こ、こんな事ってあっていいのか?ふっ……明日は槍が降るぜ!
2章はずっと主人公のターン!
いや、まだ決めてないですけど。
主人公のコンセプトは理由なき悪。つまり近年ラノベでみる悪は見方によって正義にもなる、という考えを放棄した一昔前の王道ファンタジーに登場したようなただただ悪い魔王みたいなイメージです。
ま、超能力も魔法もないですけど、ただ悪い主人公ってなんか新しいですよね?
あと、更新再開したらブクマが激減しました……なんででしょう笑
……では!
「あぁ"ー!!ダイジョブデスよか?」
突然かけられた下手くそな日本語にクスリと笑う秋人。
それに対して顔を赤くしたまま振り返るガリ勉くん。
両者は異なっていたが後ろの席にいた少女を見ていたということには代わりはなかった。
なんか違和感しかないイントネーションでしかも語尾を思いっきり間違えている下手くそな日本語を発したのは少女で間違いないらしい。
龍洋蓮、何処でまたことのあるような気がする苗字を持つ中国人留学生である。
いや龍なんていう人は沢山いる筈だまさかそんなわけがない。
ま、その何処かで見たことのある名前の人に対しては秋人は認知しておらず向こうが勝手に知っているだけなのだが。
親は輸入業、台湾からやってきたと自己紹介した彼女は相当わがままに、大切に"花よなんとか"と育てられたのか非常に純粋だった。
言われたことをほとんど信じてしまう彼女を面白く思ったのか、とにかく連れ回して悪に染めていった。
見た目は可愛らしい少女であったが日本に来た時の純粋で優しい姿はなく腹黒く煮詰めたような悪意の塊とかしていた。
だから今回ガリ勉くんに話しかけたのもきっと救う為ではない。
それを分かっているのは、一部のものくらい。
真面目にやっている評価を受けながらクズを極めるという矛盾しながらもそのような評価を受けれるわけのわからない技術を秋人から伝授されていた洋蓮はそれを完全に使いこなし、とっても明るく無邪気で誰にでも優しい可愛らしい少女という評価を受けていた。それ故にモテる。しかしヤバイやつ筆頭の五右衛門ラバーズに加入している上、なんか危険な匂いと災厄を撒き散らしながら歩く存在である秋人といることから話しかけてくる強者はほぼいなかった。
1番信用していた人に裏切られて絶望の淵にいた彼は、どう考えても秋人側の彼女に飛びついてしまう。
物理的に……ではない。
それはもう犯罪である。
が、まあ、飛びついた時点でアウトなんだが。
いつも秋人と一緒にいる女が急にかばうような発言をして、"わーい、助けてくれるの?!やったー。"となるかぎり精神的な修行が足りてないのでないだろうか。
女は精神で攻める。残酷な生き物なのだ。
そして、ネチネチと永遠にいじめ抜き相手を苦しむ姿をオカズに飯を食べる。
クズばかりだ。
綺麗なものには棘がある。素晴らしい言葉だ、この言葉を考えた人には是非お礼を言ってサインも貰いたいくらいだ。
秋人は鈍感以前に人を貶めることに人間の欲求を極振りしているような印象を受ける。常に彼は人に嫌がらせをするアイデアを練っており、発想力はすごいものだ。
面接で、嫌がらせのアイデアなら1分間で20個は思いつきます!と発表してもいいくらいの凄さだ。
そんなこと言って入れてくれる会社は、後ろ暗い組織くらいだろう。
つまるところ、彼の天職は借金取りだ。
さて、冒頭に戻るが何故彼女が救いの手を差し伸べたかといえば、先ほど秋人が熱心に打ち込んでいたLIMEのメッセージが関係する。
最高にタチの悪い嫌がらせを即座に閃いた彼はそれを簡単にまとめ、仲間へ指示を出していた。
先程からニヤニヤしていた奴らはグルのようだ。
どんなことをするのかみていたようだった。
どうせロクなことをしないんだろうと分かっておきながら楽しんでいるというのは悪趣味だ。
が、それに協力し絶望の淵でギリギリのところにいるやつに蹴りを入れるマネをする鬼畜さは流石、秋人のお仲間ですね、というしかない。
お仲間さん達の中には最初はちょっとした意地悪で参加しズブズブとここまで堕ちてきてしまったやつらも多い。
秋人の場合はエリックに対するやり方も例に挙げられるが、追い詰めた相手にさらに追い討ちをかけるという悪魔じみた思考がある。
エリックの場合は暗殺から救って注意してくれたと思っているから良かったね、で済まされるが、他の例、例えば今回に関しては何も良くない。
死体蹴りというか、これは……そうだな。
崖っぷちに片手で捕まっているやつの手を踏んづけて、顔面に唾を吐いて、一本ずつ丁寧に指を外していき最後には掴んだ手を離して崖下へ落とすくらいの所業である。
これから起こりうる悲劇を予想せることなどできるはずもない。
慈悲深い笑顔を向けられ、泣いていたのとは別に顔を赤くしたガリ勉くん。
いいね、いいよ!それだよ!さあ、もっと盲信しろ!
