食べかけのリンゴと腐りかけのそいつ
本編が頭の中だけで勝手に進んでいきます。
そういう病でしょうか?
違います。
執筆時間を取れない僕が悪いのです。
近い将来、「腐りかけの賢者(笑)」ともネタにされるシオジですが、少年の頃は、まあ方向性を持て余していました。
そういう時期って、有りますよね?
有りましたよね?
「食べかけのリンゴが割と旨いのは、皮を剝かないでいたからリンゴ本体が守られていたからだよ」
シオジはとっておきの笑顔を、彼女に見せながら、彼の気づいた「真理」を口にする。
「でも?ん?あれ?」
「君の今思い描いたリンゴは食べかけのじゃなくて、剥きかけのリンゴさ、そしてこの二つは似ていて異なるものなんだ」
「剥きかけも塩水に漬けておくと美味いらしいぜ」
「ぐぐっ、それは宰相の家のものとしては、何とも答えがたい設定だなあ」
勇者候補は庶民の知恵に長けているらしい。
シオジの知らない…
「だが一番駄目なのが、腐ったこいつだ」
話題を変えようと、傷の目立つリンゴを指さす。
「てめえだけは、周りのリンゴも腐らせる、巨悪の元凶だ」
ちょっと賢者候補に焦りと焦燥が窺えます。
まあ、平常運転中ですが…
「あれ?それなら、傷の無いところを使ってジャムにできるわ」
「ウチではオヤジたちが、こっそり酒にしているぜ」
「ぐ、のののおの、のお~」
たかが皿洗い程度の厨房知識で、とれるマウントなんぞ、たかが知れています。
そういえば「平成」「令和」の世にも居りましたな、良くわからないマウントを取りたがる奴は、
「この店は☆みっつなんだぜ。ぎゃはは」
そう騒いでいる隣の席には、いかにも同伴ですという鴨とネギをこよなく愛するであろう猛獣を連れたガキが息巻いていましたね…
星を決めたのはお前じゃないし、お前がこの店の関係者じゃないのなら、お前の自慢にはならないと思うんだが…
僕は反対隣に座るあるお店のTOP1と、困りましたねという残念な眼差しを交わし合うのが常でしたが…
いきったガキは嫌いなんだよなぁ
なお現実の僕には特殊スキルは付与されていませんが、未だに「僕はなんでもできる」症候群に罹患中のご様子です。