私の裸♡
放課後になると、朝宮は先に会議室へ向かい、俺は芽衣子先生に呼ばれて職員室へやってきた。
「俺、なんで呼ばれたんですか?」
「夏休みの宿題、よく全部終わりましたね」
「よ、夜更かししたので」
「まぁいいです。それより、風紀委員から苦情が入ってるから、あまり女遊びしないように」
「してませんよ」
「先生がどう思うかじゃなくて、生徒の感じ方が大切だから。とにかく、文化祭実行委員頑張りなさい!」
「はーい」
「伸ばさない」
「はい」
答え見たの絶対バレてるけど、なんか許してもらえたみたいでラッキーだ。
とりあえず俺も会議室行かなきゃな。
早歩きで会議室にやってくると、まだ会議は始まっていなく、みんな好きなように携帯をいじったり、雑談を楽しんでいた。
すぐに朝宮の隣の席まで行き、アルコールティッシュで丁寧に椅子とテーブルを拭いて座る。
すると、朝宮が小さな声で話しかけてきた。
「島村さんに謝られましたが、辞める気はないとのことでした」
「そうか。てか、会議ってなにするんだ?」
「分かりません」
「あれ!? 和夏菜ちゃん!?」
「なんだ、B組の実行委員は爽真と咲野なのか。なにかと一緒になるな」
「僕としてはなかなかに気まずいんだけどね‥‥‥」
「そういうこと言うからだろ」
「そ、そうだよね」
「和夏菜ちゃん和夏菜ちゃん!」
「はい」
咲野は嬉しそうに無表情の朝宮の頭を胸に抱き寄せた。
「一緒に頑張ろうね!」
「抱きつかないでもらえますか? 髪が乱れます」
「ごめんね!」
「おい爽真」
「な、なに?」
「羨ましいって顔に出てるぞ」
「わ、わざわざ言わないでくれよ」
「とても不快です」
「僕は今すぐ飛び降りる!!」
「早まるな! ここは一階だ!」
「賑やかだね! さぁ、会議を始めよう!」
陽気な三年生の女子生徒が会議室にやって来て、すぐに会議は始まった。
「まず、文化祭実行委員長を決めたいんだけど、誰かやりたい人いる?」
「はい! 僕がやります!」
「わーお! 爽真くんだよね! 他にいないみたいだからお願いしようかな!」
「ありがとうございます!」
多分、朝宮の前で良いところ見せたいんだろうな。
「一年生が委員長だと不安もあるから、副委員長は二年生にしてほしいな!」
「それなら俺が」
「ヨッ! 中野くんよろしく! それじゃ、後の進行は任せます!」
そして、爽真は早くも中野先輩に頼りっぱなしで、中野先輩が会議を進行し始めた。
まぁ、一年生に関しては学びの年ってことで、二年と三年も理解してるんだろう。
それに中野先輩はインテリメガネをしていて、こういうことに関しては頼りになりそうな感じだし。
「まず、文化祭の宣伝ポスターを貼ってもらえる場所を探したいです。同時に、チラシ配りなどで宣伝すべきかと。委員長はどう思う?」
「そ、そうですね! まずは美術部にポスターのイラストを頼んで、それから電話や直接出向いたりして、ポスターを貼る許可をもらいましょう!」
「いいね。それじゃ、俺達二人が美術部に頼みに行くので、三年生にチラシの内容やデザインを任せてもいいですか?」
「うん! 任せて!」
「ありがとうございます。二年生と一年生は、より良い文化祭になるように、なにかアイデアを考えていてください! 思いつかなくても責めないから、気楽にね!」
んじゃ、気楽にやらせてもらおうかな。
「掃部さん、なにかアイデアはありますか?」
「今はサボる時だぞ」
「二年生は輪になって話し合っています。一年生だけですよ? 携帯とかいじってるの」
「一年生にはまだ団結力ってものがないんだよ。クラス対抗行事とかもしてないし、これが自然だ」
すると、すぐに朝宮に一年生が集まり始めた。
「和夏菜ちゃん! 一緒に考えよ!」
「絶対盛り上げようね!」
「朝宮さん、疲れてない? 大丈夫?」
団結力無いの俺だけとか、そんなの嘘だろ!!
