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オークと女騎士、死闘の末に幼馴染みとなる  作者: さかもり
第一章 転生者二人の高校生活

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ヌルヌル相撲と二人三脚

 翌日は土曜日であった。公立の高校は大半が休みであったものの、私学であるカラスマ女子学園は今日も授業が組まれている。


 四限までではあったものの、放課後にはクラブ活動や補講があったりと変化はあまりない。

 授業後に玲奈は生徒会へと来ていた。通常は週に二日しか集まることなどないのだが、今週は既に三度目である。新学年になっただけでなく併合について話し合う必要があり、臨時の開催となっていた。


「本日の議題も共同開催についてです。提案書は理事たちにも好評でありまして、共同開催の演目は体育祭で決定しております。そこで体育祭を成功させるため、次に我々が行うべきこと。それは体育祭のプログラムを話し合うことであります。どのような競技を選択するのかも我々生徒たちが決めていかねばなりません」

 武道学館には実行委員の選抜を依頼していた。当のカラスマ女子はというと余計な雑務を生徒たちに与えないようにと生徒会長の恵美里と副会長の小乃美が率先して手を挙げ、更には一騎打ちに負けた玲奈と付き添いだった舞子が委員に参加している。


「玲奈さんが昨日武道学館のリストを持ち帰っております。委員だけで話し合っても良かったのですけれど、一応は目を通してもらおうかと思いまして集まっていただきました」

 配られたプリントは武道学館が作成した体育祭のプログラムだ。ざっと見たところ問題はなかったのだが、役員たちはある一点が気になってしまう。


「会長、この二人三脚は本気なのでしょうか? 体育祭というには幼稚に感じますけれど」

 早速と書記の木幡秀美が聞いた。小学校の運動会で行うイメージ。完全に浮いている二人三脚がどうにも理解できない感じだ。


「秀美殿、奴らはただ女子と触れ合いたいらしい。本来ならそのリストはとても見せられるものではなかった。だから私が大幅に手を加えたのだ。しかし、奴らのやる気を促すためにも二人三脚だけは認めることにした……」

 玲奈が経緯を説明する。元々のリストにはヌルヌル相撲やアクロバティック組み体操なるものがあったことを。彼らはそれらを混合競技としていたのだと。


「ヌ、ヌルヌル相撲ですか……?」

 恵美里が唖然として聞いた。意味合いはそれとなく理解できたけれど、とてもじゃないが理事たちに披露できるものではない。

「私は一つくらい希望を叶えてやりたいと考えています。責任を持って指導するつもりであり、私は実際の競技にも参加し目を光らせます。また両校の交流なのですから、少なからずこういった競技の必要性もあるでしょう。絶対に風紀を乱すような事態は起こさせませんのでどうか認可していただきたく存じます」

 義理などなかったが、武道学館生は自ら体育祭について考えていたのだ。内容は褒められたものではなかったけれど、彼らのやる気を玲奈は評価していた。


「まあそうですね……。共同開催の前提は交流ですから確かに必要性があるかと思います。特に練習が必要というわけでもなさそうですし、一応はリストに入れさせてもらいましょう。問題は学園側に参加希望者がいるかどうかですけれど……」

「殿下、それなら提案がございます。奴らは腐れ脳みそのクズ高校でありますが、スポーツや格闘技の分野では名を馳せています。そこで奴らに色々とプレゼンをしてもらい、我々が人気投票をするのです。その人気上位者を二人三脚の参加者とすれば、気まぐれで参加しようとする生徒が現れるかもしれません。また体育祭直前まで人気投票を受け付けておれば、奴らのやる気を削ぐこともないでしょう」

 昨日から考えていたのか玲奈が具体案を出した。無作為に相手が決まるようでは二の足を踏むだろう。しかし、相手が男前で固められているのならば、物好きが参加しようとするかもしれない。


「ああ、確かに参加者がイケメンだったら問題ないかも! ウチは女子校だし出会いに餓えているからね。寧ろ参加希望者が殺到するかもしれない」

 舞子が賛成と手を挙げた。お嬢様学校ではあったけれど、そこは年頃の女子高生。甘い男女交際を夢見る者も少なくはなかった。


「なるほど、玲奈さん考えましたね? わたくしたちに選択権があるのなら、怪物のような男の子が相手になる可能性はありませんし……」

「その通りです。ただ基本が豚箱のような学校ですので事前調査をした結果、十人にするのか二十人にするのか決めたら良いかと思います。それにより悲劇は回避されるでしょう」

 玲奈の話に拍手が巻き起こった。消極的であった秀美でさえ良い案であると手を叩いている。


「早速と私は武道学館生の写真入り名簿を入手してきます。ご期待ください!」

 何だか玲奈は面白くなっていた。皆で作り上げる体育祭。きっと楽しいものになるはずと疑わない。併合には絶対反対の立場であった彼女はもうどこにもいないようだ。


 玲奈は会議を中座し武道学館へと急ぐ。何しろ一八と来田は特訓中なのだ。主導する者が不在であれば直ぐに済む用事も時間を要してしまうだろう。

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