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令和史上最高のヒーローショーと言われた伝説のヒーロー……(闇)

更新再開しました。よろしくお願いします!


あらすじに書いたように1、2章を読み飛ばした方は以下の人物紹介を見てください。


1、2章を既に読んでいる方は前書きは飛ばして本編をどうぞ^ ^


☆☆☆☆

五味秋人(ごみ あきひと)

職業 学生 大学生

主人公である。

自称ふつうの学生だが、普通とは一番かけ離れた学生であり、火のないところには煙は立たないということで、とにかくそこら中で揉め事をおこす。

それら驚異的な幸運でスルーしており、偶々が重なりすぎてなんかすげえ人扱いされており、いつのまにか政府にエージェントとして登録されてしまっていた。

ちなみにそんなことになっているとは本人は知らない上、組織の人間と話したこともなく使い勝手が悪すぎる主人公にどの組織も手を出すのを躊躇っている。

彼の友達はクズばかりで、ロクでもない。

主人公は子供にも女にも優しくないクズであり、いい点が一つもない救いようがないクズ。

キレやすい。忘れやすい。煽るのが好き。すぐに調子にのる。裏切りは日常茶飯事。

感違いで首の皮が繋がっているが、それがなければ繋がっているのは牢であろう。


谷口旭(たにぐち あさひ)

職業 公安職員

日本の暗部である国家安全保障機密保全委会に所属しスパイ、暗殺、監視と様々な任務をこなすなか、たまたま現時点で最強と名高いエージェントの監視兼部下になるよう命令が下った。

上の命令で当時同じく主人公に疑心的であった部下の八次を洗脳、その罪悪感に駆られている。

あと自分も洗脳を受けているが洗脳はされていない……ことを隠し通している。

主人公はただのまぐれ野郎だと思っている。

あと文句が尽きない。


八次鈴香(やつぎ すずか)

職業 公安職員

谷口の部下で同じこと組織に所属。

組織に洗脳され主人公が最強のエージェントと疑わない。

むしろ尊敬している。


☆☆☆☆☆

以下、本編始まります



五味秋人はデパートの屋上にいた。

テロでもやるつもりか?

いや、どうも違うらしい。

彼はピッチピチのスーツに着替えると大声を張り上げながら舞台に躍り出た。

ヒーローショー。

彼に一番に合わない、そんなバイトを今していた。

お前は怪人側だろう。

見張りの谷口は観客に紛れながらそう思っていた。


何故こんなことになってしまったのか。経緯は簡単である。

エージェントととして働いている彼は一般人に装う為、絶対に組織の人間とは直接関わらない。

そのため報酬も受け取っておらず、チンピラ紛いの行為で巻き上げたお金以外に収入を持たない彼にとってバイトは必須なのだ。

バイ○ルとかマイナビバ○トに登録すればバイトができると思っていた彼は、仕事を選んでもバイトが出来ないというクソシステムに気づき苦情の電話を入れたほどだ。

使ったことがある人には分かると思うが、使ったことがない人のために説明しておこう。

バイ○ルなどのバイト募集サイトは、バイトの一覧であり、バイトの募集の案内ではないのだ。

スーパーマーケットの案内板にあるレジ打ちバイトの募集とバ○トルのレジ打ちの募集ではまるで意味が違う。

スーパーの場合ならスーパーに面接に行って合否を貰って合格だったらアルバイトに行き始めれば済む話だ。

しかし、バイ○ルの場合は

①行きたい仕事を選ぶ

②派遣会社に登録する(直接行く場合も)

③派遣会社で長ったらしい説明を受ける④訳の分からない契約書にサインをする⑤面接を受ける

⑥派遣会社のホームページにアクセスし仕事を探す……が当然のようにサイトに掲載されていた仕事はなく、理由を聞いてもウチとは関係ないから知らない扱い(酷い

⑦バイトが決まらず、送られてくるアルバイトもとても学生ではこなせないブラックぶり

⑧アルバイトに行けず8ヶ月くらい経ってしまい派遣会社との契約が切れ登録し直す

⑨ループ


……これが実情である。

クソだ。クソ過ぎる。

CMはいいことしか言わないが、インターネットでバイトを探すとしても直接店が出しているアルバイトをするのが一番いい。

このクソシステムになかなか気づけずそれでも気づいた頃には3年も経っており、彼、五味秋人は大学生になっていた。

そして今日、デパートから募集を出されていたヒーローショーに飛びついたのであった。


デパートの屋上でヒーローショーとかいつの時代だよ。平成かよ。と言いたくなるが今日、令和になってもやっているところではやっているのだ。

今日ではデパートの屋上といえばオサレなガーデンがあったり、女子がキャハハウフフと言いながら黒い話をする素敵な喫茶店があるなど、変わってきているが、時代に取り残されたデパート。

