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第4話 出会いはいつもパッとしない

「はい、じゃあ二人組作って〜」


 人生の内に何回も聞いたことのある地獄の言葉。


 しかし、その地獄を乗り越えずしてコミュ力はつかない。


 俺は知っている。意外とコミュニケーションは簡単であると。


「あのっ。あぁもう組んだ感じね……。はいはい………。……………………………。」


 しかし、勿論、誰も組む相手がいないのである。


 悲しい。


 しかし、このクラスは偶数だ。休んでいる奴もいない。何処かに余っている奴がいるわけだ。


 ざっと周囲を確認すると、机に突っ伏している髪がちょっとボサボサでロングヘアの女子がいるではないか。確か、名前は……?思い出せない。


「……………。アッ↑アッ↓あ~。コホン。君、……余って…いる……よね……。一緒に受けても…良いか…な」


 女子に話しかけるのは緊張する。こちとら生粋の陰キャだ。同性とも話すことすらあまりないのに異性と話すことはあるわけがない。思わずどもってしまう。


「…………………」

「…………………」


 沈黙が続く。


「え〜。では、席について下さい。そこ、静かに。まず、教科書の20ページを開いて、10分間時間を与えるので最後まで読んで時間が残ったら自分で解いてください。そこから5分間二人で話し合って設問に答えてね。はい、スタート」


 教師の指示に従い、着席しようとする。他に選択肢は存在しない。


「……じゃあ、お隣り失礼」


 反応はない。こいつ、大丈夫か?






 ギリギリ大丈夫だった。


 何か知らないが、質問したら答えが返ってくる。


 最初は解答しか言わなくて同様したが、過程を聞けばそれも教えてくれる。


 寧ろ、コミュ障の俺にはありがたい。安心して俺の糧にできる。


 そんな考えは置いといて、まずは目先の問題を解かねば。空欄を埋めなさい、ね。


(1)もし私が高校時代に普通の人たちと同じように友達を作ろうとしていたら、そのとき友達はいただろうに。

 If I had tried to make friends like most people in high school, I would (  ) a friend then.


「え~と、このかっこの中にはhaveを入れたんだけど合ってる?」


「……時制が違う」


「時制……ってなんだっけ」


「……現在じゃなくて、過去のことについて後ろの文は言っている。今、友達がいるだろうという文だったら合っているけど、過去である高校時代に友達がいただろうと言っているから、時制を整えないといけない」


「つまり?」


「……動詞の前にhaveを着けて、動詞は過去分詞形にすればいい。」


「じゃあ、have hadにしたら良いのか。なんか少し気持ち悪い感じがするな。合っているはずなのに」


「……そういうもの。仮定法過去完了って、調べてみて。間違ったこと言っているかもしれないから」


「なるほど、ありがとう。勉強になった」


 ここで、すかさず感謝の意を伝えることでコミュ力を上げる。


 コミュ力はやはり、気持ちの面が大きい。相手を練習台だと心の中で思い込むことで何とか会話できている。


「……………。」


 ………やっぱ陰キャは出しゃばらないほうがいいのか。感謝の仕方とか知らないんだが。


「…あ~、まぁ気にしないでくれ。」


 取り敢えずつい先程手に入れたコミュ力で適当に取り繕う。


「……大丈夫。あまり人生で人に感謝されることがなかったから動揺しただけ」


 感謝されるだけで動揺するってどんな生活してきたのか気になるが、自分も似たようなものか。

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