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【完結】JKだけど、前世は異世界の大魔導師(♂)だったらしい  作者: root-M
第四章 15歳、思春期、何も起きないはずもなく
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39.Cカップとアンダーヘア

 脱衣所で愛奈の裸体を見た美也子は、照れずにいられなかった。

 同じ年のはずなのに、美也子の身体とは全く違う。


 胸の大きさこそ明らかに美也子の勝利だが、愛奈の小振りな乳房は形よくツンと立ち、思わず触れたくなってしまう。

 ぐっとくびれた腰から続く尻は小さいが引き締まっており、さらに続く脚は細く長く、足首でさえ煽情的だ。


 美也子は胸がただ大きいだけで、さほどくびれていないし、お尻も太腿も厚ぼったい。


 小食だと言っていたが、やはり食べないことが美体への一番の近道なのだろうか。もしくはバス通学をやめて自転車通学にしたら、少しは愛奈のボディに近付くだろうか。


 風呂桶で身体を軽く流すと、愛奈は飛び込むように湯船に入った。

 美也子は、頭と身体を洗ってから湯に入るように母に教えられてきたが、他所のお宅の流儀をとやかく言う気はない。佐原家でこれが許されているのなら、従うべきだ。


 向かい合って、湯船に浸かる。


「いい匂いだね」


 入浴剤の溶けた乳白色の湯が、甘い香りを放っていた。


「美也子のためにとっておきを入れたの。つるつるになるよ~」

「そうなんだ。わざわざありがとね」


 恐縮しつつ、もてなしに感謝する。鼻腔に届く香りに癒されながら、肩まで浸かった。


「美也子って何カップなの?」


 唐突に、愛奈が聞いてくる。


 女同士で裸の付き合いをすれば、身体の話題になることは予想がついていた。

 だが正直に答えるのは、少し照れる。


「……Cカップ」

「いいなぁ、少し分けてよ~」

「イヤだよ」


 胸の脂肪を分けてしまえば、美也子の優位性が一切なくなる。


「……そういう愛奈こそ、し、下の毛はどうやって整えてるの?」


 最大の疑問だった。


 美也子のそれよりもずっと群生面積が狭く、短い。

 そこに手を加えるという発想がなかったが、いざきちんと整備されたそれを見ると、人生観が変わるほどの衝撃である。


「周りは剃ってる。あと、熱で焼き切る道具が売ってるよ~」

「はえ~」


 感心して間抜けな声が出てしまう。


「大人になったら、全身脱毛するんだぁ」


 愛奈が明るく宣言するが、この話の流れからすると、恐らく――。


「まさか、そこも?」

「だって、邪魔だよ。魔精の時は、首から下、ムダ毛なんて生えなかったもん」

「そうなの!? でもそれって、羨ましいな」


 羨望しつつも、安心する。『大人になったら』ということは、少なくともそれまではこちらの世界にいてくれるということだろうか。


「美也子もやろうよ」

「えっと……脇とか腕ならやりたい」


 ぽつりと答えると、愛奈の視線が湯船の中に向いた。


「下は?」

「やってもらうときに、恥ずかしいじゃない」

「やる人も、見慣れてるでしょ~」

「え~? 見慣れるかなぁ?」


 美也子だって、女の身体は母やエイミで見慣れているのに、愛奈を見たら心臓が早鐘を打ってしまった。


「胸、触っていい?」


 愛奈がすり寄ってくる。


「い、いいよ」


 了承すると、悪戯っ子のように笑って、下から持ち上げるように触れられた。


「うわぁ、さすがCカップ! 柔らか~い」

「手付きがやらしい!」

「美也子も触っていいよ?」


 愛奈が手を広げ、無防備な体勢を取った。


 小振りな愛奈の乳房を見ると、エイミを思い出してしまう。

 同じくらいの大きさだろうか。

 乳輪は愛奈の方が大きい。それがまた『大人の身体らしさ』を醸し出し、美也子をどぎまぎさせる。


 先日エイミに対してしたように、脇の下からあばらにかけてを指でなぞった。

 愛奈が思い切り身をよじる。


「やだぁ、美也子の方がやらしいじゃない!」

「うそぉ!」


 ただくすぐっただけのつもりなのだが。


「……そういえば、及川くんとはあれからどうなったの?」


 上目遣いで愛奈が尋ねてきた。不安そうな表情だ。


「あ! テスト中に一度メッセ来たけど、イライラしてたから無視しちゃって、それから返事してないや……」


 勉強がはかどっているかお伺いの内容だった。おそらく、気分転換にメッセージのやり取りをしたかったのだと思われる。

 だが、嫉妬や妄想、自己嫌悪に苛立つ美也子には、そんなことをしている余裕がなかった。

 すっかり忘れていた。早々に謝罪の報を入れねばならない。


 愛奈の疑問が飛んでくる。


「夏休み、遊ぼうって言われるんじゃない? 遊ぶの?」

「うーん……。遊んでもいいとは思うけど……どう思う?」


 つい愛奈に意見を求めてしまった。

 困ったような顔をされただけで返事がないため、続ける。


「今は及川くんのこと、別に好きってわけじゃないんだ。でも、人柄はすごくいいし、このまま何度か遊んでたら、好きになるのかな? それとも、嫌いじゃないならとりあえず付き合うものなのかな?」


 恋愛経験がなく、異性との距離を測りかねる美也子に、愛奈が鋭い声を上げた。


「『とりあえず』って何? 付き合ったとして、美也子は及川くんとキスとかできるの!?」


 単刀直入なその問いに固まってしまう。にこやかだった愛奈の顔が峻険なものになっている。


 こんな愛奈の表情は、初めて見た。

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