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4-3.時間迷宮

帝都北西の丘陵地帯は戦闘技術に長けた傭兵以外はあまり足を伸ばさない。

その理由の1つは人でも魔族でもない存在に襲われる危険性があるからだ。

腐敗した肉体、剥き出しの骨、えぐれた目玉のかって人間であったらしいそれを

人々は死怪と呼ぶ。

連中は人を殺すことをその本能としており、非常に危険な存在だ。

聖域の精霊系統の魔法が使えなければ、足を踏み込むにはリスクが

高すぎる場所と言える。

おれたちは帝国領内の砂漠地帯を抜け、旧時渡の領内に入った。

すぐにかっての都は見つかり、おれたちはその廃墟に足を踏み入れる。

「死怪ねぇ、なんともおぞましい化け物がいたもんね。

中央学舎の講義でも説明を受けたけど、本当に一体どうして

そんなものが生まれてくるのかしら。」

「わかんねぇな、呪いなのかな。だけど、死怪は一匹や二匹でなくて、

かっての時渡の領土全体で確認されてるし、死霊系の広域呪詛か何かなのか?」

「もしかして、あいつの仕業じゃない?ガリアの時にあんたがやっつけたあの槍おばけ。」

「槍おばけって、また変なネーミングだな。

まぁ、いいや。だけど、トリストンの仕業ではないよ。

これは魔族が現れるよりずっと昔の話だしな。」

「ふーん。よくわかんないや。

あっ、あれかな?時間迷宮って。」

アリーが指し示す先には地獄の深淵のごとく深い闇をたたえた

入口が存在していた。

昔の政府庁舎だろうか?威圧的な眼を眼下に向けた屈強な男の石像の

下に時間迷宮への入り口は存在していた。

「時間迷宮、、、。噂には聞いていたけど、見るのは初めてだ。」

隣のネリーがゴクリと唾を飲み込む。ひんやりとした冷気と土っぽい匂いが充満している。

「さて、それじゃ行きますか。」

おれたちは地獄の入り口に足を踏み入れた。

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