特に遊園地が屋上にまたあるタイプのデパートでは時代遅れなチンケなヒーローショーも行われている。


ヒーローの名はマユレンジャー。群馬県の世界遺産見どころなしのぼったくり観光地と悪名高い富岡製糸場をベースに作られたヒーローである。

人気は限りなく低い。

マユレンジャーは富岡製糸場の生産品であるのシルクを使って作られたヒーローという設定であるが、群馬県県知事の汚職により本来観光地開発やインフラ整備に使えるはずの金が違法に吸い上げられ、石油系の素材で作られた白くて薄い安そうなヒーロースーツを着ている。

デザインも職員が作ったんだろうなというレベルで、酷くダサい。

よくこんなものが世に出せたなとこれを見たとあるデザイナーは苦笑した。

汚職に濡れた県知事は東京にあってもおかしくないくらいの立派な……別にディスっているわけではなく、群馬には立派過ぎる県庁を建ててしまった。

さらに見栄を張り続けた県知事は繋がりのある建設会社に依頼し、なんと立体的な道路も整備。

群馬人にはどちらも酷く不評であり、町や村に強い執着がある彼らは県が勝手に行っている市に統合する政策に爆発寸前であった。


ブチギレた一部がもう県に頼ってられない。と東京に進出したのが今回の案件であった。

マユレンジャーを東京に売り出すことで富岡の開発費用を捻出しようとしていたのだ。

いや、それ以前の問題があるだろう……と多くの人が思うだろうが残念。

彼らは盲目になっていた。

長年付き合ってきたマユレンジャーが可愛く見えてきており、このまんまでいけるっしょ!大丈夫、大丈夫。お客さんが見てくれればわかってくれる。

などと新入社員がいいそうなことを思っていた。

よく会社に入ってきた新入社員たちが、企画書を持ってきてダメだと跳ね返すとキレるが別に上司だった嫌がらせをしているわけではないとわかってほしい。

中にはただの性格の悪い人もいるかもしれないが全てではない。

それで今まで会社が回ってきたということはそのやり方は間違っていないということであり、カッコいいからとか効率がいいからとか言うがクライアントが何を望んでいるのか理解してない奴ほどそういうのだ。

最近のラノベやアニメ、漫画などのサブカルチャーにて上司は悪、平社員は正義ていう風潮があるが、それはどうなのだろうか。

ラノベを沢山を読んでいる人ならわかると思うが近年のファンタジーの魔王や盗賊がただの悪として登場することが少なくなっている。

魔王が人間の国を責めるのだって収める国に住む魔族たちを飢えから救うために豊かな人間の国を襲うなど理由があったりする。

それはわかるのに何故上司は悪のままなのか。

突然襲いかかってくる魔王だって悪じゃないか。

なのに同情できる。

上司はどうか。

悪である。

何故か、……現実だからである。

一言なら一歩置いて客観的に冷静に考えられるが自分のことになると考えられない。勉強ができる人ほどそうだ。冷静ぶってても冷静じゃない。

お酒呑んでべろべろになった酔っ払いが「全然酔ってないれす」と言っているようなものだ。

別に理不尽でダメ、こんなの出せないと言っているわけでは決してないのだ。

怒るのには理由がある……そこをわかってほしい。


まぁ五味秋人は理由がなく怒るカスだが。


脱線


舞台に躍り出た白いスーツの人物。マユレンジャー参上!

