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ヴァルハラの指輪  作者: 吉城 桜
一章   外の「世界」で
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五節   時/過去

泉の澄んだ水、広がる白い砂地、視界に収まらない大樹。

「これではまるで海のよう。」

岸に腰を下ろして水の中で足を揺らす。指をすり抜ける砂は心地よい。

「そういえばウルズ、どうして泉に空間をつなげたりしたの?」

 スクルドの様子を見に行こうと階段を駆け上がったのだが扉を開けたら泉についた、しかもスクルドも見当たらないという状況に私はあった。

話した先には薄い茶色の髪を二つにまとめた少女。

「あら、わたしは何もしていないのだけど?

桜華が勝手に此処に来た訳ではなかったの。」

私に気などかけないように答える。

彼女が最後の運命の女神ノルンの一人。過去を統べる女神、ウルズ。彼女もまたスクルドのように少女をかたどっている。そして彼女達三姉妹の長女でもある。ノルンの中で特別な役を担う女神でもある。

 透明な瓶の中に白い指で土を少し混ぜる、それは慣れているようでもやはり入れにくいように見える。

「手伝おうか?」

「あら、お断りよ。」

即決。さすがに心に痛い。ウルズは妹たちより人間を嫌っている節がある。まぁ、この世界に人間と呼べるのは私だけなのだけど。

「スクルドを探すなら街に戻りなさいな、どちらにせよ、世界樹にはいないのだから!」

白いワンピースをはためかせて世界樹の方向

へ駆けながら私に叫んでいった。

「ウルズは街には来ないのかーい!」

「わたくし、妖精も人間も大嫌いなものでしてー!行く気にもならないわ!」

まぁ、私が嫌いであるのなら仕方もないか。

これ以上騒がせても悪いので今日はウルズの泉より退場することにした。

*  *    *

まったく、世界樹への水やりもあるというのにスクルドは何をあの人間から逃げ回っているのかしら。きっと彼女の部屋からここへと空間をつなげたのもスクルド。

関わっていること自体が気に入らないのに、あの子はわたしに押し付けて何をしようというのかしら。


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