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俺に任せて先に行けッ!………って言ってた事にした


誤字報告ありがとうございます!

今日だけで15件以上、本当にありがとうございます!助かります^ ^

物と者の間違いが凄くたくさんありました。すみません。

長くなりそうだったので今日は櫻井side と少し時間を巻き戻して電車に乗る前の主人公の行動について書いてみました。

2019/06/10 8:12誤字適用。文章をわかりやすいよう加筆

では!



side 櫻井綾子


ここは池袋駅。

幸運と言うべきか、電車は止まらず池袋へと到着した。

ホームに見えるのは黒い塊。


人、人、人。

まだ止まってさえいない電車に押し寄せる人間。

興奮しているのだろう、誰もが叫んで押してスマホを掲げている。

昔、一番勢いがあった頃のうちの教団の信者みたいだと呆然と思いながらどうしたものかと考える。


何度か教団独自のネットワークにてメッセージのやりとりがあったが"救出の為戦闘中"との短いメッセージが送られてきたのが最後だ。

教団が抱える兵士からそのメッセージが送られて来たのは十数分前だが、問題ないでしょう。

日本において強力な兵器を所持しているのは一部の犯罪組織と自衛隊や特殊部隊くらいで、そいつらと戦うなんてことはまず無い。

そもそも、犯罪組織と敵対関係にはないし、国際指名手配までされている教団のそれも死んだ教主に変わる正当な後継者たる娘を襲撃するのはリスクが高い割に利益は少ないだろう。

身代金をとったとしても命を惜しまない狂信者が襲撃し続けること間違いなしだ。

そんなイカれた……そこの幹部の私が思うのはおかしなことかもしれないけれど、普通に考えて金目的だったら金持ちの息子とか本人とか色々あるだろう。

仮に金目的でなくともやらない。

私の考えすぎだった場合はどうなのか?

例えば、襲撃した相手は娘のことを知らなかったら?

それはありえるとして何故朝のしかも人の目が多い場所で行なったのか。

いや、場所が場所だ。

池袋の商店街あたりは中華系マフィアが陣取っていたような……。


もしかして、やはり知ってて襲撃したのか?

たまたま居合わせたチンピラが何も考えず何も知らず襲撃したなんて言うのも考えられなくないが、おそらく違うだろう。

それから自衛隊や特殊部隊もありえない。

奴らは人命よりも世間体を気にする。

働いている下っ端は人命第一かもしれないが上はどうだろうか。

法律がどうとかはまだいいとして、前例がないなどと言ってやろうとしないのだ。

まあ、私達としては好都合だが、巻き込まれた人としてはたまったものではないだろう。

つまり……市街地で銃を突然放ったりとか撃たれたからってやり返したりはしてこないのだ。


と推測するに、襲撃してきたのはやはりマフィアだろう。

池袋をシマに近年力をつけてきていると報告が上がっていたマフィア、奴らは限りなくクロだ。

中華系とだけあって日本人のように、人の繋がりをそこまで意識していない可能性がある。つまり、襲ったらあとあと商売がし辛くなるとか考えず襲いかかってきた可能性もあると言うことだ。


しかし困ったことになった。

娘と教団の繋がりを完全に抹消していたというのに今回の件でもう隠しきれないだろう。

奴らはどうやって知ったというのか?

教団でもその情報を知っているのは私を含めて数人だけ。幹部でも知らない奴らも多い。


誰かが裏切った?



と考えを巡らせていたところで突然体を強く押された。

我先に入ろうと乗り込んできた人間達に押し流されいつのまにか開けられていたドアとは逆のドアに叩きつけられる。

ドアは開いたわけではないらしい。

ごし開けられたようだ。

押されたり、どさくさに紛れて胸を触っていった奴らは処刑ものだが、幸いドアが開いてこの電車から降りれる。

許すわけではないが見逃してあげる。

そう心で呟いて、人の隙間を縫うように電車を降りた。




XXX





少し前に遡る。

砂森達、五右衛門ラバーズの三人は……いや二人は服を乱したまま必死に閑散とした街を走っていた。


「な、なんなんだよ!なぁ、なんだんだよお!!」


「俺が知るわきゃねぇ!なんだ、ってんだ!」


五右衛門ラバーズ、謎のネーミングセンス。だからお前たちはモテないんだ。

それをやって可愛いとか言われるのはイケメンだけだと知るがいい。

息を乱して走る二人は、後ろから聞こえる爆発音に気が気ではなかった。

そもそも最初に走り出したのだって、裏道に女を引きずりんだのがバレそうになって反射的に逃げただけでその時は頭が酒を飲んだ時のように熱くなって笑いながら逃げていた。

だというのに突然、後方でドンッと地響きのような、腹に響く音が聞こえたあと、大勢の人間が叫ぶ声と周りを一瞬白く染める光と、何かが壊れるような音がして、それから銃声がした。

