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ガニ股アヘ顔ダブルピース!!


***


十月に入り、和夏菜は放課後に新聞部の部室に訪れていた。


「こんにちは」

「なにか用ですか?」

「情報屋としての貴方にお願いがあります」

「はい」

「ちょっと調べてほしいことがあるんです」

「なんですか?」

「‥‥‥このことは誰にも言わないと約束してくれますか?」

「約束します」

「それはよかったです。早めに掃部かもんさんの誕生日が知りたいんです」

「誕生日なら簡単です。簡単な情報は全生徒分メモしてありますから」


紫乃はパケットに入れていた小さなメモ帳を取り出して、パラパラとページをめくり始めた。


「ありました」

「何月何日ですか?」

「朝宮さんの秘密か料金をいただきます。料金の場合は金額はお気持ちの額です」

「一円でいいですか?」

「はい。十月です」 

「何日ですか?」

「一円分教えました」


和夏菜はしょうがなく財布を開いて小銭を全部差し出した。


「これで文句ありませんか?」

「八百六十二円。はい、十月十日です」

「もうすぐですね」

「プレゼントですか? なにが欲しいかも調べましょうか」

「いえ、もう大丈夫です」


和夏菜は新聞部の部室を後にして、真っ直ぐ家には帰らず、とある場所を目指した。



***



朝宮帰って来るの遅いな。

もう七時半か‥‥‥。

その時、やっと鍵を開ける音が聞こえてきて、朝宮が帰ってきた。


「おかえりなさい!」

「ただいまだろ。遅かったな」

「ちょ、ちょっと用事がありまして」

「なんか怪しいな。また変なもの買っただろ。被害が出る前にカバンの中見せろ!」

「嫌です!」

「なんでだよ」

「あ、あれです! 恥ずかしいものを買いました! なので見せられません!」

「それは未成年が買えるやつか?」

「ギリギリです」

「んー、まぁいい。あっ、今日もパスタだから」

「今日もですか!? もう飽きました!」

「なら自分で作れ」

「今日も美味しいパスタ、楽しみですね!」

「どんだけ作りたくないんだよ」

「作っても掃部かもんさんが食べてくれないからですよ!」

「しょうがねーな」

「食べてくれるんですか!?」

「そうじゃない。ベーコン特盛、スペシャルカルボナーラ作ってやるよ」

「おぉー! 温泉卵も二個にしましょ!」

「それは無し。俺のが無くなる」

「レディーファーストって言葉を知らないんですか?」

「あぁ、レディーな立ち振る舞いできる女だけに男がするやつな」

「そんなんじゃモテませんからね!!」

「文化祭で二人に告られたけど」


俺がそう言うと、朝宮はムスッとしてカバンを下ろし、イライラした様子でコップにジュースを注ぎ始めた。


「なんかムラムラするので、その話やめてください」

「ムラムラ!?」

「ムカムカの間違いです」


朝宮がイライラする理由が分かんないんだよなー。

まぁ、一緒に暮らしてるのにギクシャクしても嫌だし、この話はもう封印しよう。





そして翌日も翌々日も、朝宮はまた遅くに帰ってきた。

帰って来ると自分の部屋でコソコソとなにかをして、何食わぬ顔でリビングへやってくるが、どう考えても怪しすぎる。


「やっぱりなんかしてるだろ」

「な、なにもしてませんよ?」

「お前まさか! 男できたか!?」

「なんですか? そのお父さんが娘に言うみたいな感じ」

「実際父親みたいなもんだろ」

掃部かもんさんみたいなお父さん絶対嫌です!」

「なんでだよ! 将来の子供に失礼だろうが!」

「なに子供作る気でいるんですか!? 潔癖症なのに無理に決まってるじゃないですか!」

「そこが気にならない運命の相手と出会うかもしれないだろ!」

「絶対無理ですよ! 私に指一本触れたことないのに、私の粘膜に触れるだなんて!」

「なんでお前なんだよ!!」

「うっわ!!」

「なんだ!?」

掃部かもんさんとのを想像したらゾッとしました!!」

「こっちのセリフだ!!」

「だって抱きしめながら『お風呂まだだろ。きったねーな。俺に抱かれたいならシャワーぐらい浴びろよ』とか言いますよね絶対!」

「気持ち悪い妄想すんな! なんでオラオラ系なんだよ!」

「え、まさか『やだやだぁ♡ シャワー浴びてくれないとヤダァ♡ 僕もう我慢できないのにぃ♡』タイプですか!?」

「きもっ」

「はぁ?」

「きも可愛い」

「か、可愛いだなんてそんな‥‥‥聞き慣れた言葉すぎてなんとも思いません」


こいつ、恥ずかしそうな素振り見せて、言ってることウザイな。


「明日は早く帰って来るのか?」

「明日もこの時間になると思います!」

「了解」


なんとなくだけど、これは帰り道デートしてるな。

相手は誰だ?





