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最終章 最終決戦 6-1.罰を望むもの

独裁国家レムルス、そこは軍事最優先で

整備された防衛都市と言える。

堅牢かつ壮大な外壁を擁し、

都市へ侵入される前に敵を打つための

ありとあらゆる仕掛けが用意されている。

「なんだよ、この外壁の数は、、、。

世界中と戦争するつもりだっのか、

レムルスって国は。」

おれはあまりの防衛都市っぷりに

驚きを通り越して、呆れてさえいた。

「ほんとよね、外壁だけで3層って

見たことないわ。」

アリーも同じような感想らしい。

そのあまりに重厚すぎる都市の守りに

頭を抱えていた。

「ぼくもみんなと同じで最初は

驚いたよ。

でも、これだけ物理的に守りが固いと

敵も油断すると思うんだ。

絶対に突破されるはずがないって。

僕たちはその隙をつけばいいんだよ。」

「というと?」

「外から入りにくい分、中からも

出にくいはずなんだ。

もし、その限られた出口が敵に

塞がれたら中の人、特に地位の高い人は

どうやって逃げると思う?」

「隠し通路か!?」

ネリーは嬉しそうに笑う。

「そう!隠し通路を偵察部隊の人たちが

見つけてきたらしい。

レムルスの正門から攻める部隊と、

この隠し通路から敵本陣に殴り込み

をかける部隊の二手に分かれて

侵攻しよう!」

最後の戦いを前に、帝都で開かれた

戦略会議ではネリーの案が採用された。

次のレムルス城攻略戦で、長きに渡る

魔族と人間の戦いが終結する。

それは魔族に蹂躙されてきた人々の

悲願であった。

作戦は非常にシンプルで、魔法による

遠距離攻撃で外壁に付近に布陣する敵の

主力部隊をたたく。

レムルスは魔族最後の領土のため、

追い込まれれば敵は打って出てくる。

それを迎え撃つ部隊と隠し通路から

本陣を攻める部隊で決まった。


最後の戦いの2日前、出陣式が行われた。

おれはその時、仲間を集めて全てを話した。

「アリー、ネリー、リーニャ、、、。

これから大切なことを話す。

思い出したのはずっと前だったが、

言うのが今になったのは申し訳ないと

思っている。」

「どうしたの?リネス。」

アリーはいつもと違うおれの雰囲気を

察したようだ。

「言うのが怖くてな、、、。

最初はトリストンとやりあった時

だったんだ。

断片的だったけど、空白だった昔の

おれの記憶が蘇ってきたんだよ。

そして、ルベルの言っていた

【これ以上先に】の先がどこかおれには

分かる。」

みんな沈黙していた。

おれの言葉を待っているんだとわかるから

おれは言葉を続ける。

「レーノルベ渓谷、そこに魔源はある。」

「レーノルベ、死の谷とも呼ばれていた

場所だね。」

「ネリーさん、知ってるんですか?」

「うん、歴史書の中ではあの場所は

レムルスの囚人が最後に送られる場所だと

言われている。

国家転覆の計画、王族への敵対行為など、

あの国で重罪とされた罪を犯した人間が

あそこに連れていかれ、誰も戻らないそう

だよ。」

「それは歴史書の中に書かれていたことだ。

でも、現実は違う。

おれもな、あそこに連れていかれたこと

があるんだ。何も罪を犯していないの

にな。」

アリーは驚きで目をまん丸にしている。

「リネス、どう言うこと?あんた、一体?」

「おれはリメリスの姫サウレ、ルイドの

王リシスの息子だ。」

「、、、!?そんな!?」

アリーは驚愕している。

「歴史書には記載されていないが、

悪魔の目覚めの少し前、ルイドを魔鉱石で

強化された人間が襲った。

やつらはルイドの王であるリシスを殺し、

サウレとその息子をさらった。

そして、息子は魔鉱石強化実験の材料に

され、サウレは殺された。

「そんなことがあったのか、、、。」

ネリーは悲しそうにうつむき、

消え入りそうな声でつぶやく。

「レムルスのクソどもの顔を思い出すと

今でもヘドが出る気分だよ。

おれの前でゲラゲラと汚い顔で笑いながら、母さんを殺したんだ。

あいつらを殺したい、いやこの国の全てを

破壊したいとおれは思ったよ。」

「リネスさん、、、。」

「魔族がどうやって生まれるか

知ってるか!?

魔鉱石を植えられた人間のどうしようも

ない怒りや憎しみが具現化したもの、

それが魔族だ。

原初の魔族マルサスを生み出して、

悪魔の目覚めを引き起こしたのは、、、

このおれだ。」

おれは膝をついて泣き崩れる。

もう、立っているのが辛かった。

この後、おれは仲間全員から

罵られるだろう。

もしかしたら、罰を受けるかもしれない。

その覚悟すらできていた。

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