年頃の男だからなのか銃に興味があり見学可能な自衛隊の演習を見たのだがその時に聞いた連写可能な銃の発射音によく似ていた。

日本で、そんな銃が撃たれる訳がないとそう思いながらも足が震えて、またもう一人も思わず腰を抜かしそうになってペタンと地面に座ってしまっていた。

これが女子なら少しは可愛かっただろうが、外から中まで腐り切ったクソ男となれば、見てしまった日には目を消毒するしかない。

女々しく震えた2人は再度響き渡る爆発音でふらつきながらも走り出した。


その頃、表通りでも異変を気づいた人達が我先にと人を押しのけ逃げ回っていた。

それを見た人達も一緒に走り回り静かな裏通りとは逆にとてつもない混乱が巻き起こっていた。


裏通りは相変わらず人通りがなく、更に表通りの様子や響き渡る爆発音に気づいた住民が家に逃げ込んだことにより、人っ子ひとりいなくなった。

カーテンを閉め、電気を暗くし、鍵を閉め隠れる住民。

慌てて逃げたのかそこら中に転がるおもちゃ。

道の真ん中に鎮座するキャベツが悲壮感を醸し出していた。

倒れたのか鉢からこぼれた土が新築の白いコンクリートを汚し、倒れた自転車には鍵がついたままであった。


まるで突然人間が姿を消したようで何処か不安な気持ちになる2人。

道一つ挟んだ表通りの騒音でそんなことはないことはわかるが自分達だけ壁一つ挟んだ見知らぬ世界に飛ばされてしまったのか。そんな妄想までしてしまう。



「おい、岡本はどうした!?あいつどこ……ハッ…フゥ……どこいった!!」


今頃か、気づいた砂森が後ろを走っていた山口に怒鳴りながら聞く。

ずっと走っていて、それに加えて興奮している砂森は自分が怒鳴っていることに気がついていなかった。

それと同じく聞かれた山口も怒鳴られたことに気づかず答える。



「ああ!あいつ……ここは任せて先に行けって…フゥ…ハァ…い、…言ってたぜ!」



おい、勝手に殺すな。それから嘘つくんじゃない。

流石にこれは誰でもわかる嘘だ。

これを冗談で言っていたとしても、この状況でこのブラックジョークは人としてどうかしていると思う。


「はははは!それはヤベェ!俺に任せて…ふひゃはははは!!やべぇ…はははは!!…ぁぐッ……ごぼっ…は、はははは!」


「おい、すなっち大丈夫か?」


いや、笑いすぎだろ、それから咳き込んでいる人より、銃撃戦が起こっている現場においてけぼりにされた人間を気にしろよ。そう思うのだが、彼らには人間に必要な何かが欠けているようだ。


砂森だから"すなっち"。た○ごっちみたいとか、思ったやつファンに謝れ。

この内面ブス男で青髭を生やしたぽっちゃりはどう見ても"すなっち"というのは違和感がある。


「で、本当のところどうなん?」


さきほどまでむせていたというのに、走るのに慣れてきたのか息も整ってきた砂森。


「あ?……あ!あいつな、ハッ…ハッ……あいつ、俺んこと置いてこうとッ!したからさッ!ふざけんなよって殴った、ら。……フッ…ハッ…フゥ……倒れたんだよ!はははは」


残酷に笑う山口は何処か目の奥に影を落としているように見えた。



「お、い。置いてきたのか!?」


「ちげぇよ、あいつ大袈裟に倒れたから置いてきたんだ」


何が?何か違いますか?と聞きたいところだがこちらの声が届かないから聞くのは無理だろう。

やっぱり置いてきたんじゃないか。仲間じゃないのだろうか。

酷い。

さきほどから、いや前々からわかっていたが酷すぎる。

彼らとは決して仲間になりたくない。


最強のエージェントだというのに仲間の腹黒さを見抜けない五味秋人は間違いなく隠された実力などないだろう。

エージェントに必要な相手の深層心理を見抜くという技術をまるで持っていないし、見た目通り何も考えてないし、頭悪そうで実は頭が悪い彼にはきっと浅い層の心理でさえ見抜くことは困難を極めるだろう。

