屋根裏で暮らす僕
僕の部屋は屋根裏だ。雨に濡れなくていいんだけど、夏は暑くて、冬は寒いのが欠点。そんな日は、よく下の階に行く。
ママは僕の事、好きって言ってくれる。だから毎日、僕のご飯を用意してくれる。
パパは僕の事、あまり好きじゃないみたい。僕がご飯の後、ついリビングで寝てしまっていたら「邪魔だ」って蹴飛ばされた。お腹、痛かったなぁ。
だから、パパがお仕事から帰ってくると、僕は急いで屋根裏に逃げ込むんだ。もう、蹴られたくないからね。
屋根裏の下にはお姉ちゃんとお兄ちゃんの部屋がある。たまに電話でお喋りしてる声が聞こえてくるよ。お姉ちゃんは歌が好きだから歌声も聴こえてくる。僕ね、お姉ちゃんの歌が大好きなんだ。聴きながら寝ちゃったりするよ。
そんなある日、家族で旅行に行く事になったらしい。僕はもちろんお留守番。僕のご飯がいつもより多めに用意された。
やったー! この家を独り占めできる! たくさん走っても怒られないぞ!
それにこんな時しか狙えない物がある。戸棚の上のおやつだ。ここにたくさんあるのを僕は知ってる。おやつは滅多にもらえないから今がチャンス!
僕はあの手この手を使って、念願のおやつをゲットした。
美味しいー!
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎて、家族が旅行から帰ってきた。
ちょうどその時、僕はリビングで寝ていた。するとキッチンからママの叫び声が聞こえてきた。
「やってくれたわね!」
ママが怒ってる。おやつ取ったのバレちゃった。
「今度から一緒に連れて行こうよ」
お姉ちゃんが言った。
「そうねー」
ママが困り顔で答えた。
え、嫌だよ。僕はこのお家で自由に過ごしたい。
「ペットホテルは? 旅先で逃げちゃうかもじゃん」
お兄ちゃんが言った。ペットホテルって何。
「その方がいいかもね。ミケは雄猫だから、逃げちゃったら帰って来ないかもしれないし」
「じゃ、次からはそうしよ」
「そうね。それがいいわね」
ねぇ! 僕の気持ちは? 僕はこの家にいたいよ!
「ミケが何か言ってる」
「ニャーン」
「ミケもペットホテル、行ってみたいって」
「まぁ、猫は狭いところ好きっていうもんね」
僕はお家がいいよ! もうおやつ全部食べないから。少しだけにするから、お留守番させてー!