」

「それじゃあ、俺はここで寝てるよ」

「その方がいい。そうじゃなきゃ、お前はきっと死ぬ」

「難しい話をするんだな、エド」

「感じたことを、そのまま言っているだけだよ、リコ」

 悲しい顔だった。それを、それ以上は見たくなかった。

 もう少し、眠った。きっと、うなされているのだろう。目を覚ますたび、デュエムやモニエが心配そうな顔で覗き込んできた。

 かたちだけの礼をして、やりすごした。

 現場。血と肉の匂い。そして狂騒。先に到着した駐留軍は、人員の避難に専念しているようだった。

「“角打かくうち”は、後詰。他の連中を先にいかせる」

 パンチュローは、そう判断したようだった。

 しばらくもしないうちに、腕やら腿を撃たれた連中が次々と運ばれてきた。中には眉間を撃たれ、死んでしまったものもいる。

「このままではいたずらに人員を消費します、支部長。俺とリコで、犯人と直接やり合う」

 一刻ほど経ってから、ダマーズが具申していた。パンチュローも、それしかないという表情だった。

 負傷者、一五名。死者、八名。支部隊の規模からいえば、大敗である。

「いけるな?リコ」

「おう」

「相手は後装式だ。相当早い。それでも、いつものでいいか?」

「いつものでいい。いつものがいい」

 前装式の施条銃ライフル。それが一番に慣れていた。

「“角打かくうち”、用意。五、四、三」

 突入。それで、四人並んだ。

 前衛、デュエムとモニエ。市場の中を確認していく。姿勢を低くして、前へ進んでいく。

「最新の怪我人は、次の角を右に曲がったところだった」

「一度、隠れる。ダニーだけ前へ」

「了解」

 デュエムが前に出る。前衛のふたりは、胸甲と鉄兜を身に着けていた。

 壁に背を着け、ゆっくりと進んでいく。天幕のない、開けた通路。

「下がれ」

 ダマーズの声。

 デュエムが走って戻って来る。その足跡を縫うように、何発かの銃弾が石畳を割っていった。

「上。左、三区画」

 言われて、そちらに銃口を向けた。

 逆光。それでも、一発。しかし相手も動いていた。

「あぐらをかいていたぜ、あいつ」

 悪態のように、ダマーズがこぼした。

「俺たちも登るぞ。フィル、階段を見つけてくれ」

「了解しました」

 モニエが駆けていく。

 市場。荒れていた。静寂。落ちていた林檎ひとつ掴み取り、マレンツィオはかぶりついた。空になっている腹に染み渡った。

「実包は山盛りある。向こうも同じようだろうが」

「根性の勝負ってとこだな」

「ダニーがいる。いくらかの分があるね」

「言ってくれるじゃないですか。俺だって、こわいものはこわいさ」

「こわくなきゃこんな仕事、やってられないさ」

 口角だけで、笑ってみせた。

 モニエが戻ってきた。屋根上に登れる階段ひとつ、見つけたそうだ。

「ダニーが先頭。フィルがでいく。とにかく、エドの目を守れ」

「勿論」

 デュエムが笑ってみせた。

 階段。慎重に登っていく。窓がいくつかある。そこを狙われるかもしれない。できるだけ姿勢を下げて。

 デュエムが屋根上に出ようとしたとき、大きな音が鳴った。

「退避、退避」

 モニエがデュエムの身体に飛びついた。それで、踊り場まで戻ってくる。

 意識はある。血も出ていない。鉄兜だけ、吹っ飛ばされたようだ。

「くそったれ。首が痛え」

「よくやった。一旦、フィルとここにいろ。リコ、ふたりで行くぞ」

「おうよ」

 ダマーズが注意深く、階段を昇っていく。顔だけ出す。どうやらいないようだ。

 屋根上。雪はあまり積もっていない。マレンツィオもダマーズも、外套は白いものを選んできていた。一定の迷彩効果が見込めるだろう。

 膝立ちで進む。

「いた。左正面」

 ダマーズの声。

「あぐらをかいている」

 瞬間だった。身体は動いていた。

 走り抜けた。遮蔽物、ひとつ。そこにふたりで駆け込んだ。銃声が何発か聞こえただけだった。

「向こうも目が冴えてる」

「あの構え、よさそうだな」

 言いながら、マレンツィオはその場に座り込んだ。

 見様見真似。あぐらをかくようにして、前足の膝を立てる。その膝を抱きかかえるようにして銃を保持。

「右、二番」

 ダマーズ。声が聞こえたときには、身体は動いていた。発砲と同時に、マレンツィオは飛び退いていた。また構えようとする。ダマーズが別の銃を投げて寄越してきた。受け取って、もう一発。

