1-2.プロローグ
私は名をアリーという。
マリルという小国の辺境の村に生まれで、
けっして裕福な暮らしではなかったが、母も父も優しく幸せな毎日だった。
しかし、悪魔の目覚めと呼ばれるあの事件が起こって半年後、結成された調査団に
父は志願することになる。父はいくつかの希少な魔法を操る力があり、
国はそんな父の力を頼ったのだった。大国が2つ滅ぶほどの大きな災厄のあった地に
向かうことに不安があった父の背中を押したのは私の言葉だった。
「私たちのために一生懸命なお父さんはかっこいいと思うの!」
私はその時の自分の浅はかさを後に呪うことになる。
私の言葉と家族が生きていくのに困らないほどの褒賞が与えられるという状況。
学校にも通えなかった私のために父は国からの申し出を受けることになる。
第2次調査団派遣、そして団員が消息不明になるまでの20日の間に何があったのかは
後の魔族の出現によって明らかになる。
私は自分を憎み、父を殺した世界と魔族を憎んだ。
ツンと鼻をつくにおいに気づく。意識が朦朧として右も左も分からない。
肌を刺す寒さに加え、疲れによるものなのか瞼が重い。
ここはどこだ?おれは・・・誰だ?
灰色の空と煙に覆われた世界に真っ白な雪が吹き付けるさま。それがおれの一番古い記憶だ。
自分がどこから来て、どんな目的であの場所にいたのか最後までわからなかった。
あれから5年になる。
現在、おれは傭兵として世界の戦場を駆け回っていた。




