第12話 嘘つきは泥棒の始まり?
「ごちそうさま」「ごちそうさまでした」
小鳥遊さんとの食事を終え、そこそこ雑談をして解散したが、その直後隣りから爆弾を放り込まれる。
月さんだ。
「……嘘つき」
誰に言っているのか分からず、耳から抜ける。
俺に聞こえるように、俺の方をじっと見て再度一言だけ放つ。
「……嘘つき」
……どうやら、俺に言っているみたいだ。以前、「そんなだからモテない」と俺を酷評してからかなり関係がギクシャクしている。
いや、俺が躊躇しているだけなのだが。
にしても、嘘か……。心当たりが全く無い。
何かしら誤解しているのだろう。誤解は両者ともに良いことはない。ここは誤解を解かねば。
雄弁は銀、沈黙は金という言葉は、俺の辞書にはない。
「あ~、それ、もしかして俺に言っている?」
「……」
「俺に言っているとしたら、誤解を解かせてほしい。俺は君に嘘をついた覚えは一切ない」
マジで何も思い当たらない。
「……モテないって言った」
「ん?」
………ん?
「……だから、モテないって言った」
うーん……。あぁ、アレね。自分でモテないと言うのと人に言われるとじゃ言葉の重みが違うよな。あのときは久しぶりに人の言葉が突き刺さったぜ。
「……あぁ、あの件ね。いや、そうだとして、見れば分かるが、今、モテてないだろ」
どこをどう見たって、モテているわけがない。あれから数日しか経っていないのだ。そんな数日でモテたらもうモテているわ。
「……小鳥遊さんとはいつ話し合う仲になったの?」
なぜ、小鳥遊さんの名前が今出てくるんだ?関係ないだろ。それに……。
「あ?元はと言えば、お前の………。いや、何でもない」
ときには言わぬことも大切だと思い、何とか踏みとどまる。
「……言って」
「何でもない」
「……言え」
威圧感怖い。同級生の女子に脅されるシチュエーションはASMRくらいしかないと思っていた自分を反省する。
「…あ〜、月さんは俺に『そんなだからモテない』って言ったことあったよな。………別に大してそれにショックを受けたわけじゃないが、その後に小鳥遊さんが少し気にかけてくれてね」
思い出すだけでキツい。ただ、それを俺の評価として受け止める。
「……そう」
「『俺のために』わざわざ『時間をかけて』くれて。俺も見習ってああいう気遣いができるようになりたいな」
これは紛れもない本心だ。
「…………そう」
これで誤解は解けたかな。
何の誤解が解けるかは知らんけど。
「ドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコ」
すごいぶつぶつと念仏のようなものを唱え始めた。
誤解、解けているといいな。