 そうやってまた、遮蔽物まで戻ってきた。

「いいな、これ。俺みたいなデブでも動けるし、何より安定する」

「そうかい、そいつはよかった」

「一旦、下がろう。ダニーもそうだが、お前も疲れている」

 マレンツィオの言葉に、ダマーズは大きくため息をついた。

 本営では、パンチュローが心配そうな顔で待っていた。軽食や水分を取り、少し横になった。

「身元が割れた。ここの消防団。かつて国境警備隊で精密射撃マークスマン部隊にいたそうだ」

精密射撃手マークスマンかよ。道理でな」

 悪態のように、吐いていた。

「軍の連中も手が空いた。精密射撃手マークスマン、三組。連携してあたろう。それと」

 パンチュロー。ラムの瓶を持ってきていた。

「死ぬなよ、マレンツィオ」

 差し出された。喇叭で、少し含んだ。

「ありがとうございます」

 つとめて、笑ってみせた。

 水を椀でもらって、それをかぶった。寒さと冷たさが心地よかった。

 ダマーズには死んでいると言われたが、小銃を握っている間は、生気に漲っていた。体が熱くなってくる。それでいて、頭は冴えている。

 きっと、ひとごろしなのかな、俺も。

「ダニーは休んでろ」

 ダマーズが判断した。

 再突入。相手はきっと、屋根上から下りている。モニエが先頭で、注意深く確認クリアリングしていく。時折の銃声から、いる場所を狭めていく。

「いた。右。他のやつと交戦中。背を向けている」

「射線上に味方がいる。ここからじゃまずい。遮蔽も欲しいな」

「向こうの路地へ。早く」

 モニエに促されながら、路地に入った。

 鼓動の高鳴りはない。平静だ。それでも昂ってくるものはある。闘志、もしくは恐怖か。

 銃身だけを出す。一発。取り替えて、もう一発。

「動くぞ。追っかける」

 ダマーズが言ったぐらいだった。

 相手が、振り向いた。

「伏せろ」

 言いながら、マレンツィオは飛び退っていた。モニエも伏せていた。

 ダマーズだけ、遅れた。

「エドっ」

 なにかにぶち当たる音。そして、倒れる音。

「軍曹、ダマーズ軍曹」

 モニエの身体は、動いていた。ダマーズの身体は、動いていなかった。

 引きずって、大通りまで出た。何人かが駆け寄ってきた。

「エド、しっかりしろ。エド」

 首の太い血管。そこから大量の血が流れていた。

「リコ」

 か細い声。差し出された手を、握り返していた。

「無事か」

「俺は、大丈夫だ。でも、お前が」

「よかった」

 それきり、何も言わなくなった。

 脈、呼吸。まだある。生きてる。それでも。

 立ち上がった。湯気のようなものが、身体から湧き上がっていた。

「エドを、頼む」

 言ったのは、それぐらいだった。

 走った。さっきいたところまで。いない。屋根上につながる階段。注意深く登っていく。階上。見渡し、見下ろす。

