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5-2.彼と彼女の恋の行方

おれは恋愛というものに疎い。

そもそもこの真っ赤な目のせいで、自らに嫌悪感を抱くほどに

女にモテたことがない。

しかし、現在帝都に滞在中のおれに人生最大のモテ期というやつが訪れている。

まず、ミーシャだがいつものように太陽のような笑顔を浮かべて、

おれに大量のお菓子を届けてくれる。

「おにー、食べて♩」という最後に音符がついてそうな

軽やかなトーンで言われるとどんなにお腹がいっぱいでも断れないのである。

そして、それを見たリーニャが謎の対抗心を燃やして

同じようにお菓子をくれるようになった。

おれは子供か!とツッコミたくなるが、お菓子はうまいので文句は言えない。

そして、この女子からお菓子がもらえる状況になんだかウキウキしている自分が

いるのである。あまり大きな声では言えないが、一連の戦闘における功績が

市井に知れ渡るに連れ、わかりやすいアプローチをしてくる女性も現れた。

そんな鼻の下を伸ばしまくりなおれに苛立つアリーに呼び出しをくらって、

城の中庭で現在待機中というわけだ。

「モテるのは嬉しいがなかなか大変だなぁ。」

おれは透き通る青をたたえた空を眺めしみじみつぶやく。

「なに悟りでも開いたようなこと言ってるのよ。」

アリーは颯爽と現れ、おれの横に腰を下ろす。

「あんた最近、すごくモテてるみたいね。」

「まぁな。ミーシャは昔からだが、見ず知らずの女性からアプローチされるなんて

生まれて初めてでどうすればいいのかわかんねぇや。」

「ふーん。魅力的な女の子はいたの?」

「なんだ?気になるのか?そうだなぁ、酒場のおっさんの娘のマイアはきれいだしいいと思うぜ?」

「あぁ、あの背の高い子ね。なるほど、ああいうのが好きなのか。

長い黒髪にいかにも町娘って感じの素朴なね?」

「そうだよ!素がいいから素朴でも十分なんだよな。」

アリーは興味があるのかないのか、空を眺めながらへぇと聞いている。

「あんたから見て私ってどう見える?」

「暴れ馬かな。」

鋭い眼光を向けられる。やばい、射殺されると少し距離を取る。

「違うわよ!女の子としてってこと。」

「んー?まぁ、かわいい方だろ?なんだかんだで

アリーはよく兵士に声かけられてるじゃん?」

「あんなのは、どうでもいいのよ!

ふーん、かわいいとは思うんだ、、。」

少し顔を赤らめてなんかもじもじしだした。

「お、おお。かわいいんじゃないか。」

「まぁ、今日はこれぐらいにしてあげるわ。

あんまり鼻の下伸ばすんじゃないわよ。」

それだけ言い残すとアリーは去っていった。

いったい何なのだか。おれは頭を抱える。


その夜、この出来事をマティアスに語ってみると、にんまりされた。

そして、

「まぁ、お主ももちっと女という生き物のことを学べ。」

と言われたのだ。

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