怪人すら出てないのに出てきた時点でシナリオがおかしいとか突っ込んではいけない。

そもそもスーツというより全身タイツである……ダサい。

股間がもっこりしているのもわかって子供に見せるショーに相応しくない。

レンジャーなのに一人っていうのはどうなの?と思うがこれも仕方がない。

資金不足(おとなのじじょう)って奴だ。


トウ!アチョー!などとカンフーじみたことを叫んでいるが仕方がない。

彼に渡された台本がスッカスカのカスだったからだ。

つまり八割型アドリブであった。

秋人がヒーローショーを見ていればもっとそれらしいやり方があったであろう。

しかし、五味秋人はヒーローショーをまともに見たことがなかったし、テレビで見ていたヒーロー物は怪人の見た目のかっこよさに惚れて内容はほぼ覚えていなかった。

ちなみに子供の頃に行ったウルトレマンのショーで彼は「怪人頑張れ!怪人可愛そう!虐待反対!ウルトレマン死ね!」などと叫びまくりショーを台無しにした。本人は忘れているが。

そんな彼にヒーローっぽいことをアドリブでさせるのは酷であろう。

怪人なら本物と見違う動きができただろうが。

谷口が思っている通り、配役ミスである。

ヒーローショーのバイトの募集であってヒーロー役の募集ではなかったが五味秋人の極悪人オーラにやられた職員たちは「ヒーローやればいいの?」と言った問いに対して頷くことしか出来なかった。

かくして、配役ミスなヒーローショーは開幕したのであった。

とにかくアルバイトが集まらず秋人以外に舞台に出てくれる人材が見つからなかったせいで怪人や悪の組織の戦闘員役は群馬からやってきたお馬鹿な職員たちがやることになった。

勢いは良くない。企画は計画的に。


暇を持て余して奇声を発していたマユレンジャーのリーダーという設定のマユダーマンの前に、悪の戦闘員が人質を取って出てきたのだった。

なんのストーリー性もない。

何故?何処から?という疑問しか湧かない展開。

怪人もいないのに出てきて開幕早々奇声を発していたヒーロー。

いきなり出てきてすでに人質を取っていた悪役。


当然ながら観客の反応は酷いものだった。

最初から不穏な雰囲気はあったものの、子連れの親たちは頭に「!?」浮かべていた。

色々びっくりである。

が、子供達には意外とウケはいいらしい。

最近の戦隊モノやレンジャーものは内容が凝りすぎなのだ。

大人がみて楽しいのであって子供は楽しくない。

イケメンとかストーリーとか割とどうでもいいのだ、あれらは製作陣のマスターベーションとなんら変わらない。

昔は良かったというのがよくわかる。子供にはもっとわかりやすく伝えるのが大切なのだろう。


これまたダッサイ服に身を包んだ悪の戦闘員。

マユレンジャーブラックですか?と言いたくなる気持ちを抑える大人達。子供には見分けがつくらしい。


「ふ、ふははは!マユレンジャー!貴様の命運もここまでだ!」


何がここまでなのかわからないし、まだ怪人すら出てきてないのに話進み過ぎだろとか、一戦闘員の分際で黒幕みたいなセリフやめろや、と突っ込んではいけない。

「キェェェエェェェェ!!!!」

まだ語り続けようとする悪の戦闘員に剣道上級者のような奇声をあげマジ蹴りを入れる秋人……あ、違った正義のヒーローマユダーマン。

ややこしいがマユレンジャー所属ホワイトではなく。マユレンジャー所属マユダーマンなのだ。

綺麗な姿勢から放たれる側頭蹴り。

膝を曲げた状態から腰を捻るように打ち出された強烈な側頭蹴りに戦闘員は声を上げる暇もなく舞台から退場する。

戦闘員役につけられていたピンマイクからゴン!ゴツッ!と鈍い音を立てて舞台から落ちるような音が聞こえたの決して気のせいではない。

事前に録音した音ではないことも確かである。


静まり返る会場。

あ、終わった……そう頭を抱える職員。

しかし、数秒後会場は歓声に包まれた。

爆笑する子供達、子供の笑顔につられて笑う母親、そして子供よりも喜んでいるおっさん達。

これだよ!こういうのを待っていたんだよ!コンプライアンスなんて糞食らえ!

まるで昭和のヒーローショーだ!