 どこだ、あの野郎。

 路地のひとつで、駐留軍の精密射撃手マークスマンたちと会った。

相棒バディはどうした?」

「撃たれた。だが、生きている」

「ひとりで行けるか?少尉」

「ふたりだ」

 小銃を握りしめながら。

「俺の目は、エドが育ててくれた。だからふたりだ」

 それで皆、頷いてくれた。

 散開。マレンツィオは、建物の中に入っていく。ところどころ、窓硝子が割れていた。

 いる。反対側の建物。

「左、三番」

 自然と、口にしていた。そうしてその通り、構えていた。

 射撃。相手も気付いた。素早く打ち返してくる。身を隠して、座り込んだまま、無理矢理に装填した。

「五番から八番の間。動いている。応射程度でいい」

 やはり、自然と。

 見えるぜ、エド。俺にもお前みたいに、敵が見える。

 撃ち合い。射撃しては隠れて、装填。向こうもこちらも、弾には限りがある。その限りのうちに、倒し切る。

 銃撃音を聞いたのか、何人か集まってきた。

「少尉。無事か」

「近寄らないでくれ。相手を刺激したくない。弾だけくれ」

「わかった」

 鞄を投げて寄越された。弾の規格は合っている。よし。

 装填。窓枠に小銃を引っ掛けて、身を乗り出した。

 見えた。お互いの顔。ぼうっとした、死人のような顔。

 しばらく、そうしていた。お互い、引き金は引かなかった。

「おい」

 思わず、声をかけていた。男は、はっとした表情だった。

「やめにしようぜ、もう」

「やめれるのか、ここから」

「お前次第だ」

「俺は、こわい。静かなのが、何より」

「だからって、人を撃つのかよ。それしかないのかよ」

「それ以外に方法はあるだろう。でも俺は、それを選ばなかった」

「そうかい、くそったれ」

 引き金に、指をかけた。

 同時。音。重なった。痛みは、どこにもなかった。

 男は、倒れたようだった。きっと肩にあたっている。

「確保、頼む」

 控えていた連中に、それだけ告げた。

 息は、上がっていた。手も震えている。それでも、生きている。

 この目が、エドが、生かしてくれた。

 デュエムとモニエ。通りにいた。

「ダマーズ軍曹は」

「言わなくていい」

 それだけ言って、離れた。

 向かいの建物から、男ひとり、連れてこられた。

 身体は自然に、そいつの前に立っていた。

「エドは、どうしたんだっけ?フィル」

「息を、引き取りました」

 突きつけていた。

「やめろ、マレンツィオ」

 パンチュロー。掴みかかってきた。デュエムも、モニエも。

 それでも、撃った。

 男ではなく、空に向かって。

「ざまあみやがれってんだ」

 宙に、放り投げた。

 それで終わった。この任務も。復讐も。エドへの弔いも。

 さらばだ、エドワール・ダマーズ。そして俺とともに、俺の目となってくれ。


4.