悪魔のような発想を心で囁く秋人。
健康的に焼けた肌がなんだがエロい。
服装肩が出ていたり、腹が見えていたりと変わった服ではなく至って普通。
クーラーが効き過ぎた教室は寒いのか、皆パーカーのようなものをきており、また彼女もフードつきの白いパーカーを着ていた。
黒曜石のように艶やかと聞かれたらそこまでではないよね、という感じのサラサラした黒髪に、黒い目。
黒髪、黒目は日本人を示す時によく使われるが実際のところ髪や目が茶色い人もかなりの数がいる。
地方にもよると思うが中国の方がそういう人は多いのではないのだろうか。
異世界召喚ものの勇者がどいつもこいつも揃いに揃って黒髪黒目だがもしや日本語を話せる中国人なのではないか……もはやどうでもいい超理論に発展してしまったが許してほしい。
日本かぶれの中国人勇者……なんか斬新だ。weboooだ。なんかネットスラングで日本かぶれを指すらしい。詳しくは知らない。
どうでもいい話をしていた間にも事態は進んでいた。
「滝クん、なかないで?」
どうやらこのガリ勉くん滝というらしい。なんかベトベトしてそうな滝くんの頭をナデナデする龍洋蓮。
マジ天使!笑みをうかべて、えへへと笑う姿に皆やられる。
男たちは単純で馬鹿なので、この時ばかりは無視を貫いていた周りの生徒たちもヘラヘラし、同時にナデナデされている滝にイラッとしていた。
女たちは、ワザとらしい彼女の演技に気づいたようで調子乗ってんじゃねーよと内心ガチギレする奴らと、彼女の腹黒さを知っているのかまた始まったよと、傍観者になるもの、だいたい2グループに別れた。
「あ、ぁりがきょふ」
きょどりながら、しかも噛み噛みの声で多分"ありがとう"と言った滝は、先程の絶望から反撃って青春を謳歌している男の顔をしていた。
キモ……っと言いたい気持ちをグッと堪え見守り腹黒女は達。
きっと滝くんの頭の中では、自分を好きになった洋蓮が助けてくれて、これから付き合ったりしちゃう妄想をしているのだろう。
ーーきもいきもいきもい。
平文で送られてきたLIMEのメッセージに苦笑する秋人。
ーーな?だろ
と返した彼は鬼畜というか人間として終わっている気がする。
前後がどんな話だったのか知らないが、"な?だろ"はありえないくらい酷い回答だ。
とりあえず、彼女から視線を逸らすため滝に話しかける秋人。
一瞬身構える彼に返してきた答えは予想外のものだった。
「ごめん……」
え?幻聴?
え?あの秋人が謝った!?
凄い!謝れるなんて!!
これはとんでもない日だ!
来年から今日を祝日にしよう。
五味秋人謝罪の日。
生きてきて謝ったことなどほとんどない彼が謝る姿を見られたのは幸運だろう。誰得な感じもするが。
多分今日の裏社会の新聞の夕刊の一面は最強エージェント五味秋人、まさかの謝罪!?
だろう。
お茶をこぼして悪いと思ったのか。
いやそんな訳がないじゃないか。
彼の嫌がらせは続いていた。
視線を逸らされてホッとした洋蓮がバックからゴソゴソと何かを取り出している姿を、死んだ目で教師はみていたのだった。
読んでいただきありがとうございました!
次回も続きます。
まだ勘違い要素は登場してませんし、今のところアクション要素もないのでこれは日常回って分類されるかもしれないですね。
日常……ってなんだっけ?((((;゜Д゜)))))))
作中では女は腹黒いみたいなこと書きましたが、そんなこともない人もいる………のかな?……いや、いると思うので、あまり深刻にとらえないでください。
もしも、滝くんに自分を重ね合わせてトラウマをほじくり返してしまった人は五味秋人を恨んでください。
余談はこれくらいに……日常回みたいなアクションのなさですが、勘違い作品なのに勘違いがないとかありませんのでご安心を!
決して勘違い要素があると読者が勘違いするなんていう…ある意味勘違い系……ふふふ、いや面白くねーよ
ってな感じで次回もお楽しみに〜