5章 防御陣形成 5-1.西側ルート
時間迷宮から持ち帰った古代の兵器は、人間側に革新的な武力をもたらした。
たとえば、攻撃対象を空間的に切断することで、いかなる装甲ももろともしない
量産型斬魔剣『ロムセル』などである。
リーニャが量産方法、使用方法などを説くことで、人間側の武力は急激に強化された。
また、司令魔族はルベルが手負いのためか、その後は目立った動きもなく、
人間側は魔族に対してはじめて優位にたてたのである。
おれたちが時間迷宮から帰還したのち、一年の間に東側諸国の一部の領域を
魔族から奪取することさえ叶ってしまった。
帝都と旧東側国家群を結んだ魔鉱石連結型橋梁『テトの橋』の一戦では、
複数の上位魔族を古代兵装による強化人間、赤目の混戦部隊が撃退し、
旧ガリア、ガルベンシアさえも取り戻すことができた。
しかし、旧東側国家群から大陸北部の旧リメリス王朝、ルイド、レムルスに続く
渡ずの橋(東側ルート)は魔族側の強靭な守りに、人間は攻めあぐねることになった。
やがて、帝都に設置された皇帝直轄の戦略部隊で提案されたのが、
帝都から100年橋、リンガルシアを経由して、北部の魔族領に至る西側ルートである。




