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オークと女騎士、死闘の末に幼馴染みとなる  作者: さかもり
第一章 転生者二人の高校生活

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再び武道学館生徒会役員室へ

 新年度とはいえ三日目ともなれば目一杯の授業が組まれていた。加えてカラスマ女子学園では放課後の補講があったりと長期休暇の余韻すらなくなっている。

 生徒会役員たちは臨時の会議を開くということで全員が集まっていた。概ね新年度の注意事項を確認する内容であったが、最後の議題は前日から持ち越された話に他ならない。


「それで理事長とお会いした件ですけれど……」

 恵美里が滑らかとは言えない口調で切り出す。この時点で役員たちはある程度察していた。好ましくない話が続くことを。

「やはり併合は絶対であって、併合した両校を壁が遮るのは許可できないとのことです」

 想像通りの内容であった。そもそも共和国議会による決定であって、生徒会に理事会を納得させられるはずもない。

「残念ですが全ては決定事項とのこと。あと本年度の交流について念押しされております。玲奈さん、昨日は奥田会長と面会できましたでしょうか?」

 昨日のお使いについて問われる。玲奈は確かにカラスマ女子学園の提案を伝え終えていたけれど、その提案はアネヤコウジ武道学館の校風にそぐわないと却下されていた。

「それが文化祭自体は存在するようですが、奴らは知性を持たぬ畜生故に有名無実化しておるみたいです。代案として体育祭を提案されております」

 玲奈は昨日の話し合いについて語る。文化祭を共同開催しても無駄であると。誰も登校しないのであれば交流などできない。


「体育祭ですか……」

 深い息を吐く恵美里を見ると好ましくない提案であるのは明らかだ。というのもカラスマ女子学園には体育祭など存在しない。彼女たちが催しているのは魔道批評会であって、肉体的な競争などしていなかった。

「はい会長! 体育祭なんて無理です! 存在しないものをする必要はないかと思います。行事として両校に存在する文化祭しかあり得ません!」

 書記の木幡秀美が言った。付き合う必要はないと。双方の年間行事にある文化祭しかないのだと。

「あたしも体育祭なんて嫌だなぁ。運動は苦手だし……」

 続いて宮之阪舞子が発言する。彼女は個人的な理由を述べただけだが、玲奈を除く役員の全員が大きく頭を上下させた。


「私も反対です。行事が増えると受験勉強にも差し障りがありますし……」

 副会長の大和田小乃美もまた反対に投じている。生徒会役員は全員が騎士学校を目指しており、彼女は受験対策が疎かになることを危惧していた。

「まあですよね……。玲奈さん、わたくしも申し訳ないのですけど、体育祭には反対です。時間的余裕もありませんし、練習もしないで開催するわけにもなりませんので」

 最後に生徒会長の七条恵美里が反対をする。どうしてもアネヤコウジ武道学館の提案は難しいとのこと。開催するからには全員で取り組むべきと考える彼女は一定の予測をし、その結論に従って反対に投じていた。


「殿下、であればどうしましょう? 聞いたところによると奴らは体育祭以外の行事に興味がないようです。それ以外を提案したとしても同じ結果になるかと存じます」

「そうですねぇ。そもそも校風が異なりすぎますから……。正直に理事会が期待する交流は不可能かと考えます。ここは武道学館側に折れていただきましょう。形だけでも文化祭を共同開催する方向で……」

 余計な行事を増やすのは生徒たちのためにならない。恵美里は妥協案として武道学館側に展示などを求めないつもりである。形式上だけの共同開催を提案しようと考えた。

「無理をお願いしますので本日はわたくしが武道学館へと向かいます。玲奈さん、ご同行お願いできますか?」

「もちろんです、殿下! このところ連日に亘って締め上げておりますから何の問題もございません!」

 玲奈の返事に恵美里は笑みを浮かべる。流石に一人で武道学館へと向かうのは恐ろしい。中学時代に全国を制した玲奈が同行してくれるのは本当に有り難かった。


「あたしも行くよ。数で押し切られないように!」

 勇敢にも舞子も手を挙げた。玲奈が参加しなければ同行など口にできなかっただろうが、安全が保証されるのなら文化祭の共同開催を推し進めたいと考えている。

 参加を表明した舞子に恵美里は感謝を伝えた。人数は多い方がいい。丸め込まれないためにも口数で勝負しなければならないのだから。


「それでは解散とします。玲奈さんに舞子さん、よろしくお願いします」

 会議はこれにて終了となった。アネヤコウジ武道学館へと向かう三人を残して役員たちが生徒会室をあとにしていく。

 いざ決戦の場へと向かう。玲奈は新しい竹刀を手にしていた。昨日の戦闘には少しばかり不満がある。一八に助けられただけでなく、玲奈が倒すはずだった二頭目のガーゴイルを一八が仕留めてしまったから。


 一暴れできそうな予感。彼女は小さく笑みを浮かべている。

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