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13.あなたへのラブレターとして演劇を作っています。

「それにしても、やっぱりララアはフィリップ様に恋をしましたね」


サイラス様が思った通りだったと言った得意げな顔をしていて何だか可愛い。


「サイラス様はララアが彼に恋をすると分かっていたのですか?」


「ララアは童話に出てくるような王子様が好きなのです。フィリップ王太子殿下の聡明さや纏った雰囲気が彼女の初恋のエドワード王太子殿下に似てたので、何となく恋に落ちる気がしていました。しかし、フィリップ王太子殿下は明らかに彼女を警戒していますね。私としては、彼のようなしっかりした方にララアを嫁がせたいです」


私もフィリップ王太子殿下の頼れる感じと理性的な感じは前世の弟であるエドワード王太子に似ていると思った。


前世の弟、優太は絶対に周りに弱みを見せない子だった。


だから、彼に似ているフィリップ王太子も人知れず何かに傷ついているのではないかと私は最初から彼が気になっていた。


「ルブリス様が私にも演劇のチケットを送ってきたのですが、そのチケットを2人に渡して仲良くなって貰うというのはどうでしょうか?」


私に演劇を見にきて欲しいとルブリス様がチケットを2枚送ってきた。

明らかに舞台の目の前の席のチケットで、捨ててはいけない気がした。


そして誰と見にきて欲しくて2枚入っているのか私には分からなかった。


「イザベラ、ルブリス様より手紙を貰っていることは知っていましたが開封していたのですか? 彼のことでうなされるくらい苦しんでいるのに、なぜ手紙を読んでしまうのですか?」


サイラス様が驚いたように言うので、手紙は開封しないのが正解だったのかと今更気がついた。


「私が彼に悩みがあったら手紙を送るように言っていたのです。悩みはいつも書いてないのですが、手紙を書かせてしまっている手前読まないのは悪い気がして読んでいます。しかし、返事を書こうとすると不安な気持ちになって書けないのです」


「イザベラ、あのようなことがあってあなたを傷つけたのに何事もなかったように手紙を送ってくる彼がおかしいのです。返事を書く必要はありませんよ。彼はあなたを傷つけたことにすら気づいていません。そのような人間とは関わらない方が良いです」


彼の言っていることは正しい。

同じことを私はエドワード王太子殿下からも言われている。


それなのに、卒業パーティー後にルブリス様が私に助けを求めてきた姿を思い出すと手紙を読んでしまうのだ。


「分かりました。サイラス様のおっしゃる通りにします。あのチケットは捨ててしまって良いのでしょうか? かなり良い席っぽいのに空席になってしまっては申し訳ない気がするのです」


目の前の席が空席になってしまったら、ルブリス様も悲しむ気がする。

私は彼を悲しませたいわけではなくて、私の知らないところで幸せになって欲しいのだ。


「フィリップ王太子殿下は彼の演劇に興味がありそうでしたし、ララアと一緒に観に行ってもらいましょう。2人が仲良くなるかは別として、ララアはラブストーリーが大好きなのでそれなりに楽しんできそうです。イザベラ、ルブリス様はあなたへのラブレターとして演劇を作っています。あなたを傷つけた自覚がないから、熱烈なアプローチをすれば心が動かせるとでも思っているのでしょう。彼の演劇を見たら、あなたはまた不安になると思います。そのようなことにも気が付かない愚かな男なのです」


「その通りですね。私も彼のことはとても怖いです。子供のように振る舞っていたと思っていたら、あんなことをしてきて本当に怖かったです。サイラス様にも心配をかけましたね。もっと私はあなたの役に立ちたいのですが、どうしたら良いですか?」


私は急にまた恐ろしい記憶を思い出しそうになって怖くなって、サイラス様のことを考えることにした。


「一緒にいてくれるだけで、側にいてくれるだけで十分ですよ。願わくば、もっと独占したいです。もっと私のところに来てくれないと、私から行きますよ」


サイラス様が微笑んでくれたので恐れの感情が和らいだ。



「サイラく国王陛下、エリス様のお子様が生まれました。」

ノックして入ってきた従者の言葉を聞いて私は驚いた。

彼女の赤ちゃんへのプレゼントを早めに作っておいたが、まさかこんなに早く生まれるとは思わなかったのだ。




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