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お時間ありますか?


 時間はまだ結構ある。

が、白石さんと槻木さんはコスプレ姿のままモールの中で買い物やゲームを楽しみ始めてしまった。

俺は空いた時間で一人で来ていそうなコスプレイヤーの方々に声をかけ、撮影している。


 沢山の人と関りを持ってほしいと、白石さんに言われ別行動をしていた。

確かにいろいろなコスプレイヤーの方の写真を撮ると勉強になるのは確かだ。


 一人一人、どこに力を入れいているのか、何を見てほしいのか、どんなふうに撮ってほしいのか。


 自然や建物、人ではない写真はその一瞬を収める。

でも、人の撮影はまた違った。


 一言でいえば難しい。

ほんの一瞬の表情や仕草、流れを読まないと思った写真は撮れない。

拭き抜く風、瞬きをする一瞬、その仕草の一瞬を逃すことはできない。

思ったよりも精神力を使う。こんなに疲れたことはないくらい、疲れてくる。


「ありがとうございました。後でデーター送りますね」


 初めて出会った人たちと、交流を深め連絡先を交換していく。

いままでの生活だったら考えられないくらい、新しい知り合いができていく。

たった今撮った写真も、初めてあった人だし声を交わしたのも初めてだ。

彼女にモニタを見せ、写真を確認してもらう。


「こんな感じに撮れました」

「きれいですね、ありがとうございます。一人だったらから助かりました。また、お会いした時も撮っていただけますか?」

「もちろん。でも、いつどの会場に行くかはわかりません。この先の予定は決まっていないので」

「わかりました。また、どこかでお会いできるといいですね」


 微笑む彼女は俺に軽く頭を下げ、去っていく。

新しい出会いがあり、新しい交流が増えていく。


「思っていたのと随分違ったけど、これもいい経験になるな……」


 そんなことを考えていたら、声をかけられた。


「あの、お時間ありますか?」


 声のする方に視線を向けると十人以上の団体さんが俺を見ている。

みんな同じような制服を着ており、とても特徴的な髪型が斬新だ。

黒に赤にピンクに青、緑までいる……。いったい何のキャラなんだ?


「はい、時間はありますが」

「よかった。あの、お願いがあるんですが、何枚か撮っていただけないでしょうか?」

「いいいですよ。えっと、どこで撮りますか?」

「あの公園でお願いします」

「わかりました、では移動しましょうか」


 俺がバッグを持ち、移動し始める。


「やったー!」

「全員で併せたた写真も撮ってもらえるー!」

「どうするどうする! やっぱあのシーンいっちゃう!」


 みんなで撮れることが嬉しいようで、みんな笑顔で移動し始めた。


 そうか、カメラマンがいないと全員で撮れないのか。

カメラがあってもセルフタイマーだし、構図とかが難しいのかもな。


「撮りますよー」

「「「おねがいしまーーーす」」」


 初めて大人数の写真を撮る。

なんだか学校のクラス写真みたいだ。


──ビュゥゥゥゥゥゥ


 写真を撮った瞬間突風が吹き、連写機能をつかったカメラはその瞬間を終始撮っていた。

みんなスカートを抑え、終始無言。俺はどう対応したらいいのか、まったく答えが出なかった。


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