六節 刹那
そうして、彼女はまた街に戻って。青い女神を捜しまわって。
「わたしの罠にはまるのでした。」
街の床に朱色が線を描く、慣れた感覚、知りたくなかった感覚。
視界が揺らいで、立ちくらみのようなものがわたしに襲い掛かる。
それは、殺人鬼にあるまじき罪悪感。
「ごめん、なさい…。わたし、また…!」
さぞ大事なものかのように彼女の頬を撫でる。
「ごめんね、わたしはこんなことしかできないの。わたしは初戦ただの刃だから…。」
紅い線が図を広げていく。
「でも、あなたなら知っているでしょう?ねぇ、剣の支配者。」
* * *
街角をを曲がったところで確かに私は斬り殺された。記憶はそこまで、白い髪、黒い服、
白いスカート、黒いローブ。そして見惚れるほどに美しい銀色の刃。
今回はそれでおしまい。私の物語はそこまで。
「それではつまらないでしょう?」
そうだろうか、まぁ、確かに駄作ではあったけれど。
「前よりもっと先にいかないと、復習以下で終わりなんて、わたくしはもう飽き飽き。」
それなら私はどうすればいいと?
「あら、簡単なことじゃない?ただ単に、」
ただ単に?
「やり直せばいいだけの話よ。」