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オークと女騎士、死闘の末に幼馴染みとなる  作者: さかもり
第三章 存亡を懸けて

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209/212

導かれる解答

 一番乗りを果たした浅村突撃分隊。剣士を先頭に魔道士、支援士と続く。

 現状は警戒態勢であって、支援士の防御魔法が展開されたままだ。


「これは……?」

 ゴリョウカクの惨状には言葉がなかった。一帯が強大な魔法により破壊尽くされていたのだ。出撃前に見た黒煙をこの現状と結びつけるのは容易い。


「本隊の突撃前に粗方探索するぞ……」

 言ってヒカリはエアパレットを走らせる。しかし、どこもかしこも瓦礫の山であり、魔力残滓の数値は中央に近付くほど高くなっていた。


 皇殿と思われる跡地。ゴリョウカクの中心地は瓦礫さえ吹き飛んでいた。黒くただれた地面が爆発の威力を物語っている。


「少佐!?」

 玲奈がヒカリを呼ぶ。彼女は何かを発見したのか、中心地から少し離れた場所から声をかけている。


 ヒカリが振り向くと、そこには石像が建っていた。全てが失われた中で、その石像だけが無事であったらしい。


「原初の悪魔……?」

 それがどのような存在であったのか、人族には伝わっていない。しかし、明らかに異形の存在を形作った石像は彼らが望んだ原初の悪魔であると想像させている。


「ここだけ防御術式が施してあります……」

 玲奈の話に確信していた。この石像のモチーフは天主の創造主。原初の悪魔に他ならないのだと。


 ヒカリは長い息を吐いた。彼らが崇める石像だけ残されたこと。それは全ての推測を真相へと導く。


「天主は自ら種を根絶したのか――――」

 見渡す限りに焼け野原である。ここに生存者がいるとは思えない。どれほどの魔力を集めたのか想像もできないけれど、ゴリョウカクは現存していた天主諸共失われていた。


「少佐、私のせいでしょうか?」

 玲奈が問う。ラファエルという天主を見逃したこと。それがこの惨状を生んだのだと思えてならない。


「まあこれで良かったのだろう。怒りをぶつける先は消失してしまったが、少なくとも今回の進軍では誰も失われない。天主は決して許されないけれど、部隊を預かる者としては悪くない結末だ……」


 一八は何も言えなかった。今もまだ自分の手で決着をつけたいと願っている。唐突に訪れた戦争の最後は受け入れるのに時間がかかりそうだ。


「戦争は終わったの?」

 莉子が聞いた。それは誰も確信できないことだ。現状はゴリョウカクが壊滅していることしか分からない。戦うために来た彼女たちは首を傾げるだけである。


 消化不良的に焼け野原を眺めるだけであった……。

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