興奮しながら歓声をあげ、近くの席に座っていたおっさん達がベラベラと話し始める。


『お?これでいいのか?』

予想以上の歓声に調子にのった秋人。

少林寺拳法の構えをとり、やる気満々だ。

中国のではない、日本の宗教が入っている方の例の組織だ。ダーマとやらを進行しているあのである。


あまりに歓声が上がるものだから吹っ飛ばされた仲間を運ぶ暇もなく出てくる怪人と戦闘員たち。

おい、戦闘員多すぎだろ。

仮面ラ○ダーじゃねーんだそ。


怪人が放った一言も問題であるが。

「き、貴様、ヒーローだろう!なんてことを!」


迫真の演技……いや本心であった。

が、観客にはわかっていなかった。

マジでびびって声が震えているとか、吹っ飛んで落ちたっぽい戦闘員がワイヤーがついていなかったことなど。

それにヒーローがよりによってヤンキーなんてものじゃ比にならないほど本当の悪と戦いなれているエージェントなどとは。


人質役の子供は先ほど吹っ飛ばされた戦闘員役の娘であり、怖がっている演技ではなく本当に怯えており、怯えているのは強面な怪人の顔などではなく、ヒーローショーで殺人拳法を平気で繰り出す五味秋人にであった。


「悪が……何を言ってんだか……呆れる」


「なんだとッ!!」


「そもそもお前らが人質を取らなければこうはならなかった」


「アイツは……アイツは貴様の為に用意した人質だ!誰にも迷惑なんてかけてない!」


「はっ……戯言を」


「人質はアイツの娘なんだ!!見ろ!これを見てもまだ同じことを言えるかヒィィィロォァォ!!!」


まるで世界に入り込んだかのように錯覚させる迫真の演技に観客も息を飲む。

怪人が指をさしたのは大声を上げて掠れた声でなく人質。


「貴様はヒーローだろう!無関係な少女が泣いていても同じことを言えるのかァ!!」


技もない、マイクにノイズが混ざるほどの大声を上げて襲いかかる怪人達。

その動きには美しさもない、ただのテレホォンパンチであったがそこに大人達は感じるものがあった。


「ふっ……そんなことは関係ない。俺はヒーローだ。上に言われた通り悪を片付けるだけ、その為に俺はここにいる」


そう言い放つと、半歩下がり中段蹴りで飛びかかってきた戦闘員の脇腹を突き。その蹴りから踏み落とした姿勢で繰り出した裏拳を顔面に叩きつける。ふらついて後ろに下がる男にギリギリまで近寄り体を沈めて右手で内臓を抉るように殴った。

倒れる戦闘員を無視して歩みを進めるマユダーマン。

少林寺拳法お得意の滑るような足さばきで敵の包囲をかいくぐりながら殴る蹴るの連打。

掴まれた手を手刀で捻り切り手を絡めさせながら関節技を決める。

本格的な戦いに子供も大人も声を上げる。スマートフォンをかざす人もいる。

戦い慣れているだけあって本人が思っているよりも無駄がない。

関節技を決められ鶏を絞めたときのように悲鳴を上げる男を助けようと後ろから来た別の戦闘員の足を引っ掛け転ばせる。

ぐぎゃッ!?と間抜けな叫びをあげた戦闘員に取り掛かり顔面をボコボコに殴る。

とてもヒーローのやり方ではないが、観客もどうでもいいらしい。


「やめろ!やめろ!」流石にやりすぎだと止めに入ってきたデパート側の人間を背負い投げをして倒し、残りの戦闘員と怪人に向かい合う。

普段の癖でデパート側の人間まで倒してしまった彼は後々問題になるだろうが、このままいけば客の評判が助けてくれるだろう。


面白かった?あ、そう?なら仕方ないね。と。


あっという間に数十人もの人間を倒したマユダーマンに怪人達は戦果する。

それと観客の中にも同じく戦果していた人間がいた。

谷口だ。彼はずっと秋人はなんか運が重なって凄い凄い言われているだけのチンピラだと信じて疑わなかった。

だが違った。

普段の品のカケラもない不良じみた戦い方は演技だったのだと。

凄まじく強い。

自分が彼だとして同じようには動けないだろう。

年というのもあるが地力がちがう。

例え相手が素人でも数十人もいれば息が切れて戦えない。

しかもぴっちりしたタイツのような服に身を包み明らかに通気性の悪いマスクを被って動いているのだ。

さらに素手でである。


少林寺拳法か……凄い、俺も習ってみようかなと谷口はヒーローショーを見ながらそんなことを考えていた。


再び場面は戻って舞台。

マユダーマンが一歩進めば怪人達は二本下がった。

体をガタガタを揺らし、恐怖のあまりヒッヒ……とへんな声を漏らす戦闘員。

興奮のあまり役に入りすぎていた彼らは本当に殺されると思い始めていた。


ピリピリとした空気が会場を包む中、再び怪人役の男が声を上げた。


「俺たちを……どうするつもりだ…?