頭のいい人物は実にいや、時として馬鹿な人間よりも馬鹿になる可能性がある。


五味秋人がいい例だ。

彼の何をどう見たら全ての行動に意味があると言えるのか?もはやこじつけの域に達しているような気もしないでもない。たしかに目立った事件によく関わっているが、よーく、よく見たら違うとわかるだろう。

全ての行動が何かしら意味があると言うのは五味秋人に限らず、全人類、いやこの世に存在する全てが密接に関わり合い世界は動いていると偉大な科学者は話していた。

その一コマ。五味秋人という人間だけを切り離して"凄い!彼は本物だ"と囃し立てるのはどうだろう。

というより、何をどうしたら犯罪行為ばっかりやっているチンピラ大学生を最近エージェントに仕立て上げられるのか。エリート連中も考えるのはいいが深読みしすぎだ。


本当、馬鹿と天才は紙一重とはよく言ったものだ。


五味秋人の行動は全てに意味がある。

最初は誰が言ったのか、彼がエージェントとして成り上がって行く中で自然と広まっていた言葉だ。

スマホを見ながら歩いていてぶつかった人に対して"何処見てんだカス"と暴言を吐いたにも意味があるのか。

それはわからないだだ、そのあと老人の杖を蹴り飛ばして高笑いしながら地下鉄へ乗り込んでいった彼の行動には意味があったようだ。


またところ変わって薄暗い一室。

腕に包帯を巻き、顔を擦りむいた老人が数人の男たちを前に手をくんで考え事をしていた。


杖を蹴り飛ばされた老人は龍珍款、台湾を拠点に活動をしていた中華系マフィアの首領(ドン)でとある事件によって引退せざる得ないことになり、当時一幹部であり、ただ一人自分の元に残っていた部下であった周櫓榮に組織をたくし、日本で隠居生活を始めていた。

構成員は失っても着々と受け継がれてきた人脈や、貯められてきた資金によりあっという間に組織を立て直し東京、池袋に置いて当時抗争に負け弱体化していたいくつかの暴力団を吸収し巨大な組織を作り上げた。

どうやら当時、新米幹部だった周櫓榮は組織運営に才能があったようで日本で活動していく上で情報屋に大金を払い危険人物のリストを作らせ末端の人間まで手を出さないように教育をしていた。

つまり池袋で、砂森達が女を襲っても何も言って来なかったのはそれで、池袋の街角でたむろしていたチンピラ達は周櫓榮率いる元中華系マフィアの組織のものであったということ。

そして、櫻井が池袋にて教主の娘を襲撃した後助けに来た教団の人間に銃弾を浴びせたと思われているが全く飛んだとばっちりである。何度も言うが何も確認せずいきなり襲撃したのは教団側である。


杖を蹴り飛ばされた老人…龍珍款は怒りに染まっていた。

唯一の部下は組織の運営で忙しく、それでも護衛をつけようとしてくれていたが、組織が成長している時期に人を削るのは悪いと断っていた彼はそれが仇となり頭の悪そうなチンピラに絡まれ暴力を振るわれてしまったのだった。

そして彼が持っていた杖は護身用にと刀身が隠された隠し杖であったか不意打ちで蹴り飛ばされてしまい反撃の余地すら与えられなかった。


栗色の髪にピアス頭の悪そうな顔にしま○らで買ったようなドラゴンやらドクロやらで装飾された服。

チンピラを思い浮かべ薄く笑った。やり返す、いやむしろ殺してやると。

その人物こそ、彼の部下、周櫓榮が最もおそれ避けてきた人物とは知りもしなかった。




読んでいただきありがとうございます!

評価、ブックマーク、コメント、それから誤字報告ありがとうございます^ ^

なんかいろんな話をちょこちょこ書いている感じになってますが、次回はこの章を終わらせるために終盤に入って行くと思います。

老人の野望は新章(次章)に入ってから事態は進んで行きます^ ^

あ、あと日刊だけでなく週刊も4位取れました、皆さまのおかげで取れました。今までこんなこと無くて……いや、本当嬉しいです。

これからもよろしくお願いします!

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