表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
働けスターライト!  作者: カイザー
1/1

ポイントカードは重要!


本命の小説の筆休め的な感じでゆるーく書いていきます。更新は不定期です。


前書きにキャラ紹介を毎回書きます。


【今日のシフト】

店長→見た目はチャラ男

影山→陰キャ

ヤンキーちゃん→不良


【☆1】


店長「あーあ、○ギも○ツモト○ヨシも○○ルシアも潰れねーかなー」


影山「なに言ってるんですか店長……」


 昼下がりの午後、すっかり客足が途絶えた店内で男二人が駄弁っていた。


店長「だってさー、せっかく国道沿い近くで住宅地もすぐ後ろにあるっていうのに、ぜんっぜん人来ないじゃん?」


影山「はぁ……まぁ、そうですね」


店長「で、思った訳よ。ここの近くには何があるって──」


影山「ほうほう」


店長「調べてみた結果、北にウエル○○、南にス○、東に○ルハ、西に○ヨシで勢揃いだった……」


影山「見事に大手ばかりですね」


店長「四面楚歌にも程がある! 何でその中央で我が社の店舗建てちゃってるの!? ここ最近できたとこだよ!!?」


 店長が頭を抱えて床を転がった。


店長「ここに店長として就任されると知らされてから舞い上がっていたけど……要するに崖っぷち店舗だよねココ? 無能な上司共の責任をぜんぶ僕に押し付ける気なんだ! 捨て駒なのかな!? やっぱりトカゲの尻尾なのかなぁ!!?(影山にしがみ付く)」