翌日、俺は昼休みに新聞部の部室へやって来た。


「よっ」

「またなにか依頼ですか?」

「朝宮の様子が変なんだ。なんか知ってるか?」

「変というのはどんな感じでです?」

「単純に帰って来るのが遅いだけだけど、今まで何ヶ月もそんなことなかったから、ちょっと気になってな」

「彼氏でもできたんじゃないですか?」

「やっぱりそう思うか!?」

「急にならそうだと思いますけど、もしくはいけないバイトとか。最近、羽振りが良くなったりしてません?」

「いや、まったく」

「朝宮さんがそういうことしたら、相当稼げそうですけどね」

「あいつはバカだけど、それはしないと思う。一人でのやり方も知らないらしいし」

「すごい情報ありがとうございます」

「んじゃ今のが依頼料な。なにをしてるか調べてくれ」

「分かりました」

「でも可哀想だから、その情報は漏らすな」

「朝宮さんに関しての情報を知りたがる生徒は沢山いるんですか、そういう系は話したりしません」 

「んじゃ、なんでそういう情報でもオッケーなんだ?」

「私が病気になって死ぬとかになったら、情報ばら撒いて死んで、伝説になろうかと」

「おいクズ。絶対死ぬなよ」

「はい」


目は死んでるし、背は低くて弱々しいから、病気で死ぬとか、ちょっと冗談に聞こえないんだよな。



***



放課後になると、紫乃は一輝の依頼通り、和夏菜を尾行し始めたが、和夏菜は気配でそれに気づき、紫乃が隠れている電柱を見つめ続けた。

すると、紫乃も諦めて電柱の裏から姿を現してしまった。


「なんですか?」

「なんでもないです」

「誰かが私の情報でも欲しがってるんですか? それならやめてくださいね」

「依頼を打ち止めしろってことですか?」

「そうです」

「もしかしてですが、掃部かもんさんの誕生日プレゼントを買いに?」

「それだとなにか問題ありますか?」

「依頼は完了しました。それではさよなら」

「待ちなさい。掃部かもんさんに依頼されたんですか?」

「はい」

「一番言っちゃいけない相手という自覚はありますか?」

「でも依頼なので」

「幾らで雇われたんですか?」

「朝宮さんが一人でチョメチョメする方法も知らないという情報と交換で、私は雇われ中です」

「‥‥‥プレゼント買うのやめます。さよなら」

「いいんですか?」

「はい。でも、私がプレゼントを買おうとしていたことは言わないでください」

「私の信用が落ちちゃいます」

「一人で買い物してたとだけ伝えてください」


そう言って早歩きで去っていく和夏菜を見て、紫乃はすぐに和夏菜に駆け寄って右腕を掴んだ。


「まだなにか?」

「私が二人の仲を悪くしてしまいましたか?」

「貴方には関係ありません」

「一つ言い忘れてました」 

「なんですか?」

「チョメチョメは料理のことです(焦って嘘ついちゃった)」

「私が料理できないわけがありません。毎日私がパスタを作って、カレーだって作ります(普通に嘘ついてしまったけど、実際料理はできるから大丈夫ですよね)」

「家庭科の授業でも、凄いって噂ですもんね」

「当然です」

「今回に関しては、プレゼントのことは言わないです」

「元々そういう約束でしたよね」

「はい、ごめんなさい」

「情報屋として、やり方を考え直した方がいいですよ」

「そうですね。今回ばかりは反省して考えます」

「私は店へ戻ります。ついて来ないでください」

