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9.世界一羨まれる女性の孤独。

2週間かけてルイ国の王宮に到着した。

なんだかホッとしてここが自分の家だと思うと幸せな気持ちになる。


お風呂に入り、ベットに横たわり目を瞑ったところで扉のノック音がする。


「イザベラ、私、フィリップ王太子殿下のこと好きになってしまったわ」

扉を開けた途端、部屋に入ってきてララアが言った言葉に私は驚いてしまった。


「最初、彼を見た時、私の初恋の人であるエドワード王太子殿下を思い出したの。もう、あの時のような恋はできないと思っていたのに、フィリップ王太子殿下と会って以来、胸の鼓動がおさまらないのよ」


「確かに、雰囲気が似てますよね。理性的でとてもスマートな方だと思います」


「2週間も一緒に過ごしたのよね。どのような方だった? どのような話をしたの?」


「とても優秀で、思いやりに溢れた方だと思いました。言葉選びが素敵で、常に相手に対する気遣いを感じるのです。主に最近のサム国の事情や、国際情勢について話しました。これからルイ国のアカデミーに2年通うことになるので、ルイ国については知っていきたいとおっしゃっていました」


フィリップ様との会話を思い出していて、私は彼がいかに細心の注意を払いながら言葉を発しているかに気がついた。


私はネガティブな思考の持ち主なので、人の言葉の1部を切り取って悪い方向に捉えてしまう癖がある。

前世で弟の優太から指摘され、自分でも気がついているのに治らない癖だ。


しかし、フィリップ様はそんなネガティブ思考の私にどこを切り取られてもマイナスに捉えられない言葉選びをしていた。


サイラス様が彼は完璧過ぎるものを生まれた時から要求されてきたと思うが、本当に彼はその要求に応え続けるよう神経をすり減らしてきたのだろう。


「完璧な方よね。フィリップ王太子殿下を好きにならないなんて無理よ。殿下から見れば私なんておばさんよね」

若くて可愛らしいララアが自分をおばさん扱いしているのが不思議でならない。


「17歳はおばさんではないです。それに11歳くらいの男の子は年上に憧れるものですよ」


私は小学校6年生の時に優太がバレンタインチョコを貰ったのを羨ましがったら、同学年は子供っぽいから興味が湧かないとクールに言っていたのを思い出した。


思えば彼は中学に入学し、私の弟ということで虐められるまでは人気者の人生を歩んでいたのだ。


「イザベラ、流石お兄様を虜にして、今もルブリス様の心を離さないだけのことはあるわね。彼の書く脚本はイザベラをモデルにしたものばかりだもの。私もイザベラやレイラお姉様のようにモテてみたいな。どうすれば想い人の心を掴めるのかしら」


ララアがルブリス様のことで私を揶揄ってくるのは、何も悪気がない。

ルブリス様と私の間であったことや、彼が廃嫡された理由は曖昧にされて伏せられている。


それ程ライ国王陛下は、彼が可愛いということだろう。


ルブリス様の手紙から私をモデルにした脚本を書いていることは知っていた。


彼は自分で脚本を書き、舞台で主演を演じているのだ。

でも、彼のことを考えると苦しくなるので手紙を読む以外の彼の情報には触れないようにしている。


「私はサイラス様だけに好かれたいです。他の男性には私のことを考えないで欲しいです。ララアは今のままで十分素敵です。優しくて、頑張り屋で私が男なら好きになっていると思います」


「ふふ、ありがとう。イザベラって本当にお兄様のことだけが好きなのね。サム国の話はどんなことを話したの?サム国の王妃様は毎日、湖のようなお風呂にバラを浮かせて入っているのでしょう?世界一裕福な国と呼ばれるだけあるわよね」


ララアの言葉を聞いて、私たちが得ているサム国の情報は裕福で憧れの国ということばかりだと言うことに気がついた。

それはサム国の戦略なのかもしれない。


世界一裕福な国として有名で、男性にも貞操観念を求めるそこに行けば1人の男性から一生愛される幸せが待っているような気がしてしまう。


優秀な女性は厳しい移民要件をクリアして、サム国に住みたいと考えるかもしれない。

国の中では王家への不満があり、王妃様は苦しんでいても世界一幸せな女性のふりをしていると言っていた。


「実際、バラ風呂に入っているのは年に1回らしいですよ。サム国の王家の方は、贅沢よりも国民のことを考えて過ごすことを大切にしているみたいです」


実際は、夫と心が離れ、息子2人は他国に行ってしまい、バラ風呂の贅沢を批判されているだろうサム国の王妃様の気持ちを考えると苦しくなった。


フィリップ様の思い出作りと思い、彼をルイ国に誘ってしまったが正しい選択だったのだろうか。


同時に、彼の母親である王妃様の孤独を深めるような行動を私はしてしまったのかもしれない。


私がルブリス様を支援する選択をしたことが、エドワード王太子殿下を苦しめたことを思い出した。




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