 時間を作って、ようやくシャルロットのお見舞いに行くことができた。原稿はしばらくの分は書き上げたし、他の仕事も後回しにしてもらうよう、お願いした。

 パトリシアにとっては、姉と慕った人のことだった。はじめて感想の手紙をくれた、特別な人。

 邸宅では、ベルナデッタという人が出迎えてくれた。マレンツィオの妹だという。

「私が悪いのです」

 暗い顔で、ベルナデッタが口を開いた。

「私が、姉さまを追い詰めたから。嫡男の嫁なら、男の子を産まないと。もっと早くに、お子を成さないととばかり言ってしまったから」

「貴女は悪くないわ。そしてシャルロットさまも。誰も彼も、悪い人なんていないの。だから、姉さまの近くにいて頂戴。貴女が姉さまを立ち直らせてあげて頂戴ね」

「ああ、パトリシアさま。申し訳ありません。私が至らないばっかりに」

 泣いてばかりいるベルナデッタを、パトリシアは優しく抱きしめた。

 シャルロットは、ずっと外を眺めていた。それが、何よりつらかった。何を言っていいかもわからず、ただ隣に座っていた。

 ようやくできたしるし。それが、なくなった。マレンツィオ家の嫁としての、ふたりの幸せの証。

 それを、うしなった。

「私には」

 しばらくして、ようやくシャルロットが口を開いた。

「ここにいる資格など、ないのかもしれない」

「姉さま。そんなことはないわ。今回は、たまたまのことなの。だから気を持ち直しましょう?」

「あのひともね、大切なひとをうしなったの。エドワール・ダマーズさま。いつも一緒にいた、兄弟みたいなひと。戦場における、あのひとの目でもあるひと」

 涙をこぼしもせず、ただぼうっと、

「私が、いけないの。全部、私が」

「やめましょう、姉さま。今はただ、つらくなっているだけだから」

「私は、あのひとにつらいことばかりを押し付けてしまっている。そんな女が、この家にいてはいけない」

 枯れた声。

 抱きしめていた。震える手で、頬を撫でていた。それでもそのひとは、死んでしまったようになっていた。

「ただいま戻りました」

 ふと、大きな声が飛んできた。少しもしないうちに、横にも縦にも大きい身体が現れた。

「おお、見ないうちにすっかり春だよ、シャルロット。裏手のあの丘さ。芝桜が見事なんだ。白、紫、淡い桃もある」

 マレンツィオは満面の笑みで、雰囲気にそぐわないことを言い出した。そうしてシャルロットの身体を抱きかかえてしまった。

「すぐそこだ。見に行こう」

「ちょっと、マレンツィオさま」

「お見舞いありがとう、ボドリエール夫人。せっかくだから貴女もどうかね?おさんぽだ。折角の春。おうちにこもっているのなんて勿体ないじゃないか。ああ、ベルナデッタ。何か適当なものを包んでくれよ。皆で花を愛でながらいただこうよ」

 さあ、行こう。そうやって飛び出てしまった。

 ベルナデッタとふたり、慌てて追いかけた。巨体の割に、足は速い。

 ほんとうに、屋敷の裏手。来る途中には見えなかったが、一面に広がっていた。

 満開の芝桜。思わず声が出るほど、綺麗だった。

「おおい、お嬢さんがた。こっちですよ」

 髭面の、屈強な戦士といった風貌の男。手を振っていた。その隣に、マレンツィオとシャルロットもいた。

「俺たちの行きつけの野苺亭のやつ。アスパラガスとソラマメのポワレ。それとソーセージ。普通はオランデーズをかけるんだろうけど、特製のマスタードをたっぷりかけるのが美味いんでさあ」

 あとひとり、赤ら顔の男がピクニックシートの上であぐらをかいていた。

 シャルロットに近寄る。かがんでいた。そうやって芝桜の花弁を撫でながら。

「ああ、綺麗。ほんとうに」

 ぼろぼろと泣きながら、笑顔だった。

「ようやく落ち着いたからね。俺たち“角打かくうち”の慰労も兼ねてピクニックだ。これから忙しくなるぞ。バタンテール城の新緑も見頃だろうし、なによりジュベール川だ。念願の川下りを楽しもうよ、シャルロット」

「そうね、あなた。そうよね」

「何を泣くことがあるんだよ、愛しいお前。これからいっぱいの楽しいことがある。いっぱいのことを楽しもうよ。人生、面白く生きなきゃ、面白くないもんな」

 そうやって、マレンツィオは大笑いしていた。それを見て、ベルナデッタとふたり、呆れたようにしてしまった。

「まったく、マレンツィオさまにはかないませんわ」

 それしか、言うことはなかった。

「マレンツィオ少尉殿の元気なお姿が見れた。かの高名なボドリエール夫人とお会いできて、しかもこうやってお酌をうけることができるなんて、俺は“角打かくうち”に入って幸せですよ、少尉殿」

