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王家特別警邏隊養成学校

シオジは入学しました。英雄(笑)学校に。

何故、魔法魔術の類が伝承されなかったかについては後述しますが、実に人間らしい理由としか言えません。そしてあの方の登場です。特別な人。当代のヒメノミコト様です。

この呼称の不統一は意図的なもので、それぞれの立場と感情を表したいと思っています。

それでも学校に魔法魔術の授業があるのには驚きました(僕も)プロットの必要性で、どうしても無ければ逆におかしいので、哲学者でもないのに大学では哲学の課程が有るのと同じように有るのでしょうね、この当時も。

英雄候補者の通う学校の正式名称は、王家特別警邏隊養成学校であった。

さすがに英雄もどきしか育てられていない現実が、英雄養成学校を名乗ることはない。もちろん優秀な人材を歴代輩出している。しかし、この時代はまだ、英雄が服を着て歩いていた時代から数百年しか経ていないのだ。比べるなという方が無理だ。

「戦略講義のヒンチだ」

「魔法魔術のガルレイアです」

教師陣で耳目を集めるのは二人だ。片や当代の賢者、そして失われた技術の…

(お、魔法?教えれるものが残っていたのか?)

生徒が一様に驚くが、あくまでも魔法魔術の歴史と書物に残る技の考察の授業である。魔術魔法の実践など、望むべくもない。


そして生徒たちの最前列には、ひと際目を引く存在が居た。

(金髪。噂のヒメノミコト様だな)そっと、隣のジダンの様子をうかがうと固まっている。やばい奴か?いや大丈夫、震えている。何かに感動しているようだ。

ヒメノミコト、つまりは王権相続の権利を有する王族女子を言う。

アニノミコトと共にその優秀さは喧伝されている。まるで印象操作のように人口に膾炙するその噂には、シオジも何度も眉を顰めたものだ。

曰く、王に誤りを認めさせ奏上議会を設置させた。いわゆる民主化や、政治経済文化に亙る近年の改革のほとんどがこの二人から、いや実はイモミコトの方が発案者で、アニミコは実現者として妹に使役させられているといった荒唐無稽な噂まで漏れ出ていた。そしてシオジはそのすべての噂話を総覧できる立場に居て、私的にその真偽を調べる組織も抱えていた。

調べさせた結果は他愛もないもので、ヒメミコ様は純真でおられるとか、天真爛漫とは彼女のことを言うらしいとか、いつでも突然に思いついたことを口にするが後から大人どもがその発想に潜んだ有益性に気づき、王に進言してヒメの手柄と認められたなど、素直さと幸運が有れば誰にでも起き得る出来事だったことが分かり、警戒を必要としなくなって久しい。


それよりもジダンは、本当に大丈夫なのだろうか?時折、感涙にむせたと思えば、ため息をつき、その直後に自らを奮い立たせるかのように往古の英雄の口伝を諳んじ始める。

(こんなに情緒不安定だったかな?)

シオジは訝る。いかに恋慕しているとは言え、またそれが身分違いの恋とはいえ、意外に騎士爵と王族の距離は近い。何といっても王族警護は、近衛と騎士の独壇場である。家族ぐるみで友人として接している例や、降嫁先として選ばれたことさえある。

そこは現実路線を貫く、いわゆる「逃れ王族」の柔軟性を感じるな。


「聖女の称号は王家から泣いて頼まれたから譲ったけど、勇者まで譲るお人よしは居ないわ」

分かっていた。

反対側からどす黒い情念が漂っていたのは。サクラだ。

それよりも、あの親父さん。家族には王家から泣いて頼まれたなんて言っているのか。豪胆だな。聖職者面よりも好感が持てる。さすがはサクラの父。

その殺気を感じ取ったのかヒメミコが振り返ると、口に手を当てて驚いている。

(ん、さすがは王族、危険察知にも素養があると見える)

「ま、ま、さか、宝塚?」

サクラに気づいて何かを言っている。タカラというからには、誉め言葉だろう。それにしても随分と驚いているな。サクラを見ると、確かに美しい。気にしない阿呆が変わっているのだ。


どうも、作者本人が英雄(笑)たちの遠征話(本編)自体よりも、少年少女の時代に思い入れがあるようで、次々にエピソードを授かります。とはいえ、本編も面白くて読みやすい、これまでに無いファンタジーを目指しますので、よろしくお願いいたします。

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