目が覚めたら
意識が徐々に確かなものへと変わっていく。
「くっ・・・そ、あいつ強くなりやがって。イテテ。はっ!此処何処だ!?」
ガバッと起き上がる、今いる下にはふわふわベッド、目の前に広がるのは冷たそうな石に
囲まれた空間おまけに鉄格子・・・つまり牢屋。
「盟界!!あいつ!何でこんな事をするんだよ!?」
バタバタ ガシッガシッ
羽ばたく音と、牢を蹴る音が、俺のいる場所の向かい側からするので
例の五月蠅い隣人の姿を見る。
「あ、相棒」
目が合うと嬉しそうに羽ばたく鳥ことバドがそこにいた。
「ソウジュ!!目が覚めたノカ?ヨカッタ」
「・・・・・はぁ、なんだバドか。一瞬助けかと思ったよ」
窓一つない場所で言うジョークは、絶望の味。もう光の無い目でただただ
ガクン。
「ピコン!ソウジュ~バド悲しい!いやとにかく今はソウジュの能力で此処出て帰ロウ。そしてアノサイコパスカラ逃げるように田舎で暮らそう」
(確かに、俺の破壊の力があれば・・・・こんな檻)
破壊の対象物を強く認識し、能力を起動する・・・・・が何も起きない。
「????」
首を傾げる鳥を見ると、その小さい脳では理解できていないようだ。
「残念だけど、封じ込められてる。昔からの知り合いはお見通しらしいねーはぁクソ」
策が尽き、ボフッとベッドに寝転がる。
「にしても・・・・」
落ち着いて辺りを見れば、一通りの楽器、パソコン、録音機、楽譜ノートなどなど
作詞作曲グッズが揃っている。
(まじでやれと?)
ガチャッ
「よお、起きたか。で!どうだ?良い部屋だろ?今日から此処がお前のマイハウスだ♪」
扉が開いて誰か来たと思えば、元凶の盟界という知り合い。
「はぁ!?、ふざけんなよ!てめぇ!俺はこんな冷てーとこ嫌だ!くっそ!どういうつもりだ!?こんなの監禁じゃあねぇか!!!!!!」
怒りをぶつけるように、鉄格子をがしゃがしゃする。
「そう怒るなよ。無理矢理連れてきた事に関しては謝る。でも、大人しく応じなかったお前も悪い。さてこの話はこれまで、ここから先は仕事の話だ。早速だがこの資料を見ろ」
スッと鉄格子の間から渡される、紙束。
勝機が消え目がさらに虚ろになりながら、紙をめくる。
能力が使えない俺ではコイツに勝てない、その死んだ知り合いから感じる気迫。
そして一度やられた事、それを踏まえてしまえば、抵抗する気も起きないと言う事。
「なあ本当は何してるんだよ?それぐらい答えてくれてもいいだろ?どうせ逃げられないだろうし・・・な」
諦めの意思を聞いたからなのか、機嫌が良くなり笑顔で、淡々と答えてくれた。
「俺たちはちょっと悪いヒーローというものでさ、まあ色々あるんだけどさぁー、でもそっちの方が響き良いだろ?・・・本当は隠すつもりなんてないけど、どうせこれから俺達と生きるんだ。いずれ知ることになる。それに
こういうのはポジティブに物事進めたいじゃん」
「テイセイ、コタエテクレタんじゃなくて、ハグラカサレタ」
ジャキット銃口を、バドの檻に向けられる
「今コイツと話してるんだが・・・、文句あるか?」
「もうやめとけって非常食、お前には勝てない」
「ソウジュまで!?ヒドイ!!バド!ショックー!!」
バン!
オーバーキルなリアクションは盟界の心とソウジュの心を乱した。
「わりぃなバド、うざすぎて撃っちまった。」
彼の顔から読み取れる何故か勝ち誇った笑み。
逆にソウジュは光の無い目かつジト目をしながら両耳を塞いでる。そして
「相棒、お前もう帰っていいよ。あとは俺一人で頑張るし。でも撃つことはないだろ盟界」
「あの鳥が悪い」
「うーーーん」
「あうあうあうあうあうあう」
バドは悟った、コイツら敵同士ではあるが、鳥の扱いは一緒らしい。
昨日の鳥は明日の友ともいうことわざもあるからなのかは、己の鳥脳では分からない。
ガクガク震える鳥は、気配を控えめにする事を知らなかった。
「あっ、バドが寝た」
「やっと寝たか」
「なあ、あの説明じゃあ足りねぇし俺の心は動かない。やっぱり音楽の世界での戦いじゃないんだろ?」
「うん?ちゃんと音楽だぞ。その資料見てみろよ。お前の歌であいつらを殺・・・倒して欲しいんだって話」
「コロとは・・・」
ぼそりと呟くやかれる鳥の言葉。
(PRじゃないのか・・・・てうん?ふむふむ!これは!!)
「ナンダソノハンノウ、気になる」
見ようと思っても見えない現実、悲しい、完全に仲間はずれだ。