HYPERTOUGHNESS
レビュー執筆日:2020/9/21
●新体制になったとはいえ、良くも悪くもある種の「安定」を感じられる彼ら。
【収録曲】
1.The Stronger, The Further You'll Be
2.The Gong of Knockout
3.CURE
4.Great Strange
5.Interlude
6.Keep the Heat and Fire Yourself Up
7.Treasure in Your Hands
8.Karma
9.Thoughtless Words Have No Value But Just a Noise
10.Where You Belong
11.Massive Core
メンバーの脱退や死去といった事態が相次ぎ、新メンバーを加えて新体制となった「Fear, and Loathing in Las Vegas」のアルバム。そういった出来事があったとはいえ、作風に関してはほとんど変化はありません。一曲目の『The Stronger, The Further You'll Be』において途中でダンスビートに変わる点はもう彼らの「様式美」といった感じですし、それ以降もデスボイスや音数の多いアレンジ等といった彼らの楽曲ではもはや「おなじみ」となった要素が次々と炸裂します。これまでの作品との違いを強いて挙げるならば、「曲間のメリハリ」よりも「曲内のメリハリ」がより強くなっているように感じられ、「11曲が収録されている」というよりも、「展開の多い30分以上の長い1曲が収録されている」ような印象を受けます。
ただ、これは前作に関しても言えることなのですが、若干「勢い任せ」になっている感じが否めません。「その『勢い』こそが彼らの持ち味だ」と思う方もいるでしょうが、少なくとも前々作ではそういった「勢い」の中に「印象的なフレーズや展開」を上手く織り込んでいたため、それと比べると今作は楽曲ごとの区別が付きづらく、それゆえに「マンネリ」を感じられるところも。
結成から10年以上が経ち、ラジカルな作風のままある種の「安定感」が出てきた彼ら。これからもそういった「マンネリ」を自覚したまま突き進んでいくのか、それともこれまでとは異なる音楽性を取り入れて新しいバンド像を確立するのか、そういった点に注目しながら今後の彼らを追い掛けていきたいと思います。
評価:★★★★