あぁ、咲野もだわ。
朝宮に群がる一年を見て、静かに殺意を抑えてるのがハッキリ分かる。
そんな顔してる。
※
結局、一年生の俺達じゃたいした案も出なかった。
「美術部が早急にポスターを描いてくれることになりました!」
「おー」
「一年生は、なにか良い案出た?」
「なにもでませんでしたー」
「そっかー。二年生は?」
「ポスターなんだけど、今年も隣の桜城里高校に貼ってもらえないかな」
「それはいいな」
桜城里高校って、確か女子校だよな。
「それじゃ朝宮さん」
「はい?」
「君は優秀だって聞くから、A組の二人で行ってくれないかな」
「私は構いませんよ」
「君もいいよね?」
「あ、はい」
「かなり優秀なお嬢様校だから、なにか条件を持ち出されるかもしれないけど、その辺は上手く話し合ってよ」
「分かりました」
「それじゃ二人は、電話でアポ取ったら帰っていいよ!」
「それじゃ、お先に失礼します」
「頑張ってね和夏菜ちゃん!」
「咲野さんも」
「きゃー!!♡ 和夏菜ちゃんに応援されちゃった〜♡」
相変わらず咲野は幸せそうだな。
女子高に行くとか不安でしかないけど、朝宮に任せとけばなんとかなるはずだ。
会議室を出て朝宮の後ろをついて行くと、朝宮は急に立ち止まって振り返った。
「なぜついて来るんですか?」
「電話するんだろ?」
「私一人で大丈夫です」
「そりゃ助かる」
全部朝宮に任せて、俺は自転車のサドルとハンドルを拭きまくって、自転車に乗って家に‥‥‥帰りたかった‥‥‥。
しっかり鍵閉めてんじゃねーよー!!!!!!!!
※
結局歩いて家に向かっている時、後ろから自転車のベルの音が聞こえて振り返ると、朝宮が俺の自転車に乗って、すぐそこまで来ていた。
「お先です」
「てめぇ!」
そのまま俺を通り過ぎていき、ムカつくことに先に帰られてしまった。
そして、朝宮からだいぶ遅れて家に着くと、朝宮は金魚に餌をあげているところだった。
「あ、おかえりなさい!」
「勝手に自転車使うなよ」
「サドルの高さ合わなくて乗りづらかったので、謝ってもらっていいですか?」
「本当に一発殴ってやろうか!!」
「やめてください! 目覚めちゃったらどうするんですか!」
「そしたら罪を負うことなく殴れるだろうが」
「威勢だけ良くても、私に触れないじゃないですか。口だけの僕くん!」
「あー、今日から飯作らないからな」
「ごめんなさい!!」
朝宮は速攻で土下座をし、そのままその場で逆立ちをし始めた。
「お前、最初からやる気満々で短パン履いてただろ」
「はい」
逆立ちしてスカートがめくれたが、ちゃんと短パンを履いていた。
にしても、支え無しで逆立ちできるのは地味に凄いな。
「そういえば、アポはどうなった?」
「明日の放課後行けることになりました」
「そうか」
「体制戻すので、脚支えてもらっていいですか?」
「無理」
「うぐっ!」
逆立ちまでは凄かったが、ちゃんと体制を戻すことができず、痛々しく背中から倒れてしまった。
「だ、大丈夫か?」
「そんなことより、今日は大変でしたね! 焦りましたよ!」
「いや、マジで大丈夫か」
「床がひんやりして気持ちいいだけです!」
「そうか。てか、いつか嘘もバレそうだよな」
「そうですよ! バレたらあの人絶対怖いです!!」
朝宮は急に立ち上がって頭を抱え、怯え出してしまった。
「いや、全然ビビってなかったじゃん!」
「怖いですよ! 女って本当に怖いんですから!」
「それは同感」
「でも私は怖くありませんよね!」
「色んな意味で怖い」
「どうしてですか!? 私何かしました!?」
「色々してるだろ!!」
「い、いや‥‥‥反省はしてます‥‥‥でもしょうがないじゃないですか!!」
「なにがだ! 言ってみろ!」
「お風呂入ってる時、出したくなることぐらいありますよね!」
「‥‥‥なんの話してんだ?」
「お風呂でちょっ、ちょっと出してしまったと言いますか、それって、潔癖症の掃部さんからしたら怖いことなのかなと思いまして」