「はい」


和夏菜はプレゼントを買いに店の方へ戻り、紫乃は曇った灰色の空を見上げて、小さなため息をついて歩き出した。



***



八時か。

今日はいつもより遅いな。


「ただいま帰りました! 話があるので歯を食いしばって待っていやがれ!」

「はぁ!?」


やっと帰ってきたけど、俺今、玄関から脅迫されてる!?


すると朝宮はリビングへやってきて、わざわざ買ってきたのか、水鉄砲を俺に向けた。


「手を挙げなさい!」

「は、はい」

「そのまま立ちなさい」

「ほい」

「ガニ股でアヘ顔ダブルピース!」

「できるか!! なんなんだよ急に!」

「島村さんに私の行動を探らせましたね!」

「バレたの!?」

「はい! 私はただただ普通に買い物をしていただけです! なんなんですか? 私を束縛したいんですか? そうならそうとハッキリ言ってください!」

「違いますけど!?」

「ほら、大人しているので、縛るなら今ですよ!」

「それは拘束な」

「亀甲縛りなら芸術と言われているのでいいですよ?」

「一番ダメだわ!」

「そんなことは置いておいてですね。よくも私が料理できないとか言ってくれましたね!」

「へ? 島村にか?」

「はい」

「俺が言ったのは、朝宮は一人でいやらしいことする方法も知らないって話だけど」


そう言うと朝宮は、急に目を細め、連続で水鉄砲の水をかけてきた。


「やめろやめろ!」

「反省してください」

「悪かったって! それどこの水だ!」

「公園の蛇口です!」

「はぁ!? うっ」

掃部かもんさん?」

「やばい、吐きそう」


公園の蛇口とか、絶対口つけて飲んでる奴いるじゃん‥‥‥。

ふざけんなよ‥‥‥。


「ご、ごめんなさい! 妊娠しているとも知らずに!」


ふざける朝宮を睨みつけると、心配そうな表情がまたクールになり、目を細くして俺を睨みつけてきた。

毎度この表情だけはゾッとするな。



「私を睨めるお立場でしたか?」

「すまん‥‥‥」

「一人でのやり方を教えてくれたら許します」

「無理に決まってんだろ!」

「この歳で分からなくてしたことないとか、もうなんか、逆に恥ずかしいじゃないですか!」

「女ならしない奴もいるだろ!」

「本当ですか?」

「本当だ! そもそも欲がないならしなくていいんだよ!!」

「なーんだ! ちょっと島村さんを怒っちゃったじゃいですか! なんか悪いことしちゃいました」

「まぁでも、俺が悪い。とにかくシャワー浴びて来る」

「浴び終わったら一緒にDVD見ません?」

「なにかレンタルして来たのか?」

「はい! 主人公が闇堕ちして、最後に元々仲間だったヒーロー達に殺されるんですけど、闇堕ちしたのも仲間を守るために仕方なくっていう感動の理由があって、涙なしには見れないやつです!」

「‥‥‥なんか見なくていいや‥‥‥」

「どうしてですか! せっかく一緒に見ようと思って借りて来たんですよ?」 

「自分で気付こうな‥‥‥。マジでそういうの嫌われるからネットとかには書くなよ」

「私、SNSとかやらないので!」

「うん。絶対しないでくれ」


見せたい映画のネタバレするやつがあるか!!

でも、朝宮は普通に買い物楽しんでただけだったのか。

なんか悪いことしちゃったな。

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