殺すのか?」


「いや、殺しはしないさ。徹底的に痛めつけるのさ」


怪人達の顔はマスクで隠れて見えなかったが明らかに怯えた様子を見せていた。

だがこのセリフは台本どうりなのであるが、あまりの非常事態にすっかりそんなことを忘れ、ヒーローに恐れをなし、つい感情のままに叫んでいた


「この人で無しがァァァ!き、貴様には人の血が通っていないのかぁぁぁ!!!」


正解である。


「それはお前たちだろう、怪人どもめ。さーてお前たちはどんな血の色なのかなぁ?」


肩をすくめて、くっくっくと悪い笑みを浮かべる。

演技をしながら秋人は内心引いていた。

え?ちょっとしたヒーローショーじゃなかったの?

ねえ?なんなの?

みんなガチ過ぎない?


そんな的外れなことを考えていたのだが誰も気づかない。

逆に変な沈黙が緊張感のあるシーンを醸し出す。

いつのまにか本来のシナリオは外れ、用意されていた戦闘音もBGMも無くなっていた。

とっくに予定の時間も過ぎてこの後、パフォーマンスを行うつもりだった奇術師を見入っていた。

普段は閑古鳥が鳴くデパートの屋上は開店当初のように人で溢れていた。


「我々を倒すつもりなのだな?だが、この娘はどうなる?貴様が半殺しにしようとしている仲間達にも家族があるのだぞ……それをわかっていての発言なのか?」


「そうだ、そうだが。……何か問題でもあるのか?

そもそもだ。その娘とやらは一般人でも無関係でもない。

親は悪の戦闘員であり、俺を呼び出す為に協力したそうじゃないか……えぇ?立派な悪だよ。一人前の悪だ。

俺はヒーローだ。悪を倒せば金がもらえるんだ。


さぁーて、大人しく退場してもらおうか?」



狂気を腹まして人質に視線を向ける。マスク越しにでもわかる視線に身体の震えが止まらなくなった。

一歩、また一歩と近づくマユダーマンに怪人達は動けない。


放心状態の彼らをいいことに、近づいて行く。

秋人は狂気を孕んでいた。

それはヒーローになりきって悪を倒しているからでも場の雰囲気に飲まれたわけでもなかった。

さっさと金払えや。

その一言にすぎる。

人はあんまり来ないとか、軽くできるとかあんまり激しい動きがないとか、すぐ終わるとか聞いていたのに何一つ守られていなかったからだ。

もう終わる時間だろ、てかとっくに過ぎてんだよ!

なんだよ、人どんだけ来てんだよ!ざっけんな!

おいおい、どんだけ戦えばいいんだ?いい加減疲れたぜ?

お前ら何が軽くだよ、まじ過ぎるだろ……。


文句は尽きない。

バイトの説明時に言われた、わからなくなったらとりあえず悪役を殴って退場させろ。

その通りに動いていた。

正義なんてない。

全ては金の為に。

道徳精神に欠けている秋人はマジだった。

よくわからないけど話を聞く限り人質も悪役の仲間らしい。てことは悪だしぶん殴って退場させよう。

年行かない少女を殴ろうとしている限りマユダーマンはヒーローではない。

ダークヒーローである。

シルク製の設定なのに石油由来の素材で作ったせいで性格も歪んでしまったのだろう。そう信じたい。



「そこまでだ」


秋人が少女の前に立ち塞がったその時、会場に銃声が響き渡った。


読んでいただきありがとうございます。


再開後からは長過ぎなので分けましたが、第1話見たいな感じでさらっとしています。

これからもよろしくお願いします^ ^




拙い文章ですみません。よろしくお願いします

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