「ちょっとならいいって問題じゃないからな!? 高校生だろ!? 高校一の美少女なんだろ!? なにしてんの!?」
「ちょっとがダメならハッキリ言います! 堂々と出し切ってやりましたよ!! すっごく泡立ちました!」
「どっちもアウトだよ!! あと病院行け!!」
「ちゃんとシャワーで流しましたよ?」
「そういう問題じゃねぇよ!! マジでふざけんなよ!!」
「楽しければいいじゃないですか!! そんなに怒らないでくださいよ!!」
「なにに楽しさ感じてんの!? 痴女なの!?」
「白いのがピュッピュって出て、それがモコモコって! 楽しいじゃないですか!」
「えっ、お、女も白いのって、その‥‥‥出んの? モコモコってなに?」
「そ、そりゃ、女の子だって‥‥‥したくなりますよ‥‥‥」
「な、なんか聞いてごめんな。高校生だもんな、そうだよな‥‥‥」
「はい? だから、掃部さんのシャンプーを出し切って、泡風呂にした話ですけど」
「あー! なーんだ! っておいー!!!! どうりで週一でシャンプー切れるのおかしいと思ってたんだよ!! しかもなんだよ! 風呂掃除しないのに、証拠隠滅で泡だけ流してんじゃねぇよ!!」
「だって怒るじゃないですか! エッチなの想像したくせに!」
「想像するように誘導しただろ!」
「やっぱりしたんですね! イカ臭いです!」
「今は臭くないよね!? てか、泡風呂したいなら、専用の粉とか売ってるだろ。それ買えよ」
「そうですね! 次から白い粉使ってお風呂でキメますか!」
「言い回しが危険だからやめような」
「はーい!」
それから朝宮は、さっそく泡風呂の素を買いに行き、俺は先にお風呂を済ませてしまおうと、朝宮が居ないうちに、ゆっくり湯に浸かることにした。
※
「ふんっふふふん〜」
朝宮?帰って来るの早いな。
お風呂に入っていると、朝宮が鼻歌を歌いながら脱衣所にやってきて、俺は開けられる前に声をかけることにした。
「今入ってるから、どっか行ってくれ」
「ふふんふっふっー」
「朝宮!?」
いくら声をかけても返事をしない朝宮は、擦りガラスの扉越しに服を脱ぎ始め、地肌のシルエットが見えてしまっている‥‥‥。
「朝宮!! おい!! まさかイヤホンしてんのか!?」
次の瞬間、お風呂の扉が開き、俺は朝宮を見て固まってしまった。
「きゃー!! なに見てるんですか!!」
上と下を手で隠す朝宮を見て、俺は慌てて顔を逸らした。
「す、すまん! イヤホンしてたお前も悪いんだからな! つか、着替え置いてあっただろ! 気づけよ!」
「はい‥‥‥実は、見られたくてわざと‥‥‥」
「マジで痴女なの!?」
「見てもいいですよ‥‥‥もちろん誰にも言いませんし、私がいいって言ったので、怒ったりもしません」
見ていいの!?絶対ダメだろ!!
でも朝宮は見られたがってるし、俺は悪くないんだよな?
これは見なきゃ損じゃないか!?
「手‥‥‥どかしましたよ‥‥‥」
俺は誘惑に負けてゆっくり朝宮の方を見ると、朝宮は今にも笑い出しそうな顔をしていて、すぐに吹き出した。
「プッ、あははははは! 見ました! 本当に見ました!」
「み、見ろって言ったのは、ああっ、朝宮だろ!?」
「顔真っ赤ですね! それに、ど、どうですか‥‥‥? 私の裸♡」
「‥‥‥なんか、ん?」
大事なものがないように見えるのは気のせいか?
やけにツルツルなような‥‥‥。
「全身タイツドッキリでしたー!」
「テメェー!! 男の純情もてあそんでんじゃねぇー!!」
「‥‥‥か、掃部さん‥‥‥」
「あっ」
俺は思わず立ち上がってしまい、朝宮の視線が一点を見つめている‥‥‥。
「そ、その‥‥‥それは‥‥‥」
「朝宮!?!?!?!?」
朝宮は全身タイツの、正直エロい姿のまま脱衣所で気を失ってしまい、しばらくして目を覚ましたが、その晩、とても気まずい時間を過ごすことになってしまった‥‥‥。
会話する時も目を合わせないで、ずっと俺の下半身を見つめながら会話して来るし、もう嫌だ‥‥‥自分の家なのに、この家本当嫌だ‥‥‥。
帰りたい‥‥‥自分の家なのに‥‥‥。