影山「ちょ、落ち着いてください店長…!」


店長「カゲウスくぅ〜ん……僕と一緒に左遷しておくれ〜〜!」


影山「泣き付かないで──って誰が"カゲウス"ですか! 俺の名前は"カゲヤマ"です! あと俺はパートなんですから一緒になんて無理です!!(引き剥がしながら)」


店長「一緒に地獄に行こうよ〜〜頼むよ〜〜!」


影山「いーやーでーすー!」


店長「あーーー!」

影山「もーーー!」


 キンコーンキンコーン──


二人「「いらっしゃいませー!!」」


老婆「おや、賑わってると思ったら静かだねぇ」


 来客の鈴が鳴れば姿勢を正すこの二人。意外に息ピッタリ……なのかもしれない。




【☆2】


店長「敵城視察だよ、カゲウスくん」


影山「カゲヤマです──で、敵城視察って何ですか?」


店長「僕は考えたんだ。どうして他の店に客が来て、僕らの店に客が来ないのか……」


影山「新店だからじゃ?」


店長「チッチッチッ、その答えは早計。まだまだ甘いよ」


影山「じゃあ何なんですか」


店長「つまり、何かが足りないのさ!」


影山「みんな違ってみんな良いじゃダメなんですか」


店長「そんなご都合的解釈ではこの業界じゃ生き残れない。"足りない"と"違う"は別なのさ」


影山「はぁ……それで?」


店長「僕たちで他のドラッグストアを見て回るよ! そうと決まれば早速準備をするんだ!」


 腕を掴んで引っ張る店長。


影山「ちょちょ、店長! 店どーするんですか!?」


 ガチャ──


ヤン「うーっす……って、店長?」


 バックヤードの扉から金髪の女子店員が入って来た。擦れ違うところで、


店長「ヤンキーちゃんオハヨー! 店番よろしくねー!」


影山「あの俺、店長に無理矢理なんで! 無理矢理なんで後で殴らないでくださいね!」


ヤン「ちょ、どーゆことか説明ぐらい──」


 バタン。

 二人はバックヤードに飛んで入ってしまった。


ヤン「……あの野郎二人は後でシバくとして。アタシ一人で店番ってダイジョブなのかよ」


 ヤンキーちゃんは静まり返る店内を見回してから一息ついた。


ヤン「ま、いっか! どーせ人こねーし、来てもリュウコさんいるし」


※ドラッグストアは営業中、最低でも一人は資格者が居ないといけない決まりがあります。どちらにせよ薬剤師が居るとはいえ、店舗責任者はしっかりと店に居ましょう。





【☆3】


 某有名チェーン店にて──

 店内は広く、『大きな栗の木下で』をアレンジしたテーマソングが流れている。


店長「ウチにもテーマソングってあるけど、他社の店舗のテーマソング聴くと何か癖になっちゃうよねー?」


影山「うぁぁあああ!!(頭を抱えながら床に転がる)」


店長「どーしたのカゲウスくん!? まるで映画のヴェ○ムみたいな苦しみ方してるよ!!?」


影山「い、以前ここで入社面接を受けて──」


店長「ゴクリ……」


影山「そのままお祈り通知が来たトラウマが蘇りました……」


店長「精神よっわ」


影山「うわぁぁあ! これで28社目ぇぇええ!!」


※店内では、お静かに。




【☆4】


 店長がとあるコーナーで商品を手に取って睨み付ける。


影山「店長、何見て──って、ホント何見てんスか」


 0.01mmの文字が大きく書かれた赤いパッケージを影山も見て呆れ顔になる。


店長「聞いて欲しい。あれは一週間前のことなんだけど──」


影山「えっ、回想入るんですか? こんな雑な展開で?」



 〜1週間前〜


男子高校生「スイヤセーンw 俺、18歳じゃないンすけどw これ買えちゃうンすか?www」


女子高校生「ちょw ハズいからやめなしぃ〜〜www」


店長「チッ──1,092円でーす」


男子高校生「意外とたけーしw もうちょい(ヤス)しろしwww」


 〜回想終了〜




【☆5】


影山「いやまぁ、そんなもんじゃないですか? 知らんけど」


店長「無駄に屈辱を味わったよ……」


影山「はぁ……でもソレ意外と着けにくいんですよねぇ」


店長「は──?」


 影山がパッケージを手に取りながら眺める。


影山「てか、今時の高校生が避妊具(コレ)を18歳じゃないと買えないイメージ持っちゃうのって色々ダメじゃありません? もっと恥じらいなく大胆に買えるような社会にしていきたいですよねぇ」


店長「ちょ、ちょっと待ってよカゲウスくん」


影山「カゲヤマです」


店長「何ちょっと良いこと言おうとしちゃってるの? え、キミ今なんて言った? 着けにくい? 使ったことあんの??」


影山「え? ええ、まぁ……」


店長「裏切り者ーー!!」




【☆6】


店長「今まで仲間だと思っていたのに! 一緒に30歳越えて賢者の道を歩むんだと思っていたのに!」


影山「てか、店長って童貞──」


店長「ど、どどどどどどどど童貞ちゃうわ!!(汗)」


影山「滝のように汗掻いてるじゃないですか」


店長「ていうか? 童貞ってナニ? 僕そんな人種じゃないですし? そもそも童貞と決め付けて差別するの下手したら国際問題だし? てか童貞じゃねーし?(口笛吹く素振りしながら)」


影山「店長ってアレですよね。修学旅行が沖縄だった時、『ち○こすこう』は買うけどコンドー○は買わないタイプの人間ですよね」


店長「うっ(図星)」


影山「で、カースト上位のクラスメイトが悪ふざけで買った避妊具を恨めしそうに眺めて興味ないフリするムッツリですよね」


店長「ううっ!(図星)」


影山「……童貞じゃないですか」


店長「うわーん!(図星)」




【☆7】


店長「どーせ僕はムッツリスケベのドーテーですよ……イカ臭い湿ったパンツを履いた一生初心者マークですよ……なんなら仮免許すら持たせて貰えませんよ……(号泣)」


影山「いやそこまで言ってませんよ」


店長「ぐすん……(拗ねる)」


影山「でも意外でした。店長ってほら、見た目チャラい──もとい、カッコいいのでモテるものだと思ってましたので」


店長「(ピクっ)」


影山「彼女いなくても店長って立場だから仕事一筋なんだなーって感心してましたし」


店長「(ピクピクっ)」


影山「ていうか、そんなに落ち込まなくても店長ならすぐに彼女できますって」


店長「ふ、ふーーーーーん。まぁ? 僕って今、店長だし?? モテ期もこれからっていうか?? 今はいなくても平気だし??? そっかーカゲウスくんから見たらモテそうなんだふーーーーん」