「おう。言った通り、これから大忙しだぜ、フィル。今までは俺が余裕がなかったもんで、たまにしか遊びに連れて行ってやれなかったが、これから毎日、連れ回してやるからな。野苺亭。ビストロ・ペルシエ。あのトルブレ・マルシェなんて、ほんとうは風光明媚で素晴らしい場所なんだ。復興したら、朝から晩まで遊んで歩いてやろうぜ。なあ、ダニー」

「トルブレ・マルシェ。最高なんですよねえ。八番通りの果物屋のお嬢ちゃんが可愛いのなんのって。無事だったらしいから、今度、誘っちゃおっかなってさ」

 赤ら顔が、真っ赤になりながら笑っていた。

 戦場で、子どもを撃ったとも聞いていた。それきり荒れて、人の言うことも聞かなくなったとも。

 ダマーズという人の死。それを足がかりにして、このひともつらさを乗り越えたのかもしれない。

「おお、こんなところでピクニックかい。いいご身分だな」

 長身の痩躯。困ったような笑顔だった。パンチュローと名乗った。

「奥さまのこともあったから、異動か長期療養を申し伝えようと思っていた。要らないみたいだな、マレンツィオ」

「ご迷惑をおかけしました、支部長。俺は、エドとこいつらのおかげで、乗り越えることができました。女房もほら、このとおり」

 紹介されたシャルロットは、満面の笑みだった。

「いい知らせがひとつある。あのミルールが異動だ。プリュデルマシェだよ」

 パンチュローの言葉に、男三人、快哉を上げていた。

「よっしゃ、ざまあみやがれってんだ」

「これで目の上のたんこぶが無くなるな。やったぜ、好き放題できるぞ」

「お前らに愛想を尽かしたとか抜かしていたが、逆だよな。俺たちがずっと、あいつに愛想を尽かしていたってのに。ただまあ、程々に頼むよ。俺だって始末書を書くだけが仕事じゃないんだからな」

「わかってますよ。エドにいがいなくなっちまったから、俺がしっかりしないと、リコにいを抑えるやつがいなくなっちまわあ」

「何を馬鹿抜かしてやがる、ダニー」

 マレンツィオ。満面の笑みで。

「エドはここにいる。俺を育てて、俺の目になってくれたんだ」

 その言葉に、デュエムとモニエが潤んでいた。

「そりゃあいい。百発百中のマレンツィオ、改め、遠眼鏡要らずのマレンツィオか。これはますます頼り甲斐ができるな」

「いつでも頼ってくださいよ、支部長。俺はね、でっかくなりますよ。ほんとうはニコラ・ペルグランになりたかったけど、船酔いが酷かったもんでね。それなら陸だ。小銃ひとっつで、誰よりも偉くなってやるんだ」

「ほんとうに、兄さまは口ばかりが達者なのだから」

「ほんとう。振り回されてばっかり。マレンツィオさまったら、もう」

 笑ってばっかり。誰も彼も、そして、シャルロットも。

「よかった。姉さまが元気になって」

「気を揉ませてしまいました、パトリシアさま。でもね」

 シャルロット。細い目を、笑みで細めながら。

「忘れてたの、私。このひとがいるだけで、十分幸せだってことを」

「そうね。そうよね。こんなひとと一緒にいれるなんて、羨ましいわ」

「ありがとう、パトリシアさま。愛している」

「嬉しい、シャルロット姉さま。愛している」

 そうやって、お互いの頬にベーゼを。

 羨ましいかたち。ふたりでひとつという、幸せのかたち。それに誰かが割り込むなんて、できやしない。

 姉さま。これからもどうか、健やかに。そして、賑やかに。人生、面白く生きなきゃ、面白くないのだから。


(つづく)

Reference & Keyword

・テキサスタワー銃乱射事件

・ストラスフィールド事件

・アレクサンドル・ゲラシェンコ

・機動戦士ガンダム


改版履歴

・24.11.10:初版

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