影山「(ちょッッッろ)」




【☆8】


 レジ会計にて──


影山「結局買うんすね」


店長「い、いいじゃないか! もしかしたら使うかもしれないだろ!」


スタッフさん「1,092円でーす」


店長「意外と高いし。(ヤス)しろし」


影山「……なんかデジャヴ感じる」


スタッフさん「ポイントカードはお持ちですか?」


店長「あ、持ってないです」


スタッフさん「無料ですぐにお作りできますが、お作りしましょうか?」


店長「いえ、イイです」


影山「え? 店長、Eポイントカード持ってないんですか?」


店長「僕、あんまりカードって持ちたくない派なんだよねー。サイフかさばるし」


影山「……ウチの店も、確かEポイントカードの加盟店だったと思うんですけど」


店長「あー、ウチというか、僕の店には導入してないね」


影山「なんでですか!?」


スタッフさん「(はよ帰れや)」




【☆9】


 店を出て帰る二人。


影山「ポイントカードは強豪他社との差別化に最も重要なものなんですよ!?」


店長「えー、でもめんどくさくない?」


影山「今の俺らの店を見て同じセリフが言えますか?」


店長「だって! レジするたんびに『ポイントカード持ってますか?』って聞くの大変じゃん! しかも持ってたら持ってたで『じゃあこちらにスキャンしてくださーい』ってやり取りしなきゃだし!」


影山「最近どのお店もスタッフさんやってくれなくなりましたもんね。法律の改正らしいですよ。セキュリティ云々で」


店長「持ってなかったら持ってなかったで『お作りしましょうか?』って聞かなきゃだし!」


影山「だいたい持ってない人はわざわざ作らないですしね」


店長「断られたらちょっと不機嫌になるし!」


影山「断り方が『あ、もうそう言うのイイんで』ってセールス販売に対する態度と同じ感じにされると結構ココロに来ますもんね」


店長「だから導入しない!」


影山「いや導入しろーー!」




【☆10】


店長「でも大変だよ? レジ担当するヤンキーちゃんとかキレるよ?」


影山「俺も一緒に説得しますから……お店のために頑張りましょ?」


店長「はーい」


 二人は自分たちの店に到着した。


ヤン「おいテメェら」


店長&影山「「ひっ!」」


 ヤンキーちゃんが明らか不機嫌に指を鳴らして威嚇する。


ヤン「テメェらいない間にめちゃくちゃ客が来たんだぞ! 一人で捌くの大変だったかんな!」


店長「え、お客さん来てたの?」


影山「ヤンキーちゃん、意外と人気あるんですよ」


ヤン「"意外"ってなんだよカゲウス眼鏡! てか、いらねーよ人気なんざ! 店長なんか手当て寄こせ!」


店長「え、えっとじゃあ、これ……」


影山「あっ、店長それは──」


 買ってきた袋をヤンキーちゃんに手渡す店長。


ヤン「んだよ、ちゃんと貢ぎモンあんじゃねーか──って……」


 袋から0.01mmの赤いパッケージが顔を出す。

 それを見たヤンキーちゃんは、みるみる顔を赤らめて──


ヤン「処女のアタシをバカにしてんのかーーー!!(豪速パンチ)」


店長&影山「「ぎゃーーーーー!!!!」」


 セクハラは、やめようね!




【おまけ】


店長「ポイントカード、導入するから」


ヤン「え、やったー! わざわざ他の店行って買うのメンドーだったんだよ!」


影山「……守銭奴」


ヤン「ぁあ"ん!?」


影山「ナンデモアリマセン!」


 なんやかんや、ヤンキーちゃんの機嫌が良くなったので、ポイントカード導入しましたとさ。

読んで頂きありがとうございます。

面白かったら是非、ブクマや感想、星評価などよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